2013年12月2日月曜日

習近平は軍を完全に掌握している:なら、中国防空識別圏設定の目的とは何か?

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●11月29日、環球時報は記事「日米は中国が一流の強国となることを防げない、中国の本当の敵は自分自身だけだ」を掲載した。中国が崩壊するとすれば、国内問題しかありえないとして愛国主義の重要性を訴えている。写真は中国海軍。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月2日 5時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79901&type=0

習近平政権は軍を掌握しているのか?―中国の防空識別圏設定の謎を探る


●中国が国際常識をわきまえず一方的に防空識別圏設定を宣告した。これに関して一部、習近平が軍部を掌握していないのではないか、軍の独走ではないかといった論調が見られる。本稿では軍と党の関係という視点から見た、防空識別圏設定の論考を試みたい。

 今般、中国が国際常識をわきまえず一方的に防空識別圏設定を宣告した。

 これに関して一部、習近平が軍部を掌握していないのではないか、軍の独走ではないかといった論調が見られる。
 本稿では軍と党の関係という視点から見た、防空識別圏設定の論考を試みたい。

◆中共中央政治局に、3人も軍事委員会トップが

 中国人民解放軍を管轄しているのは図にある中共中央軍事委員会であり、この軍事委員会を管轄しているのは中国共産党中央(中共中央)委員会である。
 つまり「軍は党の軍」なのである。

 中共中央委員会は党大会の前後以外は年に一回しか開催されないが、その上には中共中央政治局というトップ組織がある。
 構成メンバーは25人で、その中から7人の常務委員が選ばれて、さらなる上部の「チャイナ・セブン」を形成している。
 政治局会議と常務委員会会議は必要に応じて随時開催する。
 その政治局委員には2人の中共中央軍事委員会副主席が入っている。
 一人は範長龍(陸軍)で、もう一人は許其亮(空軍)だ。

 これまでは軍事委員会の副主席になるのは陸軍だったが、昨年の第18回党大会直前に軍事委員会会議を緊急開催し、胡錦濤と習近平が連携して「空軍」である許其亮(元人民解放軍・空軍参謀長、同空軍司令員)を軍事委員会副主席に推挙。
 本来なら2人いる国家副主席を、一時期4人にまで増やす前代未聞の強引な手法を取った。
 そうしてでも「空軍」を軍事委員会副主席に持って行き、中共中央政治局委員に据えたかったのである。

 つまり習近平の意思を組む2人が中共中央軍事委員会におり、習近平(中共中央軍事委員会主席)自身を入れると、中共中央意思決定機関の中心である中共中央政治局に軍事委員会関係者が3人も入っていることになる。
 中共中央政治局は習近平政権そのものだから、この構築から、軍は党そのものということができ、
 党が軍を掌握していないという事態は生じ得ない。

◆国家安全委員会と軍との関係

 では三中全会で新しく設立されることになった「国家安全委員会」と軍との関係はどうだろうか。
 第10回の同コラムでも書いたように、国家安全委員会の構成メンバーは「国家公安部、中国人民武装警察部隊(武警)、国家安全部(スパイなどを偵察)、中国人民解放軍総参謀部第二部(総参・情報部)と第三部(総参・技術偵察部)、中国人民解放軍総政治部の聯絡部、国家外交部、中共中央対外宣伝弁公室(外宣弁)」などである。

 つまり中国人民解放軍の総参謀部が二部局も入っている。
 しかも最も肝心な総参謀部だ。
 中国人民解放軍には「総参謀部、総政治部、総后勤部(後方活動)、総装備部」という4つの総部機構がある。中でも総参謀部は最も権限があり、「作戦、情報、通信、軍事訓練、軍務、動員、装備、機密、(陸空海の)測量製図、外交、管理」などを統括する。その総参謀部の「情報、技術偵察」に関する二大部局が国家安全委員会に入っているので、国家安全委員会が中共中央軍事委員会の指示の下で、国防識別圏に関しても関わっていくだろう。

 ただし国家安全委員会の頭には「国家」という文字があるのを見逃してはならない。
 頭に「中央」が付いていると、これは「中共中央」のことで共産党系列の会議で議決するだけで運用されるが、「国家」が付いている場合は、「国務院(中国政府)」側に設置される組織となる。
 そのため2014年3月に開催されるであろう全人代(日本の国会に、一応、相当)で決議されてからでないと正式には動き始めない。
 それが「三中全会」という中国共産党の会議で提起されたのは「党が政府の上にある(党が政府を指導している)」からである。

◆中国の防空識別圏への対応は天下分け目の分岐点

 昨年の第18回党大会により発足した習近平政権は、政権スローガンとして「中華民族の偉大なる復興」「中国の夢」そして「海洋強国」を宣言した。
  「海洋強国」を唱えながら軍事委員会副主席に、陸軍ではなく初めて「空軍」出身者を指名したのは、「海空」を制覇して本気でアジア覇権に乗り出すことを示している。
 これは軍のクーデターとか強硬派の勝利とか、そういった類のものでなく、中国の国家としての意思決定なのだ。
 
 今年6月の米中首脳会談で、習近平は「太平洋には中米両大国を受け容れる十分な空間がある」とオバマ大統領に言った。
 これは拙著『完全解読 「中国外交戦略」の狙い』で詳述したように、G2構想(中国流に言えば新型大国関係)を念頭に置いての発言である。
 
 国内に多くの矛盾を抱え窮地に追い込まれている習近平は、G2だけでなく「G1」を狙っている。
 「G1」になるのが先か、人民の不満により内部崩壊するのが先か、
 そのせめぎ合いの中にある。
 先に「G1」になれば、さすがに政府に不満を持つ人民も中国共産党の統治の正当性を納得するだろうという戦法だ。
 
 そこに「米民間航空機のフライトプランに関する中国への事前通知」という事態を受けて、中国の国営テレビCCTVは、まるで勝利宣言のような加熱した報道で燃えている。
 米国政府としては「中国にフライトプランを提出せよと積極的に民間航空会社に指示を出したわけではないが、しかし航空会社の提出は黙認する」というスタンスのようだ。
 しかし中国の要求に従うか否かは、天下を分ける分岐点である。
 
 こういう時にこそ日米同盟の強さを見せてほしいという肝心の分かれ目で、アメリカが中国の指示に従うなどということは、あってほしくない。   
 本日(12月2日)、バイデン・米副大統領が来日する。

 日本政府はこの機を逃さず、何としても日米の足並みを揃えるよう強く要望してほしい。
 バイデンは2012年2月14日の習近平(当時国家副主席)の訪米を担当した人物。
 習近平には実に低姿勢だ。
 今般の訪日後に訪中するバイデン副大統領の習近平に対する態度如何(いかん)で、防空識別圏設定のアジアに及ぼす影響が決まる。

 いや、米中の力関係も決まるだろう。
 日本政府には何としても現状維持を貫き、日米協力の下で頑張ってほしいと望む。
 そうでないと、日本国民の安全に多大な影響をもたらすことになる。

(<遠藤誉が斬る>第12回)
遠藤誉(えんどう・ほまれ)
筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動 かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子(チャーズ)―中国建国の残火』『完全解読「中国外交戦略」の狙い』など多数。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月2日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79883&type=0

中国にとって日米は敵ではない、本当の敵は国内問題だけだ―中国紙

 2013年11月29日、環球時報は記事
 「日米は中国が一流の強国となることを防げない、中国の本当の敵は自分自身だけだ
を掲載した。

 中国が台頭するための戦略的環境は今、悪化しつつあるのだろうか?
 日米が手を組んで中国の更なる発展を押さえつけようとしているのだろうか?
 中国はそれに耐える力を持っているのだろうか?
 こうした問題がわれわれにつきまとっているが、本当の回答はたった一つ、
 時間が解決してくれる問題だということだ。

 歴史的経験と国際政治のルールがわれわれの未来を教えてくれている。
 中国は今、工業文明の時代に突入した。
 中国の工業化は米国と比べまだ大きく遅れている。
 これこそ中国が西側の前で控えめに振るわなければならない理由だが、同時に人類史上、中国ほど巨大で好況を呈している国家が外部の力に征服されたことはない。
 それこそ西側諸国とて想像できないことであろう。
 ゆえに西側諸国は中国国内の矛盾が「崩壊」に至るのではないかと期待している。
 国内の矛盾こそ中国の台頭を阻む最大の懸念材料なのだ。

 今、中国の一部の人々はイデオロギーの問題に熱中している。
 だが中国が言論の自由をどれほど緩和したとしても、社会の分裂と対立を煽るような言論は規制されなければならならい。
 法律に反する行為であり、同時に社会道徳と人文的規範にもとるものだからだ。

 中国の台頭にとって愛国主義は欠くことのできないものである。
 今後、重要な時期に社会の割れ目を修復するリソースとなるからだ。
 今や中国国内のネットには愛国主義を悪者扱いする言説が流れているが、その有害性については深く認識されなければならない。

 そう、中国の愛国主義はいかなる状況下においても日米の愛国主義より強くなければならないのだ。
 これが中国の守るべき最低ラインだ。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/02 10:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/02/2013120201209.html

「主動作為」 中国が世界戦略を転換
経済発展に力入れ対外摩擦避けるこれまでの戦略を転換
習近平主席「中国は世界のルールの追従者から制定者に」

 中国が東シナ海に防空識別圏(CADIZ)を設定したのは、
 中国外交の基本的な枠組みが「主動作為(行うべきことを主導的に行う)」に変わったことを意味する
との見方が示された。
 1980年代、トウ小平氏が立てた対外戦略「韜光養晦(とうこうようかい=実力を隠し闇の中で力を養う)」が事実上、幕を下ろしたというものだ。
 また、香港の週刊誌「亜州週刊」最新号は
 「防空識別圏宣言は習近平国家主席が今年8月に自ら決定した事案だ」
と報じた。

 先月30日付の香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によると、シドニー大学の袁勁東教授は
 「中国新指導部は、低姿勢の外交政策『韜光養晦』を終了するのは今だと考えているようだ」
と語ったという。
 1978年の改革・開放宣言後、経済発展に力を注ぐために対外摩擦を避けようとしてきた中国外交の目標が変わろうとしているというのだ。

 中国外務省が出版している週刊誌「世界知識」も今年初め
 「中国の外交は『韜光養晦』から『主動作為』に変わろうとしている」
と書くなど、中国外交の変化の予兆はすでにあった。

 習近平主席も昨年12月、共産党政治局第3回全体学習で
 「中国の外交は世界のルールの追従者から、世界のルールの制定者に変わりつつある」
と述べたと、米国の中国語圏メディア「多維」が当時伝えた。
 北京の外交消息筋は同日
 「習近平氏の指導部は外交・安保戦略の新たな枠組みを構築しようとしている。
 防空識別圏宣言は、そうした流れの表れだと解釈すべき。
 外部の挑戦に積極的に対応するという意味だ」
と語った。

 一方、ブルームバーグ通信は
 「米国は中国に通知することなく、中国が設定した防空識別圏に毎日軍用機を出撃させている」
と報じている。
 中国も防空識別圏で「常時巡視飛行を続ける」という方針をあらためて示している。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/02 10:52
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/02/2013120201190.html

中国防空識別圏:香港紙「習主席、8月に設定を決断」

 天安門前での学生たちによる民主化要求のデモを中国政府が武力で鎮圧した「天安門事件」の後の1991年、トウ小平氏は中国政府の幹部らに将来の対外戦略についてまとめた「24字方針」を伝えた。
 その内容は
 「米国をはじめとする外部勢力との衝突を避け、総合的な国力を高めながら安定した発展を追求する」
というもので、これは「光を隠してひそかに力を高める」を意味する「韜光養晦(とうこうようかい)」という言葉で表現されていた。
 その後「韜光養晦」は20年以上にわたり中国外交の「基本原則」とされてきたが、今回、習近平国家主席を中心とする中国指導部が東シナ海で新たに防空識別圏の設定を宣言したことを受け
 「中国の外交戦略が『韜光養晦』から『主動作為(やるべきことを自らが中心となってやる)』に変わった
という声が出始めている。

 香港のサウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙によると、米国のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)は
 「防空識別圏問題を中国と日本による『猫とネズミ』ゲーム程度に軽く考えるのは誤り」
と指摘したという。
 この問題は習近平政権が外交・安全保障戦略の枠組みを、これまで以上に攻撃的な方向に転換したという流れの中で理解すべきということだ。
 韓国国家安保戦略研究所のパク・ピョングァン氏は
 「戦略面でのあいまいさを維持するため、中国政府が『韜光養晦』の破棄を正式に宣言することはないだろう。
 しかし中国外交はすでに『韜光養晦』から脱却している」
と指摘する。

 中国外交部(省に相当)が発行する週刊誌『世界知識』は今年初め「主動作為」という概念を新たに提示した。
 中国の王毅外相は今年6月に北京で開催された「第2回世界平和フォーラム」で
 「中国はさらに主動的で積極的な外交を展開し、それによって国際社会が中国に求める期待に応えていくだろう」
と述べた。
 この発言も結局は「主動作為」を実践に移すという意味に解釈が可能だ。
 また習近平国家主席は昨年12月
 「中国外交は世界秩序の追従者から世界秩序の制定者に変わりつつある」
と発言したが、これも「主動作為」という観点から考えれば合点がいく。

 習近平政権による攻撃的な対外政策は、昨年11月に習近平体制が正式に発足した中国共産党第18回全国代表大会の報告文にすでに記載されている。
 この報告文には
 「中国の国際的な地位に見合った国家安全保障政策と、発展の利益に見合った力強い軍隊を築くことが戦略的な任務」
と記載されている。
 2011年の中国国防白書には
 「中国は防衛的国防政策を展開する一方、永遠に覇権を追求することも、また軍事的拡張を目指すこともない」
と記載されているが、上記の報告文はこれとはあまりにも対象的だ。
 習近平政権の対外政策は、江沢民時代に掲げられた「有所作為(やるべきことをやる)」と「責任大国(責任感を持つ大国)」、さらに胡錦濤時代の「和平発展(平和的な発展)」「和諧世界(世界と調和した発展)」などよりもはるかに攻撃的と考えることができる。

 また香港の週刊誌『亜州週刊』最新号は「防空識別圏は習近平主席の『決断』」と報じた。
 それによると中国国防部(省に相当)は数年前から党中央軍事委員会に防空識別圏の設定を提案していた。
 これに対して胡錦濤政権は目立った動きを示さなかったが、習近平主席は今年8月に決断を下した。

 中国政府は「共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)」で、中国の国内外の安全保障を総括する国家安全委員会の立ち上げを正式に決め、そのわずか10日後に防空識別圏を宣言した。
 またメディアは
 「三中全会の前日、在日中国大使館は日本に住む中国人の所在把握に乗り出した」
と報じた。
 これは防空識別圏設定後、中国と日本の間で衝突が発生する可能性を念頭に置いた措置と考えられる。
 また広州中山大学の徐沢栄教授は
 「防空識別圏は米国の『アジア回帰』戦略への対抗措置の一環だ」
と指摘し、パク・ピョングァン氏は
 「中国は米国のアジア回帰を自国の安全保障上の直接の脅威と考えている」
との見方を示した。

 中国は国防政策でもこれまで以上に攻撃的な姿勢に転換しそうだ。
 人民解放軍は軍を防衛中心の7大軍区体制から作戦中心の5大戦区に改編し、連合作戦での指揮体制の強化に向けて動き出しているが、これも一連の流れの一つだ。
 東アジアでの米国や日本との主導権争いに向け、革命以来手を付けていなかった軍の体制をも見直そうとしているのだ。

 亜州週刊は
 「中国が防空識別圏を設定した背景には、東シナ海の中間線周辺にある油田やガス田の開発権確保にとどまらず、第1列島線(沖縄-台湾-フィリピン)の突破を目指すという意味もある」
と報じた。
 中国の海軍と空軍は、第1防衛線の出口となる宮古島海峡を日本の妨害を受けることなく通過したいと考えている。
 中国の航空機は今年7月に初めてこのラインを越えて西太平洋を飛行し、米国と日本を大きく緊張させた。


もし、朝鮮日報のいうとおりに、
 「中国の外交は『主動作為』に変る」
なら、日中開戦は間近いということになる。
 中国は偶発的事件よりも、必然的事件を画策して、日中紛争にもちこむつもりである、ということになる。




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