●キャピタル・エコノミクス社の「中国活動プロクシー(CAP)」(青)と公式GDP(赤)
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ウォールストリートジャーナル 2013年 12月 19日 11:18 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304273404579267072304155780.html?mod=WSJJP_hp_LEFTWhatsNewsCollection
中国の成長率、どれほど現実的か
恐らく、中国の驚異的な経済成長率に関する最も普通の疑問は、それは本当なのか、という問いであろう。
李克強首相でさえ、国内総生産(GDP)の数字を疑問視していた。
2007年、米国の駐中国大使との懇談(2人とも私的な会話だと考えていた)で、李氏はGDPを「人為的で、したがって信頼できない」統計だと述べていた。
内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露したこの米国大使の懇談メモのコピーによれば、当時、遼寧省共産党書記だった李氏は、経済活動を推し測るもっと良い統計として
①.電力、
②.鉄道貨物、そして
③.融資
の3つの統計をみていると述べたという。
そこでエコノミストたちは、GDPに代わる指数を作成しようと試みた。
最も綿密な指数の一つがロンドンに本拠を置く調査機関キャピタル・エコノミクス社の作成しているもので、
「中国活動プロクシー(CAP)」と呼ばれる指数を公表している。
同指数は2009年にスタートしたため、過去のデータもある。
四半期ごとのGDP統計と異なり月次で発表されている。
キャピタル・エコノミクスは李氏お気に入りの指標の一つである
①.発電量を製造業活動のプロクシー(代役)として利用している。
そしてその他に4つの指標を加えている。
②.物輸送量(経済活動の広い尺度)、
③.建設中の建物床面積(不動産)、
④.客輸送実績(サービス部門)、
⑤.そして海運輸送量(国際貿易)
だ。
キャピタル・エコノミクスは
「こうした統計は比較的目立たないため、データ操作はほとんどされないはずだ」
と説明している。
キャピタル・エコノミクスによると、大抵の期間、このCAP指数は中国のGDPの数字と総じて合致している。
とりわけ2009年と10年はそうだった。
しかし最近2年間、CAP指数からみると、中国の実際の成長率は公式のGDP統計より1〜2%ポイント低めだったかもしれないという。
一体どうなっているのか?
キャピタル・エコノミクスの中国エコノミスト、マーク・ウィリアムズ氏は、
公式のGDP統計は生産データを反映しており、「製造業界で起こっていることに偏っている」と述べた。
これに対しCAPデータは経済の「測定するのがもっと難しい」部分を捕らえている、と同氏は言う。
同氏によれば、大手企業は過去2年間、融資の急増から異常な恩恵を受けてきた。
CAPデータからみると、サービス部門の企業は公式のGDP統計が示唆する以上に大きな打撃を受けているのかもしれないという。
2014年のGDPについて、ウィリアムズ氏の伸び率予想は他のエコノミストらの予想の下限にある。
同氏の予想は7%成長で、今年の予測である7.6%をさらに下回るだろうという。
エコノミストの中には8%前後との予想もある。
彼らは世界の成長回復が中国の輸出への追い風となる。
それに、改革について当局者がどんな決意を表明しようが、急激過ぎる景気鈍化を防止するため中国政府は必要な措置を講じると想定しているのだ。
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ウォールストリートジャーナル 2013年 12月 18日 16:44 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304273404579265511367793626.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsThird
By DINNY MCMAHON
中国地方都市、土地開発でさらに成長目指す―コスト回収懸念も
●左)GDP成長率推移/右)GDPに占める固定資産投資の割合(それぞれ赤が十堰市でピンクが中国全体)
【十堰(中国)】当地の当局者は数年前、内陸の山あいにある、この人口80万人の辺境都市には産業の成長に必要な開発地がもうなく、地元経済は衰退に向かうのではと懸念していた。
そこで、その解決策として選択されたのが、山を切り崩すことだ。
当局は多くの山を切り崩して人工の谷を作り、森林に覆われた丘陵地に取り囲まれた都市を作り出すプロジェクトを開始した。
そのゴールは、市の面積を70%拡大し、もっと多くの製造業を誘致できるようにすることだ。
地元の経済企画部署の幹部、Gong Bailin氏は
「十堰にとって投資を呼び込むことは非常に難しい」
とし、
「払う犠牲は大きいが、今や開発余地は一段と拡大している」
と述べた。
この20億ドル(約2060億円)近い予算の土地開発計画は約60%完成したところだ。
十堰の例は、中国の都市が経済成長を土地とその開発で得られる収入にますます依存するなか、成長を維持するために大胆な手段を取る状況を浮き彫りにしている。
十堰のような戦略で、都市が投資や雇用を拡大し続けられるという希望が持てる。
ただ、開発地を埋め尽くすだけの新たな工場やその他の事業を誘致できれば、という条件付きではある。
しかし一方で、不動産や輸出市場の好景気が続かなかった場合、各都市はさらに債務を抱え込み、さまざまな問題にさらされることになる。
そのようなリスクに加え、急激な開発と土地収用をめぐる民衆の怒りが拡大しているこの時期に、さらに多くの土地を開発することによる環境的かつ社会的コストだ。
工業団地の建設はとりわけ懸念が大きい。
道路や発電所、下水設備などのインフラを整備しても、そのコストを回収できるだけのプロジェクトを誘致できない可能性もあるからだ。
鉄鋼から造船に至るまで中国のさまざまな産業が既に生産能力過剰に陥っている。
中国国土資源部が2011年に行った調査では、
政府の認可を受けた341の工業団地の約4割で稼働率が50%を下回っていた。
アナリストは、同様の支援が得られていない他の何千という工業団地では、稼働率はさらに低い可能性もあると指摘した。
こうした状況にもかかわらず、地方政府は開発を続けている。
スウェーデンのストックホルム環境研究所の中国調査部門トップ、Karl Hallding氏は
「わたしはこれをカウボーイ経済と呼んでいる」
とし、
「地方政府が大きな力を持ち、中央政府は彼らを押さえ込むのに苦慮しているように見える」
と話す。
土地開発の取り組みをおおむね主導しているのは地方政府の役人で、その背景には彼らの出世が急速な経済成長の達成と連動していることにあるとアナリストは指摘する。
土地開発は短期的には経済活動を刺激し、長期的には大規模投資が期待できる。
首長にとっては、十分な用地の確保は投資を呼び込むマーケティングツールの1つだ。
エール大学で都市環境について教えるカレン・セト教授は
「中国の地方政府首長にとって土地は銀行だ」
と指摘。
「山を見ては文字通りコンドミニアムに変えられると考えている」
と話す。
地方政府は通常、工業団地などの開発プロジェクトに着手するにあたって資金を借り入れる必要があり、それは時に巨額に上ることもある。
その返済には主に、住居や商業ビルの開発業者に数十年にわたる土地使用権を売却して得られる資金を充てている。
工業団地や住宅需要は堅調に推移しているため、このビジネスモデルはこれまでのところ機能している。
しかし、開発が拡散し、中国全体の経済成長が減速するにつれ、土地使用権に依存した地方政府の開発モデルは危うくなるだろうとアナリストは指摘する。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月19日 7時42分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80669&type=0
中国の将来に影を落とす3大リスクとは―米誌
2013年12月16日、米誌フォーチュン(中国語サイト)は、3つのリスクが中国の将来に影響すると主張した。’
以下はその概要。
中国をいかに評価し、読み解くかについては、各人各様の意見がある。
しかし、外交官であろうと、投資家であろうと、ビジネスマンであろうと、すべての人々が普遍的なある観点を持っている。
それは、中国はハイリスク、ハイリターンの国家だ
ということである。
多くの人を悩ませているのは、中国で展開する業務が直面している実際のリスクについての識別や数量化が困難なことである。
中国では不動産市場にはシャドーバンキングの問題がついて回り、少数民族問題からも目が離せない。
このほか、中国に詳しい専門家は中国の3大リスクを指摘している。
リスク1.都市化
現在、中国では大規模な都市化を進めているが、
4億人もの人々が都市へ流入したら、状況はどのように変わってしまうのか。
問題は、社会発展の趨勢を調整しないまま、米国の人口の半分以上に相当する人々を都市の中へ移すことは、明らかに無理があるということである。
しかも、これをどうすれば実現できるのか、誰も断言できない。
リスク2.周辺国との摩擦のエスカレート
中国が最近、強引に設定した防空識別圏には、日本の防空識別圏と重なる部分がある。
これがどのような影響を引き起こすのだろうか。
防空識別圏そのものは問題ではないが、問題は事態がいかに発展するかである。
第1次世界大戦の導火線が、事態が絶えずエスカレートしていったことの結果だということは歴史が証明している。
リスク3.北朝鮮の存在
中国と北朝鮮の関係のカギを握っていた人物、張成沢(チャン・ソンテク)前国防委員会副委員長が処刑された。
これがどのような影響をもたらすのか、まだはっきり分かっていない。
金正恩(キム・ジョンウン)第1書記を失脚させることは難しくないだろうが、ひとたび事が発生すれば、北朝鮮に権力の空白の時期が出現し、社会の混乱を引き起こす可能性がある。
中国を含めた世界全体が頭を悩ませ続ける問題である。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月25日 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80873&type=0
社会科学院が欠陥を指摘、
「中国のGDPには多くの無効分が含まれている」―中国
2013年12月23日、人民網によると、「中国国家資産負債表分析国際研究討論会」が北京で開催された。
中国社会科学院の学部委員で副院長の李揚(リー・ヤン)研究員は、
「『中国国家資産負債表2013』によると、国家純資産の増加額が同年のGDP(国内総生産)よりも少ない状態が続いているが、これはGDPのすべてが純粋な資産の蓄積ではなく、多くの無効分が含まれていることを示している」
と指摘した。
李氏によれば、比較的緩やかな仮定条件の下、国家の純資産は各年のGDPの累積流量からなる。
2008~2011年の各年の純資産増加額もその年のGDPよりも少ないことから、毎年大幅に上昇している中国のGDP成長率は、実質の資産蓄積額に見合うものではないということが分かる。
その原因について李氏は、
「統計上の問題の他にGDPの算出方法そのものに欠陥がある」
と指摘。
過剰生産能力を形成するような投資や、資源や環境を破壊する活動などもGDPに組み込まれているという。
本来ならば、このような無効な投資額はGDPから控除しなければならない。
2010年を例にとると、純資産増加額とGDPの差は7兆5000億元(約128兆5000億円)で、同年のGDPの18.7%を占める。
この差額については、7兆5000億元がすべて浪費された、あるいは損失したという意味ではなく、GDPの質に大きな問題があることを意味している。
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