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JB Press 2013.12.13(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39430
誰も影響を免れない中国の「重力マシン」
(2013年12月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
●デビッド・キャメロン英首相はようやく訪中を許された〔AFPBB News〕
鄧小平は「韜光養晦(タオ・グアン・ヤン・フイ)」という古い中国の諺を好んで引用した。
これは一般に「才能を隠し、好機が来るのを待つ」と訳されている。
その考え方は、中国の能力を明らかにする適切な時期が来るまで、それを隠しておくということだった。
それまでは、所得を増やし、中国を世界の経済システムに統合させることが優先された。
中国は今、楽々と世界第2位の経済大国になっており、かなりの確率で世界最大の経済大国になる途上にある。
中国には、チャイナドリーム(中国夢)――「中華民族の偉大な復興」――という明確な表現で国家の偉大さを取り戻すことをはっきりと目指している指導者、習近平氏がいる。
謙虚なふりをする時代は終わったようだ。
自国が尊敬に値する国、もっと言えば恭順にすら値する国であるという中国の意識の高まりは、2008年以降顕著になっている。
リーマン危機は、全般的には市場資本主義、特に米国の絶対確実性に対する中国の信頼を揺るがした。
最近は、そのプロセスがさらに先へと進んでいる。
中国は、外国企業の幹部、国の指導者、ジャーナリストなどに対する影響力を一様に強めている。
アジア・ソサエティー米中関係センターのオービル・シェル所長の言葉を借りれば、中国政府はその「重力マシン」の回転速度を上げ、相手にする人々を一段と強力に引っ張り込んでいる。
英国のデビッド・キャメロン首相からブルームバーグ・ニュースのマット・ウィンクラー編集長に至るまで、あらゆる人がその影響を受けている。
経済的な離陸を遂げる鄧小平の計画は、外国の資本と技術を呼び込むことに依存していた。
だが、中国が豊かになるにつれ、誰が誰をより必要としているのかは、もはや明確ではなくなっている。
■中国で叩かれる外国企業
中国政府は、最近までは許容範囲内と見なされたかもしれない商慣行を巡り、外国企業に挑戦しつつある。
アップルの最高経営責任者(CEO)、ティム・クック氏は今年、同社の携帯端末「iPhone(アイフォーン)4S」を修理する保証プログラムの適用における自社の「傲慢さ」について謝罪することを余儀なくされた。
ダノンなどの粉ミルクメーカーは、反競争的慣行とされる行為に関わったことで制裁金を科せられた。
直近の例はグラクソ・スミスクライン(GSK)で、医師や病院を買収して自社の医薬品を処方させた罪でお灸を据えられている。
同社CEOのアンドリュー・ウィティー氏は既に、GSK製品のコストの引き下げを検討すると表明している。
外国企業は、かつては大きな影響力を持っていた。
だが、今は中国――世界最大で最も急成長を遂げている消費者市場――が支配的立場に立っている、というのが新たな現実であるように見える。
■各国首脳も中国詣で
中国の重力マシンの威力を感じているのは、CEOたちだけではない。
英国は、キャメロン首相が向こう見ずにもダライ・ラマと会談した後、1年間にわたり、ほぼ排斥された。
フランスのフランソワ・オランド大統領が4月に北京への公式訪問を認められた時は、一部の随行員たちは英国に勝利した喜びをほとんど隠しもしなかった。
彼らが口をつぐんでいたのは、ニコラ・サルコジ前大統領と違い、オランド大統領がダライ・ラマと会うのを控えていたことだった。
フランスは、19世紀に頤和園から略奪された2つの銅頭を、一種の現代の「逆の貢ぎ物」として返却することさえした。
キャメロン首相は、ゲームのし方を学んだように見える。
今月中国の首都を訪問した時は、首相はまさに礼儀作法そのもので、人権にはほとんど言及しなかった。
キャメロン首相の訪中期間中、習主席一家の蓄財疑惑を暴露する記事を掲載したブルームバーグの英国人ジャーナリストが記者会見から締め出された。
英国政府は、そうした干渉に対する「深い懸念」を表明したが、記者会見は、そのジャーナリスト抜きでそのまま行われた。
■メディアや大学にも影響力
ブルームバーグはずっと騒動の渦中にあった。
中国の指導者たちの蓄財を調査するという大胆不敵さを持ったもう1つの報道機関ニューヨーク・タイムズ紙とともに、ブルームバーグは自社ジャーナリストの中国ビザを更新するのに苦労してきた。
ウィンクラー編集長は、中国に関する微妙な記事を没にしたと言われている。
もっとも同氏は、記事は「発表の準備が整っていなかった」と話しており、ブルームバーグは中国事業の利益を守るために編集の品位を汚したとの見方を一切否定している。
だが、シェル氏が言うように、中国政府の報復能力について深く考えたことのないジャーナリストは――どの会社のジャーナリストであれ――ほとんどいないはずだ。
大学でさえ影響を受けているかもしれない。
迫害を逃れて渡米した盲目の人権活動家で法律家の陳光誠氏は、中国政府からの圧力を受けて、自身の客員研究員としての資格を早期に打ち切ったとして、ニューヨーク大学を非難した。
上海に新しくキャンパスを開設したニューヨーク大学は、この非難を否定している。
中国の影響力が強まっていることを示す最も明らかな例は、中国が先月、日本と論争している島嶼を含む空域も対象とする防衛識別圏(ADIZ)の設定を宣言したことだ。
米国政府は、ADIZを発表した唐突なやり方を非難したが、ADIZを管理するルールに従うよう国内航空会社に伝えている。
というわけで、中国はますます、対話相手と付き合う条件を決定するようになっている。
その多くは、2000年にわたって傑出した大国として扱われることに慣れていた国家として予想されることであり、自然なことでさえある。
だが、だからと言って、世界の国々がそれを受け入れるのが簡単になるわけではない。
By David Pilling
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この傲慢な大国、つまり世界のあらゆる国が膝を屈することを受け入れている国に対して、
毅然と立ち向かう姿勢を明確にしている唯一の国が日本ということになる。
なら、日本はピエロか、それとも滅亡の縁に立つ亡霊か。
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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月16日 9時49分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80547&type=0
ロック米国大使「リバランスは中国封じ込めではない」
=強い中国を歓迎すると強調―中国メディア
●2013年12月14日、米国のロック駐中国大使は「三亜財政経済国際フォーラム」に出席、「米中戦略の相互不信と相互信頼」というテーマで講演し、米国のリバランス戦略は中国封じ込めのためのものではないと語った。写真はロック大使。
2013年12月14日、米国のロック駐中国大使は「三亜財政経済国際フォーラム」に出席、「米中戦略の相互不信と相互信頼」というテーマで講演し、米国は中国と安定的、建設的関係を確立しなければならないと述べ、
米国のリバランス戦略は中国封じ込めのためのものではないと述べた。
15日付で人民網が伝えた。
ロック大使は、中国とさらに多くの交流を持ち、ともに国際秩序を守っていきたいと語った。
また、
「世界の二大経済大国として、両国の政策は国境を超えた影響力を持つ、最強の枠組を作り、世界の発展を維持していきたい」
と述べ、
「米国とアジアの関係は、長きにわたって保持してきた同盟関係が基礎となっているが、新興の強国と新たなパートナー関係を確立する必要もある。
中国との安定的、建設的な関係は、米中だけでなく地域ないしは世界の利益になる」
と語った。
ロック大使は、リバランス戦略は中国封じ込めではなく、力強い米中関係こそが戦略の要点であり、中国とさらに付き合いを深めていきたいという意味であると強調した。
ロック大使は、習近平(シー・ジンピン)国家主席が就任後にオバマ大統領と2回会談を行い、バイデン副大統領が北京を訪問したことに触れ、両国のハイレベルでの行き来が増えていると指摘した。
「中国が勝てば米国が負けるといったゼロサムゲームではなく、米国は強大で繁栄した中国を歓迎している。
われわれとともにルールに基づく国際秩序を守り、世界各国の平和と安定を守る中国を歓迎する」
と述べた。
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「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年12月16日
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2013-12/16/content_30906229.htm
甲午戦争から120年 日本は中国の敵ではない
わずか数年前の2009年、民主党の鳩山政権は、沖縄一国二制度、両岸(大陸部と台湾)及び日韓国民の沖縄訪問ビザ免除、沖縄の学生の中国語の学習、沖縄の通貨発行、中韓と同じ標準時区を設定、より重要なこととして沖縄からの米軍基地撤退などの内容を含む「沖縄ビジョン」を提示した。
台湾紙・中国時報が伝えた。
同じく数年前、当時の日本政府は中日韓の経済と貿易の統合を積極的に進め、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(中日韓)の自由貿易区だけでなく、2012年6月からはそれまでドルを介していた世界第2、第3の経済大国である中国の人民元と日本の円の直接取り引きが始まった。
これは中日の経済貿易関係の深遠な発展を後押ししただけでなく、国際通貨体制の改革に深遠な影響を及ぼし、ひいては国際取引通貨のドルに影響を与える端緒を開いたとさえいうことができる。
しかし東アジアの中日韓の平和的統合の過程はまず米国が沖縄基地の移設を拒否したことで、鳩山政権は退陣を余儀なくされ、続いて石原慎太郎都知事(当時)が釣魚島(日本名・尖閣諸島)購入という敏感な議題を突然持ち出し、民主党の野田政権はそれに足並みを揃えるざるを得なくなり、国有化によって東中国海は嵐が吹き荒れる波乱の展開となった。
日中友好を掲げてきた民主党が失脚すると今度は中国に闘志を漲らせ、剣の先を向けた安倍政権が発足した。
米国の「アジア回帰」、「リバランス」は唯一のスーパー大国としての大戦略の一環であり、ドルの国際決済通貨の地位を守るために必然的なことでもある。
そのため合理的な大戦略として、中国を牽制し、欧州を分裂させ、ロシアに備えなければならない。
経済上、米国は中日の通貨の直接取り引きに干渉し、アジア通貨の動きをつぶし、環太平洋経済連携協定(TPP)を推し進め、中国主導の東アジアと東南アジアの自由貿易区に取って代わる必要がある。
ナショナリズムの神経を挑発すれば、中日韓地域統合の更なる協力はなく、新たに現れた通貨を中心とする周辺地域で衝突や戦争が起きれば、新通貨を中心に存在し、順調に動いている国際的な安全保障環境も存在しなくなることを米国はよくわかっている。
甲午戦争(日本名・日清戦争)以来、2つの60年という国運の転換を経て、中国と日本はまた国運の交差点に辿りついた。
日の出の勢いで国力が上昇し、鼻高々の中国と、
夕日が沈むように国力が萎縮し、イライラして不満ばかりの日本。
米国は心に不満がある日本の右翼を利用して中国に対抗している。
こうした角度からみると、米国のアジア回帰とリバランス戦略は「非常に成功」したといえる。
日本は韓国との独島(日本名・竹島)問題、ロシアとの北方四島問題を棚上げして、全力で中国に対抗している。
しかし日本は高齢化、経済衰退で、戦争に動員できる潜在力は遠く中国に及ばない。
ひたすら「正常な国」に戻りたい日本が却って日米安保条約の保護の傘に頼って「正常な区に」からますます離れていっている。
中日の釣魚島をめぐる衝突は偶然の摩擦ではない。
これは地政力の押し合いで、時代の交代の必然でもある。
日本は結局中国の敵ではないため、台頭する東アジアの強国である中国が知恵を絞って地域の緊張を解き、「正常な国」になるのを阻んでいるのは中国ではなく、日米安保であることを日本に理解させなければならない。
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