『
ウォールストリートジャーナル 2013年 12月 28日 18:05 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304299204579285742900075638.html?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst
高齢化で膨らむ中国の年金債務
3億4000万人の高齢者を抱える国がどんな国か想像してほしい。
これが20年も経たないうちに中国が直面する現実だ。
そのときには定年退職を迎えた人の数は現在の2倍になる。
中国にまつわる数字は何でも大きいが、急増する年金債務に関してはあらゆる数字の中でこの高齢者数が最も重要と言えるかもしれない。
中国は2009年以降、公的年金制度に5億人を加入させた。
10年間で全員の加入を目指している。
政府は「セーフティネットを設けて国民に支出を増やしてもらおう」という経済学的に健全な思考に基づき、加入者を増やそうと努めている。
支出が増えれば消費支出が経済に占める割合が増加して、借金による設備投資に依存せずに成長を追求できるだろう。
しかし、政府財政への負担が増すことで中国政府が進める経済モデルは制約を受けるかもしれない。
中国の中央政府の債務は国内総生産(GDP)比約20%と少なく見えるが、これには金額が正確に分かっていない巨額の地方政府の債務や国有の企業や銀行の債務、年金の原資不足は含まれていない。
バークレイズの推計では、年金の資金不足はGDPの35%にも上るとみられている。
投資の期待収益と人口増の変動を考慮に入れると、資金不足はさらに大きいと考える学者もいる。
そうなると、問題は約束した年金をどのように支払うか、である。
中国の人口が難しいのは人口がプロテニスプレーヤーのごとく、すぐに年を取る、ということだ。
一人っ子政策が導入され、人口増加期は早々に終わりを迎えた。
その結果、先進国と比べて、開発サイクルのごく早い段階で労働力が減少することになった。
中国の生産年齢人口は2012年に345万人減少した。
中国の生産年齢人口が減少するのはこれが初めてで、今後は悪化の一途をたどることが予想されている。
現在、全人口の70%近くが生産年齢人口で、60歳を超える人の割合は全体の14%にすぎない。
つまり、現役世代5人が1人の年金生活者を支えていることになる。
2030年には2.5人で1人を、
2050年には1.6人で1を支えると予想されている。
中国に年金積立金が十分にあるならそれは問題にならない。
しかし、中国は米国や欧州の年金制度を苦しめた賦課方式を採用し、拠出金から年金を支払っている。
上海社会科学院の左学金氏によると、これが原因で「空口座」現象が生じたという。
空口座現象とは労働者個人の年金口座の90%が今の退職者への支払いに使われていた問題を指す。
一人っ子政策を緩和しても問題は解決できそうにない。
出産が増えて労働力が増加するまでに16年かかる。
しかも、中国の出生率(現在1.6人)が急速に上昇するかどうかは疑わしい。
タイは中国と同程度の開発段階にあり、家族の人数に制限が課されていないが、出生率は中国と変わらない。
韓国、日本、シンガポールの出生率はさらに低い。
問題解決に役立つ政策もある。
先月開かれた中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では国有企業に対し、国庫への納付金の支払いを倍増させるよう指示する計画を打ち出した。
また、国有企業は株を政府の年金に拠出することも求められる。
中国ではほとんどの金融資産がなんらかの形で銀行の金利に縛られているため、銀行の預金金利の一部自由化によって年金の投資収益が上昇することが予想される。
定年の引き上げも行われるとみられ、中国は世界基準にさらに近づく(現在の定年は50歳から55歳の間で、性別や職業によって異なる)。
経済協力開発機構(OECD)域内の定年は平均で男性が64歳、女性が63歳だ。
地方所管の年金が一元化されれば、労働者が住所を移しても受給権を維持することができるようになる。
中央政府が財源を確保したとしても、実は約束した年金が受け取れると国民に説得する仕事のほうが難しい。
中国では1990年代の市場改革で、絶対に割れない「鉄の茶碗」のように安定していると言われた福利厚生が失われたため、国民は非常に疑い深い。
結果的に、国民は政府の年金制度への自発的な拠出を控え、その代わりに不動産や銀行預金に資金を回した。
一部には民間の保険商品を購入する人もあった。
年金制度の改善策に効果がなければ、こうした産業が利益を手にし続けるだろう。
中国政府にとって、年金問題の状況を変えるために支払い能力と同じくらい必要なのは信用である。
』
『
ロイター 2013年 12月 29日 08:25 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE9BR01820131228
中国「一人っ子政策」緩和を正式に決定、労働教育制度の廃止も
12月28日、新華社は、中国の全人代常務委員会が、「一人っ子政策」の緩和と、裁判なしで身柄を拘束できる「労働教育」制度の廃止を可決したと報じた。
●写真は11月、北京で撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[上海 28日 ロイター] -
新華社は、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が28日、
★.「一人っ子政策」の緩和と、
★.裁判なしで身柄を拘束できる「労働教育」制度の廃止
を可決したと報じた。
これらは、先月開かれた第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で、改革の一環としてその方針が発表されていた。
■.一人っ子政策の緩和については、夫婦のどちらか一方が一人っ子であれば第2子の出産が認められるようになった。
これまでは、夫婦2人とも一人っ子であることが条件だった。
』