●イージス巡洋艦「カウペンス(USS Cowpens)」
『
レコードチャイナ 配信日時:2013年12月14日 13時12分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80508&type=0
中国艦船と米ミサイル巡洋艦が一触即発、緊急停止で衝突回避―中国メディア
●14日、中国海軍の艦船と米海軍のミサイル巡洋艦が南シナ海で衝突しそうになり、緊急停止していたことが分かった。写真は中国の空母「遼寧」。
2013年12月14日、中国海軍の艦船と米海軍のミサイル巡洋艦が南シナ海で衝突しそうになり、緊急停止していたことが分かった。
環球時報が伝えた。
複数の海外メディアによると、米海軍のミサイル巡洋艦「カウペンス」が5日、南シナ海の公海を航行していたところ、中国艦船が停船を要求。
カウペンスは航行を続けたが、中国艦船に航行を妨害され、衝突しそうになったため、回避行動を取った。
米国防総省の関係者は、両者の距離は500メートルもなかったと話している。
中国海軍は空母「遼寧」の演習のため、編隊を組み、中国の青島港から出港し、南シナ海を航行していた。
カウペンスは「遼寧」を監視していたとみられる。
米国務省によると、不測の事態を招く危険な行動であったとして、米政府は外交・国防ルートを通じて中国政府に抗議している。
』
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AFP BBニュース 2013年12月14日 12:26 発信地:ワシントンD.C./米国
http://www.afpbb.com/articles/-/3005075?ctm_campaign=topstory
米中の軍艦が接近、連絡取り合って衝突は回避 南シナ海
●米海軍のイージス巡洋艦「カウペンス(USS Cowpens)」の戦闘情報センターで勤務する戦術行動士官(2003年3月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/Leila GORCHEV
【12月14日 AFP】
米海軍のイージス巡洋艦「カウペンス(USS Cowpens)」が今月5日、南シナ海(South China Sea)の公海を航行中に中国の軍艦と接近し、衝突を避けるため緊急回避行動を取っていたことが分かった。
複数の米国防当局者が13日、明らかにした。
匿名を条件に取材に応じた米国防当局者は電子メールで、中国艦はカウペンスの前方を横切る形で接近し、停船したと明らかにした。
停船した時点で2隻の間隔は500ヤード(約460メートル)以下だったという。
最終的には
「双方の艦橋にいた乗組員同士で意思の疎通が成立し、互いに双方が安全に通過できるように船を動かした」
という。
近くには中国初の空母「遼寧(Liaoning)」が航行していた。
平和的に解決されたものの今回の一件は、中国が先月東シナ海上空に防空識別圏(ADIZ)を設定したことによって米中間の緊張が高まっていることを改めて印象付けた。
(c)AFP
』
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jiji.com (2013/12/14-14:28)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013121400177
米中、軍の活動強化=偶発的衝突の危険-西太平洋
【ワシントン時事】
今月5日に南シナ海の公海上で米中両海軍の艦船が衝突間際まで接近していたことが発覚した。
今回の事態は、中国の海洋進出を受けて各国が軍の活動を活発化させる中、西太平洋で偶発的な衝突の危険が高まっていることを改めて浮き彫りにした。
中国は東シナ海、南シナ海で領有権の主張を強め、軍事力を背景に威圧的行動を続けている。
中国の公船は昨年9月の日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化以降、尖閣沖の日本領海に頻繁に侵入。
今年1月には、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射した。
南シナ海でも、中国船によるベトナム漁船襲撃事件などが発生。
中国が11月、東シナ海に防空識別圏を設定した背後には、洋上に加え、空でも自国の管理できる範囲を拡大しようという意図がうかがえる。
これに対し、西太平洋の広範囲で制海・制空権を握る米軍は、中国の船舶・航空機に対する警戒監視活動を強化している。
中国軍は、米軍の西太平洋への展開を阻止する「接近拒否戦略」を取ってけん制しており、米中のせめぎ合いは水面下で激しさを増していた。
ただ、米政府は今回の接近に関し、表向きは中国を非難せず、
「継続的で信頼できる意思疎通が事故の危険を和らげ、米中双方の利益になる」
と指摘するにとどめている。
米軍艦は、中国の海洋進出の象徴で、初めて遠洋航海に出た空母「遼寧」を監視していたとされ、米側も作戦行動の詳細を公にできない弱みを抱えている可能性がある。
』
『
wikipediaより
カウペンス (USS Cowpens, CG-63) は、アメリカ海軍のミサイル巡洋艦。
タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の17番艦。艦名はアメリカ独立戦争におけるカウペンスの戦いに因む。その名を持つ艦としては2隻目である。
』
イージス巡洋艦「カウペンス(USS Cowpens)」【USS COWPENS CG-63 Tour】
USS Cowpens in Thailand
『
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年12月16日
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-12/16/content_30906935.htm
中米の軍艦が危うく衝突事故 米国がインナーゾーンに突入
●資料写真:米国のミサイル巡洋艦カウペンス
米国防総省の高官は先週末、「中米両国の軍艦が、南中国海で衝突しかけた」と発表し、人々を驚かせた。
米国側は、
「米国のミサイル巡洋艦カウペンスが12月5日、南中国海の公海を合法的に航行している際に、中国の揚陸艦に正面から停止を迫られた。
カウペンスが緊急回避し、衝突が免れた」
と表明した。
米高官・メディアはこれにより、中国の艦艇の手法がいかに「危険で高圧的」であるかを喧伝したが、本件の発生の背景については細かい言及を避けた。
カウペンスは当時、南中国海で訓練中の空母「遼寧艦」の艦隊を偵察していた。
内情に詳しい中国側の消息筋は15日、環球時報の記者に対して、
「事件発生当日、米国の軍艦は中国空母艦隊のインナーゾーンに入っていた。
米国は自国のことを棚に上げて、他国を悪人扱いしている」
と指摘した。
中国海軍軍事専門家の李傑氏は、
「中国の艦艇が太平洋東海岸で米国の空母を追跡したら、米国はどのような感想を持つだろうか」
と反論し、米国の「強盗の理論」について問いただした。
■中米の艦艇、500メートル内に接近
ワシントン・ポスト紙は、同事件の経過をより詳細に伝えた。
カウペンスは当時、遼寧艦の偵察任務を遂行していた。
遼寧艦は先ほど、中国北部の青島港を出港し、南中国海の訓練に向かった。
中国海軍の1隻の揚陸艦が警告信号を出し、カウペンスに停止を求めた。
しかしカウペンスはこれを無視し航行を継続した。
これはカウペンスが当時、公海に入っていたためだ。
中国の揚陸艦はその後カウペンスに接近し、前方で停止し、方向転換を迫った。
米国の高官は、これは危険な行為だと指摘した。
AFP通信は、
「この中国の揚陸艦は、米国の巡洋艦の500メートル内に接近した。米中(ママ)の軍艦の対峙は何事も無く終了したが、本件は東中国海の防空識別圏の発表に続き、米中関係の緊迫ムードを示した」
と報じた。
500メートルの距離は、2隻の軍艦にとって何を意味するのだろうか?
李氏は、
「海上の艦艇は通常、時速50キロ以上の速度で航行する。
2隻の艦艇が正面から接近した場合、回避しなければ十数秒で衝突する可能性がある。
また軍艦は一般的に体積が大きく、500メートルという距離には一定の危険性がある。
中米の戦闘機が当時衝突したように、両軍の艦艇の距離が近づけば、事故が発生しやすくなる」
と分析した。
』
『
JB Press 2013.12.19(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39466
米軍巡洋艦に中国揚陸艦が「突撃」、
衝突も辞さない中国海軍の攻撃的方針理想主義的な対中包容政策は捨て去る時期
●アメリカ海軍ミサイル巡洋艦カウペンス(先頭、写真:アメリカ国防総省)
中国が東シナ海上空域に防空識別圏(運用からは制限空域)を設定したことに対して反発した日本政府や韓国政府は、日本・中国・韓国訪問中のバイデン米副大統領に対中圧力を期待した。
バイデン副大統領は安部首相との会談をはじめとする日本訪問を終えて中国で習近平国家主席と会談したあと、12月5日に韓国に到着した。
ちょうどその日、南シナ海で事件が発生した。
南シナ海で訓練中の中国海軍空母「遼寧」を、アメリカ海軍ミサイル巡洋艦が公海上で監視していたところ、中国海軍軍艦が停船要求信号を発しながら衝突危険距離まで急接近した。
そのためアメリカ海軍巡洋艦は緊急回避行動を取り、衝突を回避した。
この事件は、バイデン副大統領の中国訪問中は、必要以上に米中間緊張を煽らないために公表されなかった。
バイデン氏がアメリカに戻り、日本で日本-ASEAN特別会議が開催されている時期に合わせた形で発表された。
今度はアメリカ政府が、中国の脅威を受けている日本そしてASEAN諸国に対中非難声明を発することを期待したようである。
■緊急回避行動で中国海軍揚陸艦との衝突を回避
11月29日、中国海軍空母「遼寧」はミサイル駆逐艦2隻とミサイルフリゲート2隻とともに母港である青島軍港から台湾海峡を南下して、海南島三亜に新設された空母基地に到着した。
それ以降、三亜基地を本拠地にして青島から移動してきた5隻の空母艦隊に中国南海艦隊の艦艇も加わって南シナ海で各種訓練を実施していた。
12月5日も、「遼寧」を中心とする中国海軍艦隊は南シナ海の公海上で訓練を実施していた。
一方、フィリピンでの巨大台風救援支援活動のためレイテ島沖で活動していたアメリカ海軍空母「ジョージ・ワシントン」を中心とするジョージ・ワシントン空母打撃群は、11月22日に救援活動を終了して日本に戻る途中、フィリピン救援活動により延期されていた海上自衛隊との共同演習を西太平洋において実施し、12月5日、母港である横須賀に帰還した。
ただし、巨大台風救援支援活動に参加していたミサイル巡洋艦「カウペンス」(最大排水量9800トン、タイコンデロガ級イージスシステム搭載ミサイル巡洋艦、母港:サンディエゴ)は、ジョージ・ワシントン艦隊と別行動をとり、南シナ海において中国海軍「遼寧」空母訓練艦隊の動向を監視する任務を遂行していた。
アメリカ海軍はカウペンス以外にも電子偵察機「EP-3」や長距離無人偵察機「グローバルホーク」などによって、「遼寧」をはじめとする中国艦隊の動向の把握に努めていた。
12月5日、南シナ海公海上で訓練中の空母「遼寧」を監視していたカウペンスに、「遼寧」と行動を共にしていた中国海軍軍艦が「停船せよ」との信号を発しながら接近してきた。
アメリカ海軍関係者によるとこの中国軍艦は輸送揚陸艦(LST)であったということであるため玉庭型揚陸艦(最大排水量4800トン)と考えられる。
カウペンスは、平時において公海上で他国の軍艦に対して停船要求を発するという中国海軍揚陸艦による国際ルールを無視した信号を、当然のことながら黙殺して航行を続けた。
ところが中国海軍揚陸艦はカウペンスの針路を阻むようにカウペンス進行方向前方に急接近した。
カウペンスと中国海軍揚陸艦の距離が500メートルを切り衝突の可能性が大きくなったためカウペンス艦長は緊急回避行動をとり揚陸艦との衝突をかろうじて回避した。
■建設中の海軍力を使用し始めた中国
この事件に関して、中国海軍を専門にする米海軍関係者やアナリストの中には、中国海軍は万一衝突によって27隻保有している輸送揚陸艦の1隻を失っても構わないとの覚悟を持ってイージス巡洋艦に肉薄させた可能性も否定できない、と中国海軍の無謀さを危惧している人々もいる。
(ある米陸軍大将が筆者に語ったところによると、大将が訪中した際の人民解放軍との宴席で、何かで興奮した人民解放軍大将がテーブルをぶっ叩きながら
「アメリカはロサンゼルスが核攻撃を受けた瞬間に戦争継続は困難になるだろうが、我々はたとえ上海が核攻撃で消え去っても戦争は継続できる」
と息巻いていたという。
数は少なくなっているとはいえ、このような輩が存在する人民解放軍ならば、公海上でアメリカ巡洋艦に揚陸艦を体当りさせる程度の無茶をしかねない。)
今回のカウペンス事件は、2001年に中国海軍戦闘機が、海南島の海軍基地をはじめとする海南島周辺情報を収集していた米海軍EP-3電子偵察機を威嚇するため接近した中国軍戦闘機が衝突した事件と違い、カウペンスと中国海軍揚陸艦の衝突という事態は回避された。
しかし、中国側が、このような極めて危険かつ強硬な手段をもってアメリカ海軍軍艦を威嚇するのは、
「南シナ海は(そして東シナ海も含んだ東アジア海域は)アメリカ海軍によって支配される海ではない。
これからは中国海軍が統制する。
もしアメリカ海軍がこの海域でこれまでの通りに作戦行動をとり続けたいのならば、中国海軍との間に高い緊張状態に曝されることになるであろう。
それが嫌なら、この海域から出て行け」
という政治的メッセージを、目に見える形で発信しようとしているためである。
1980年代後期から本腰を入れて建設が進められてきた中国人民解放軍海軍は、いまだにアメリカ海軍第7艦隊はもとより、海上自衛隊に対しても圧倒的優勢という段階に到達するには至っていない。
しかし、中国海軍はその海軍力を「建設するだけ」ではなく
「政治的に使用しながら建設を続ける」段階
に入ったと考えられる。
このような中国海軍の強硬姿勢が習近平の中国共産党政府の統制によるものか否かにかかわらず、中国海軍をはじめとする中国軍部が、南シナ海や東シナ海で積極的行動に打って出ていることは、尖閣諸島周辺の状況や防空識別圏設定宣言、それにカウペンス事件を見ても明らかな事実である。
したがって、今後は中国海軍が、南シナ海や東シナ海でアメリカ海軍や海上自衛隊の艦艇に対してカウペンス事件に類似した行動を取ることは十二分に想定しておかねばならない。
■対中包容政策はもはやナンセンス
そこで、日米同盟側が歩調を揃えて、かつ腹をくくって打ち出さねばならないのは、極めて攻撃的な中国海軍をはじめとする中国海洋戦略に対する態度である。
アメリカの対中問題専門家や軍高官の中にも、
「中国指導部といえども、アメリカや日本との剥き出しの衝突を望むものはいないが、露骨な対中包囲網に対しては強硬な態度を取らざるを得ない。
ただし現時点における対中強硬策は得策ではなく、ある程度中国指導部の面子を保つように中国側に理解を示しつつ中国軍との不測の衝突を避けながら米中関係を進展させていくことが肝要である」
といった類の包容政策を唱導する勢力も少なくない。
しかしながら、はたして国際法や国際的ルール、それに条約など自分に都合の良いものは除いて歯牙にもかけない中国共産党政府・人民解放軍を相手に包容政策が有効なのであろうか?
確かに中国政府が拠って立つように、国際法や国際的ルールなどは強国が自国の都合の良いように定めたものであるという見解は相当程度事実とは言えるかもしれない。
しかし、かつて明治以降、日本が地道に長い時間をかけて不平等条約を改定していったような努力は馬鹿げた態度と見なす中国共産党政府の方針(確かにその方針の善悪は価値観の問題になってしまうのであるが)そのものが、すでに国際的ルールとは相容れない。
そうである以上、そのような国際常識の存在を前提としている包容政策を中国共産党政府・軍部に期待することに無理があるのは自明である。
これら包容政策論者に対して、次のような対中強硬論も登場している。
つまり、昨今ますます強硬手段に訴えている中国に対しては、
「東シナ海や南シナ海において、我々の目の前で発生している様々な事件(という事実)から判断するならば、アメリカと日本は、東アジアの平和と安定を維持するために武装平和を希求する段階に立ち至っている。
例えば、尖閣諸島を含んだ南西諸島を重武装したり、アメリカと日本がフィリピンの弱体な海軍・空軍力を強化する手助けをしたりするといった、中国に対しては絶対に妥協しないという態度を(口だけでなく)目に見える形で示す必要がある」
といったような主張である。
最前線の当事国の1つである日本が、あやふやな態度や口先だけの強硬姿勢を示し続けていたのでは、アメリカ政府の対中姿勢も、関係当事国全てに対して等距離を取る妥協的態度が継続してしまうであろう。
アメリカに対しても強硬手段を厭わない中国の攻撃的海洋戦略から日本の領域を守り抜くには、あまりに理想主義的な包容政策はきっぱり選択肢から除外する段階に立ち至っている。
北村 淳 Jun Kitamura
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は戦争&平和社会学・海軍戦略論。米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める。現在サン・ディエゴ在住。著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)等がある。
』
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「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年12月16日
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-12/16/content_30906935.htm
中米の軍艦が危うく衝突事故 米国がインナーゾーンに突入
●資料写真:米国のミサイル巡洋艦カウペンス
米国防総省の高官は先週末、「中米両国の軍艦が、南中国海で衝突しかけた」と発表し、人々を驚かせた。
米国側は、
「米国のミサイル巡洋艦カウペンスが12月5日、南中国海の公海を合法的に航行している際に、中国の揚陸艦に正面から停止を迫られた。
カウペンスが緊急回避し、衝突が免れた」
と表明した。
米高官・メディアはこれにより、中国の艦艇の手法がいかに「危険で高圧的」であるかを喧伝したが、本件の発生の背景については細かい言及を避けた。
カウペンスは当時、南中国海で訓練中の空母「遼寧艦」の艦隊を偵察していた。
内情に詳しい中国側の消息筋は15日、環球時報の記者に対して、
「事件発生当日、米国の軍艦は中国空母艦隊のインナーゾーンに入っていた。
米国は自国のことを棚に上げて、他国を悪人扱いしている」
と指摘した。
中国海軍軍事専門家の李傑氏は、
「中国の艦艇が太平洋東海岸で米国の空母を追跡したら、米国はどのような感想を持つだろうか」
と反論し、米国の「強盗の理論」について問いただした。
■中米の艦艇、500メートル内に接近
ワシントン・ポスト紙は、同事件の経過をより詳細に伝えた。
カウペンスは当時、遼寧艦の偵察任務を遂行していた。
遼寧艦は先ほど、中国北部の青島港を出港し、南中国海の訓練に向かった。
中国海軍の1隻の揚陸艦が警告信号を出し、カウペンスに停止を求めた。
しかしカウペンスはこれを無視し航行を継続した。
これはカウペンスが当時、公海に入っていたためだ。
中国の揚陸艦はその後カウペンスに接近し、前方で停止し、方向転換を迫った。
米国の高官は、これは危険な行為だと指摘した。
AFP通信は、
「この中国の揚陸艦は、米国の巡洋艦の500メートル内に接近した。米中(ママ)の軍艦の対峙は何事も無く終了したが、本件は東中国海の防空識別圏の発表に続き、米中関係の緊迫ムードを示した」
と報じた。
500メートルの距離は、2隻の軍艦にとって何を意味するのだろうか?
李氏は、
「海上の艦艇は通常、時速50キロ以上の速度で航行する。
2隻の艦艇が正面から接近した場合、回避しなければ十数秒で衝突する可能性がある。
また軍艦は一般的に体積が大きく、500メートルという距離には一定の危険性がある。
中米の戦闘機が当時衝突したように、両軍の艦艇の距離が近づけば、事故が発生しやすくなる」
と分析した。
』
『
JB Press 2013.12.19(木)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39466
米軍巡洋艦に中国揚陸艦が「突撃」、
衝突も辞さない中国海軍の攻撃的方針理想主義的な対中包容政策は捨て去る時期
●アメリカ海軍ミサイル巡洋艦カウペンス(先頭、写真:アメリカ国防総省)
中国が東シナ海上空域に防空識別圏(運用からは制限空域)を設定したことに対して反発した日本政府や韓国政府は、日本・中国・韓国訪問中のバイデン米副大統領に対中圧力を期待した。
バイデン副大統領は安部首相との会談をはじめとする日本訪問を終えて中国で習近平国家主席と会談したあと、12月5日に韓国に到着した。
ちょうどその日、南シナ海で事件が発生した。
南シナ海で訓練中の中国海軍空母「遼寧」を、アメリカ海軍ミサイル巡洋艦が公海上で監視していたところ、中国海軍軍艦が停船要求信号を発しながら衝突危険距離まで急接近した。
そのためアメリカ海軍巡洋艦は緊急回避行動を取り、衝突を回避した。
この事件は、バイデン副大統領の中国訪問中は、必要以上に米中間緊張を煽らないために公表されなかった。
バイデン氏がアメリカに戻り、日本で日本-ASEAN特別会議が開催されている時期に合わせた形で発表された。
今度はアメリカ政府が、中国の脅威を受けている日本そしてASEAN諸国に対中非難声明を発することを期待したようである。
■緊急回避行動で中国海軍揚陸艦との衝突を回避
11月29日、中国海軍空母「遼寧」はミサイル駆逐艦2隻とミサイルフリゲート2隻とともに母港である青島軍港から台湾海峡を南下して、海南島三亜に新設された空母基地に到着した。
それ以降、三亜基地を本拠地にして青島から移動してきた5隻の空母艦隊に中国南海艦隊の艦艇も加わって南シナ海で各種訓練を実施していた。
12月5日も、「遼寧」を中心とする中国海軍艦隊は南シナ海の公海上で訓練を実施していた。
一方、フィリピンでの巨大台風救援支援活動のためレイテ島沖で活動していたアメリカ海軍空母「ジョージ・ワシントン」を中心とするジョージ・ワシントン空母打撃群は、11月22日に救援活動を終了して日本に戻る途中、フィリピン救援活動により延期されていた海上自衛隊との共同演習を西太平洋において実施し、12月5日、母港である横須賀に帰還した。
ただし、巨大台風救援支援活動に参加していたミサイル巡洋艦「カウペンス」(最大排水量9800トン、タイコンデロガ級イージスシステム搭載ミサイル巡洋艦、母港:サンディエゴ)は、ジョージ・ワシントン艦隊と別行動をとり、南シナ海において中国海軍「遼寧」空母訓練艦隊の動向を監視する任務を遂行していた。
アメリカ海軍はカウペンス以外にも電子偵察機「EP-3」や長距離無人偵察機「グローバルホーク」などによって、「遼寧」をはじめとする中国艦隊の動向の把握に努めていた。
12月5日、南シナ海公海上で訓練中の空母「遼寧」を監視していたカウペンスに、「遼寧」と行動を共にしていた中国海軍軍艦が「停船せよ」との信号を発しながら接近してきた。
アメリカ海軍関係者によるとこの中国軍艦は輸送揚陸艦(LST)であったということであるため玉庭型揚陸艦(最大排水量4800トン)と考えられる。
カウペンスは、平時において公海上で他国の軍艦に対して停船要求を発するという中国海軍揚陸艦による国際ルールを無視した信号を、当然のことながら黙殺して航行を続けた。
ところが中国海軍揚陸艦はカウペンスの針路を阻むようにカウペンス進行方向前方に急接近した。
カウペンスと中国海軍揚陸艦の距離が500メートルを切り衝突の可能性が大きくなったためカウペンス艦長は緊急回避行動をとり揚陸艦との衝突をかろうじて回避した。
■建設中の海軍力を使用し始めた中国
この事件に関して、中国海軍を専門にする米海軍関係者やアナリストの中には、中国海軍は万一衝突によって27隻保有している輸送揚陸艦の1隻を失っても構わないとの覚悟を持ってイージス巡洋艦に肉薄させた可能性も否定できない、と中国海軍の無謀さを危惧している人々もいる。
(ある米陸軍大将が筆者に語ったところによると、大将が訪中した際の人民解放軍との宴席で、何かで興奮した人民解放軍大将がテーブルをぶっ叩きながら
「アメリカはロサンゼルスが核攻撃を受けた瞬間に戦争継続は困難になるだろうが、我々はたとえ上海が核攻撃で消え去っても戦争は継続できる」
と息巻いていたという。
数は少なくなっているとはいえ、このような輩が存在する人民解放軍ならば、公海上でアメリカ巡洋艦に揚陸艦を体当りさせる程度の無茶をしかねない。)
今回のカウペンス事件は、2001年に中国海軍戦闘機が、海南島の海軍基地をはじめとする海南島周辺情報を収集していた米海軍EP-3電子偵察機を威嚇するため接近した中国軍戦闘機が衝突した事件と違い、カウペンスと中国海軍揚陸艦の衝突という事態は回避された。
しかし、中国側が、このような極めて危険かつ強硬な手段をもってアメリカ海軍軍艦を威嚇するのは、
「南シナ海は(そして東シナ海も含んだ東アジア海域は)アメリカ海軍によって支配される海ではない。
これからは中国海軍が統制する。
もしアメリカ海軍がこの海域でこれまでの通りに作戦行動をとり続けたいのならば、中国海軍との間に高い緊張状態に曝されることになるであろう。
それが嫌なら、この海域から出て行け」
という政治的メッセージを、目に見える形で発信しようとしているためである。
1980年代後期から本腰を入れて建設が進められてきた中国人民解放軍海軍は、いまだにアメリカ海軍第7艦隊はもとより、海上自衛隊に対しても圧倒的優勢という段階に到達するには至っていない。
しかし、中国海軍はその海軍力を「建設するだけ」ではなく
「政治的に使用しながら建設を続ける」段階
に入ったと考えられる。
このような中国海軍の強硬姿勢が習近平の中国共産党政府の統制によるものか否かにかかわらず、中国海軍をはじめとする中国軍部が、南シナ海や東シナ海で積極的行動に打って出ていることは、尖閣諸島周辺の状況や防空識別圏設定宣言、それにカウペンス事件を見ても明らかな事実である。
したがって、今後は中国海軍が、南シナ海や東シナ海でアメリカ海軍や海上自衛隊の艦艇に対してカウペンス事件に類似した行動を取ることは十二分に想定しておかねばならない。
■対中包容政策はもはやナンセンス
そこで、日米同盟側が歩調を揃えて、かつ腹をくくって打ち出さねばならないのは、極めて攻撃的な中国海軍をはじめとする中国海洋戦略に対する態度である。
アメリカの対中問題専門家や軍高官の中にも、
「中国指導部といえども、アメリカや日本との剥き出しの衝突を望むものはいないが、露骨な対中包囲網に対しては強硬な態度を取らざるを得ない。
ただし現時点における対中強硬策は得策ではなく、ある程度中国指導部の面子を保つように中国側に理解を示しつつ中国軍との不測の衝突を避けながら米中関係を進展させていくことが肝要である」
といった類の包容政策を唱導する勢力も少なくない。
しかしながら、はたして国際法や国際的ルール、それに条約など自分に都合の良いものは除いて歯牙にもかけない中国共産党政府・人民解放軍を相手に包容政策が有効なのであろうか?
確かに中国政府が拠って立つように、国際法や国際的ルールなどは強国が自国の都合の良いように定めたものであるという見解は相当程度事実とは言えるかもしれない。
しかし、かつて明治以降、日本が地道に長い時間をかけて不平等条約を改定していったような努力は馬鹿げた態度と見なす中国共産党政府の方針(確かにその方針の善悪は価値観の問題になってしまうのであるが)そのものが、すでに国際的ルールとは相容れない。
そうである以上、そのような国際常識の存在を前提としている包容政策を中国共産党政府・軍部に期待することに無理があるのは自明である。
これら包容政策論者に対して、次のような対中強硬論も登場している。
つまり、昨今ますます強硬手段に訴えている中国に対しては、
「東シナ海や南シナ海において、我々の目の前で発生している様々な事件(という事実)から判断するならば、アメリカと日本は、東アジアの平和と安定を維持するために武装平和を希求する段階に立ち至っている。
例えば、尖閣諸島を含んだ南西諸島を重武装したり、アメリカと日本がフィリピンの弱体な海軍・空軍力を強化する手助けをしたりするといった、中国に対しては絶対に妥協しないという態度を(口だけでなく)目に見える形で示す必要がある」
といったような主張である。
最前線の当事国の1つである日本が、あやふやな態度や口先だけの強硬姿勢を示し続けていたのでは、アメリカ政府の対中姿勢も、関係当事国全てに対して等距離を取る妥協的態度が継続してしまうであろう。
アメリカに対しても強硬手段を厭わない中国の攻撃的海洋戦略から日本の領域を守り抜くには、あまりに理想主義的な包容政策はきっぱり選択肢から除外する段階に立ち至っている。
北村 淳 Jun Kitamura
戦争平和社会学者。東京生まれ。東京学芸大学教育学部卒業。警視庁公安部勤務後、平成元年に北米に渡る。ハワイ大学ならびにブリティッシュ・コロンビア大学で助手・講師等を務め、戦争発生メカニズムの研究によってブリティッシュ・コロンビア大学でPh.D.(政治社会学博士)取得。専攻は戦争&平和社会学・海軍戦略論。米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める。現在サン・ディエゴ在住。著書に『アメリカ海兵隊のドクトリン』(芙蓉書房)、『米軍の見た自衛隊の実力』(宝島社)、『写真で見るトモダチ作戦』(並木書房)、『海兵隊とオスプレイ』(並木書房)、『尖閣を守れない自衛隊』(宝島社)等がある。
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