2013年12月4日水曜日

日本は長期の緊張に耐えられない?:中国防空識別圏の狙いは心理戦で勝つこと

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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月4日 5時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79988&type=0

<防空識別圏>中国の狙いは心理戦で勝つこと、日本は長期の緊張に耐えられない―露メディア

2013年12月2日、人民網によると、露ラジオ局・ロシアの声は「中国設定の防空識別圏が持つリスク」と題した記事を掲載した。

 中国政府による防空識別圏の設定がもたらした結果について、ロシア戦略・技術分析センターのワスィーリイ・カーシン所長は、
 「米国や日本の空軍機が中国側への通告なしに識別圏内を飛行することは明白だった」
と話す。
 問題なのは、防空識別圏に他国の空軍機が入ってきた場合の中国政府の対応である。
 中国が他国に対し、政治的な声明や警告を出すだけならば、
 「中国は識別圏を守る強い意志や力がない」とされ、中国の威信を大きく傷つけることになる。
 同時に中国指導部の威信にも傷がつくだろう。

 日本との軍事対立が米国との軍事対立へ発展することは中国の利益に合致しない。
 日本の軍事力はそれほど大きくないが、技術的及び個人の訓練度は世界的にも一流だ。
 東シナ海には日米の基地が近くにあり、両国にとってかなり有利だ。
 一方で、中国が自国の優位を示すのは困難だ
 大規模な軍事作戦など行えば、極めて大きく予想のつかない結果をもたらすことになる。

 最も想定できるケースとしては、中国が防空識別圏内に戦闘機を派遣し、そこへ進入する外国軍機に故意に接近し、並行飛行するというものだ。
 しかし、この方法では将来、危険な事態が発生する可能性が高い。
 2001年に南シナ海で米国の電子偵察機EP-3と中国の戦闘機が衝突したような事件が思い出される。
 日本と中国の戦闘機が衝突し、犠牲者が発生すれば、深刻な外交的危機に陥ることは確実だ。

 こうした常に心理的緊張が続く環境に疲れ果ててしまった日本政府が、「島を巡る領土問題が存在する」との事実を認めると中国側は考えているようだ。
 中国の一連の行動は、
 日本政府が脆弱で支持率が低いという認識
に立ったものだ。
 中国は、
 「政治的なイニシアチブは自分たちにある。自分たちが紛争の拡大を制御できる
と確信している。

 中国は尖閣をめぐる「心理戦」をどう戦うのか?。
 この心理戦に勝つ自信がなければ、中国が防空識別圏設置プランを思いつくことなどなかっただろう。



「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年12月3日
http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2013-12/03/content_30784577.htm

 中日の「神経戦」、中国が勝つ=露専門家

 米国は、今回の飛行(米戦略爆撃機「B52」2機が東中国海の防空識別圏を通過したことを指す)は以前からの計画だったと発表した。
 しかし、これは間違いなく中国側の同空域に対する実効支配権は認めないという異議申し立てだ。
 日本もおそらくこれと同じ手段をとるだろう。

 そこで、これに中国がどう反応するかが重要な問題になってくる。
 識別圏の設定を発表した際、中国側は米国と日本の戦闘機が同上空に進入してくるのはわかっていたはずだ。
 北京の米国に対する最初の反応は、
 「中国空軍が航空機の飛行を確認した。
 必要であれば、空域を管轄する能力がある」
という声明を発表するにとどまった。
 そして中国国防部も「『スホイ30』と『殲11』が同区域をパトロールした」とだけ表明した。
 しかし重要な問題は、
 中国が今後この区域で間違いなく起こる違反行為に対してどう反応するかだ。

 はっきりしているのは、日本と武装対抗すれば、米国との武装衝突も回避できないということだ。
 これは中国の利益に一致しない。
 日本の軍事力は大きくはないが、装備・技術や軍人の資質は一流だ。
 その基地から遠くない東中国海地域では日本側がかなり優勢だ。
 局部的な軍事行動で自らの優勢を示し、自らの領土権を確定するのは中国にとって相当複雑なことだ。
 大きな軍事行動による影響は極めて大きく、予測不可能といえる。

 今後状況が発展すれば、中国が係争区域に戦闘機を派遣し、同区域に進入した外国の戦闘機を妨害するなどの可能性がある。
 武器は使わないが、恐ろしい行動をとるかもしれない。
 そうした行動はどこでも見られる光景で、ロシア方面もよく遭遇することだ。
 例えば本国の偵察機と爆撃機を派遣して他国の海岸に接近するなど、冷戦時代にはそうした実践が流行していた。

 中日、中米の情勢を考えると、衝突で特に死傷者が出れば、深刻な外交危機を招くのは明らかだ。
 日本政府は長引く神経戦にそのうち疲れ、島嶼を巡る領土争いが存在する事実を最終的に認め、中国に緊張度を下げる措置を提案するかもしれない。

 中国の日本に対する行動は、日本政府の人好きしない政治的見解に全体的に由来しており、こうした見解はまたよく変わる
 中国は、自らが政治提案力を持っており、必要な時に衝突の緊張の度合いをコントロールできると確信している

 とりあえずは中国の島嶼をめぐる「神経戦」に対して何らかの推測をするしかない。
 ただはっきりしているのは、
 この「神経戦」に勝つ明確な計画もないのに、中国が防空識別圏を設定するはずがない
ということだ。



 ロシアの軍事研究機関は先にもし中国が尖閣諸島奪回の軍事行動を起こしたらどうなるかの予想をしたことがある。
 その結果は
①.尖閣の奪回は軍事的に可能である
②.そのさい日本は数十機の航空機を失い、中国はその2倍ないし3倍の航空機として150機を失う
③.その後、アメリカは参戦して尖閣諸島は日本に手に戻る
というものであった。
 もし、尖閣奪回に中国が動いたとするなら、米軍が再奪回した尖閣諸島に自衛隊を配備し、再度の中国の軍事行動を阻止するためにミサイル配備に至るだろうと思われる。

 今回の中国防空識別圏の設定でロシアの軍事研究機関の推論は上記の記事になるのだが。
 政治軍事の研究でもっとも優れているのはやはりアメリカとロシアの機関である。
 冷戦時代を経験しているだけに、その手の研究にはたけている。
 特にロシアは孤立化していた時代が長いので、その研究には信頼性がある。
 まるでダメなのが中国の予想。
 大本営発表に近い。
 感情が入ってしまっている。
 過去に戦争経験がないので、戦争をハード、すなわち兵器の数で考えようとする。
 ソフト、すなわち戦略の有機的システムとかフィードバックの仕方とか、あるいは熟練度とかいった部分がほとんど分かっていない。
 日本は過去にいやというほどの戦争経験がある。
 負けてしまっただけに、なぜ負けたのかという戦争の解析は重層に行われている。
 またソフトパワーも充実している。

 例えば、この識別圏飛行の国別の航空機数は中国発表はあいまいだが台湾よると
レコードチャイナ 配信日時:2013年12月3日 18時6分
 台湾国防部の柯文安(カー・ウェンアン)情報次長は補足する形で、11月23日以降、中国が防空識別圏に設定した空域を軍用機が飛行した回数について、
★.日本の自衛隊機が85回、
★.中国軍機が55回、
★.米軍機が13回、
に上ったと述べた。
で、日本は中国の「1.5倍」になっている。

 さて、ロシアの記事を見ていく。
 タイトルでは
 「中国の狙いは心理戦で勝つこと、日本は長期の緊張に耐えられない」
「中日の「神経戦」、中国が勝つ」
いる。
 この根拠はどこにあるのだろか。
「こうした常に心理的緊張が続く環境に疲れ果ててしまった日本政府が、
 「島を巡る領土問題が存在する」との事実を認めると
中国側は考えているようだ」
ということだけである。
 この中国の一連の行動は、
 「日本政府が脆弱で支持率が低いという認識
に立ったものだ」
となる。
 なんだか分かったようであるが、論理にはなっていない。
 「こうではなかろうか?」
というだけである。

 では、その想像のように果たしてこの、
 「心理的緊張が続く環境に疲れ果ててしまった日本政府
というのはありえるのだろうか。
 なんだか、逆のように思えてならない。
 つまり、日本は中国の圧力に「シメシメ」として、負けそうなポーズをとりながら、充実を計っていくということのほうが、はるかに推論としては力がある。
 日本は過去に戦争に負けた、という経験をもつ。
 そのことから考えるに、この程度の心理戦で折れるとは到底思えない。
 「核ミサイル襲撃」の恐怖なら、確かに折れるかもしれない。
 昨年の荒れ狂った尖閣反日デモではこれに日本が怯えて尖閣を差し出すだろうという考えで官製企画されたものである。
 しかし、そうはまったくならずに、逆に2/3世紀のタブーを押し破るキッカケにしている。
 まら、領海での鬼ごっこでは日本は疲弊するfであろうという予想を立てておこなわれたが、それを利用して巡視船強化の政策をを打ち出してきている。
 つまり、日本はことあるごとにそれをいい名分にして、次のの段階に進んでいるということになる。

 とすれば、この防空識別圏では日本は中国の1.5倍の動きをしているこのことを考えると、これを大義名分にして何かやらかすのではないかと思えてならない。
 心理戦で日本が負けるなんてことはおそらく「百に一つもない」
のではなかろうか。
 「敗け」を経験している国民に心理戦で挑むのは無謀だ。
 心理戦は「負けたらどうなるという恐怖」があって成り立つものである。
 よって、負けを知っているものにはあまりいい作戦とはいえない。 
 逆に、心理的にははじめて豊かさを手に入れた中国のほうが、
 「負けという恐怖」
に脆いのではないのだろうか。
 その脆さを隠すために、この防空識別圏を設定するという、暴挙に走ったようにも思える。
 戦争を知らない国、負けを知らない国、そしてはじめての豊かさに酔っている国。
 「はじめて手にした豊かさを離したくない」という心理、
 それがこの国を心理戦に弱くするのではなかろうか、と思えてならない。
 
 筆者は
 「日本の軍事力はそれほど大きくないが、技術的及び個人の訓練度は世界的にも一流だ」
 と見ている。
 一方で、
 「中国が自国の優位を示すのは困難だ。
 大規模な軍事作戦など行えば、極めて大きく予想のつかない結果をもたらす」
ことになる、としている。
 「とりあえずは中国の島嶼をめぐる「神経戦」に対して何らかの推測をするしかない
のだがと前置きして、
 「ただはっきりしているのは、
 この「神経戦」に勝つ明確な計画もないのに、中国が防空識別圏を設定するはずがない
ということだとしている。
 つまり、何か必勝戦略があって、それを発動すれば
 この心理戦に「勝てる」という冷静な見通しがあって中国は仕掛けている
と見ている。
 ではその勝てるという根拠になる秘策はというと、これが曖昧模糊になる。
 そこで冷静にみてみると、ダンマリにまで追い込まれてしまった中国が
ヤブレカブレで放った、起死回生の一発
にしか見えないということである。





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