2013年12月29日日曜日

中国のアジア囲い込み戦略が災難を引き起こす:日本の防衛強化戦略へ

_


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 6時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81010&type=0

囲碁のような中国のアジア囲い込み戦略が災難を引き起こす―英紙


●25日、英紙インデペンデントは、囲碁にも似た中国の長期にわたるアジア囲い込み戦略は非常に危険なゲームであり、災難をもたらす可能性が高いと指摘した。資料写真。

 2013年12月25日、英紙インデペンデントは
 「中国のアジアにおける長期戦略は災難を引き起こすか?」
と題した記事を掲載し、囲碁にも似た中国の長期にわたるアジア囲い込み戦略は非常に危険なゲームであり、災難をもたらす可能性が高いと指摘した。
 26日付で環球時報が伝えた。

 11月23日、中国政府は防空識別圏の設定を発表した。
 これに対し、米国は直ちに反応し、数日後には事前通告せずB-52爆撃機2機を識別圏内に進入させた。
 しかし、中国はスクランブルなどの反応を示さず、後日「すべての飛行行程を監視していた」と発表したのみだった。
 さらに、日本や韓国の戦闘機も中国の防空識別圏内を飛行したが、目立った反応はなかったという。

 しかし、中国は防空識別圏を設定した時点で、米国の反応と隣国の反発を引き起こすことを認識・考慮していたことは間違いなく、このことこそが非常に重要なポイントだ。
★.米国の外交戦略は、実際の結果を求め、明確な目標があり、時には近視的でさえある。
★.一方、中国は長期的なものの見方をする歴史を持っており、自身の地縁政治の目標が徐々に実現するのを根気よく待つ。
 こうしたやり方は中国の歴史の中で何度も出現しており、特に毛沢東が率いた中国共産党による朝鮮戦争の処理やソ連との複雑な関係の処理にその特徴がよく表れている。

 中国は外交関係の対応の中で、囲碁の原則を使う大家である。
 長い歴史を誇るこのボードゲームの目標は、たとえわずかの差でも相手を囲い込み、勝利を得ることにある。
 キッシンジャー元米国務長官は11年の著書「中国の話(On China)」の中で、
 「危機管理の高等なテクニックは、リスクを高め、相手を継続させられなくすることにある。
 同時に、これを相手と真っ向からの対立を避けるような方法で行う必要がある」
と述べている。
 中国の長期に及ぶ囲い込み戦略が最終的に勝利を収めるか否かは、
 時間のみが証明できる。
 ただし、これは非常に危険なゲームであり、災難をもたらす可能性が高いだろう。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 10時21分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81066&type=0

日本の防衛強化戦略、中国によるアジア再編成を加速―中国メディア


●26日、日本で新たに決定された防衛強化戦略は、その安全保障政策や理念が根本的に変容したことを表しており、中国によるアジア再編成をかえって加速させる結果になるという。写真は中国人民解放軍。

 2013年12月26日、環球時報(電子版)は、日本で「国家安全保障戦略」が閣議決定され、新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画が決定されたことにより今後5~10年にわたる日本の安全保障政策や防衛力整備の大筋が決まったことは、
 日本の安全保障政策や理念が根本的に変容したことを意味している
と指摘した。

 日本は一連の防衛戦略を「積極的平和主義」と呼ぶが、
 実質的には自衛隊を強化することで中国の急速な軍事拡張をけん制し、
 アジアの軍事的なバランスを維持しようとするものだ。
 しかしそうした軍備の増強はアジア地域のバランスを図ることにはつながらず、それどころかかえって不安定要素を増すだけになり、日本の防衛力強化戦略は中国によるアジア再編成を加速させることになる。

 習近平(シー・ジンピン)国家主席は就任当初、ロシアを最初に訪問することで中ロ関係を重視していることを示し、その後中央アジアの4カ国を歴訪することで中国の外交姿勢を改めて示した。
 そしてこのほど、中国は欧州連合(EU)との首脳会談を行い、その経済・技術力によって国力を高め、アジアのパワーバランスを再構築しようとしている。

 また、米欧中の3大経済体において、中国がEUとの間で名実そろったパートナーシップを実現させることになれば、残る米国をけん制することにもなる。
 米国はアジア地域にばかり関心を注ぐことができなくなることから、中国のアジア再編成に対する圧力も減少するだろう。



JB Press 2013.12.30(月)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39576

社説:西太平洋での日中のシャドーボクシング
監視船の尖閣沖侵入で中国大使に厳重抗議、外務省
(2013年12月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

2013年、東シナ海に浮かぶ無人島を巡る日中間の争いは悪化の一途をたどった。

 確かに、年初にけたたましかった発言はエスカレートしなかったし、時折、和らぐこともあった。
 今年前半に政府公認の不買運動が行われた後、後半になると、自動車を含む日本製品の中国での販売が力強く回復したことも確かだ。

 だが、中国政府は11月、日本が尖閣諸島と呼び、中国が釣魚島と呼ぶ問題の島嶼上空の空域を含む防空識別圏(ADIZ)の設定を宣言し、日本政府に不意打ちを食らわせた。
 台湾もこの島の領有権を主張している。
 そして先日、日本の安倍晋三首相は、日本の戦没者――中国での犯罪で有罪判決を受けた戦犯を含む――を合祀する靖国神社を参拝し、中国政府を怒らせた。

 秋を迎える前でさえ、中国政府はこの島の周りを周回する船舶や航空機の数を大幅に増やしていた。
 中国の戦略は明らかなように見える。
 尖閣諸島については日本が唯一の施政権を持つという日本の長年の主張に異議を唱えるため、自国の施政権の存在を示す実績を作りたいと思っているのだ

 中国政府にとって非常に苛立たしいことに、日本政府は、この島の主権が係争中であると認めることさえしていない。
 この法的、外交的立場は、日を追うごとに論証が難しくなっているように見える。

 なぜこの問題に火がついたのだろうか? 
 中国政府は、日本が2012年にこれらの島を「国有化」したことを非難している。
 日本政府によれば、これは、島を購入して開発しようとする日本の右派の政治家の試みを食い止めるために下した決断だ。
 中国政府はこの主張を認めていない。
 むしろ、現状を変更し、長年にわたる不安定な均衡を終わらせたと日本政府を非難している

■危険な綱引き

 困ったことに、日本政府は、1970年代に紛争を棚上げするとの取り決めがあったということを否定している。
 弁護するのが難しい日本側の立場は、日本が最初に島嶼を領土に組み込んだ1895年以降、中国は日本の主権を認めてきたというものだ。
 双方とも大声で叫んでいる。
 どちらも耳を傾けようとしない。

 綱引き状態は危険だ。
 事故が起きたり、地上(あるいは空中や海上)の性急な人が意図的な挑発行為に出る可能性は、現実のものだ。
 また、それが起きた場合、両国ともタカ派の指導者をいただいており、国民には譲歩する気などないことを考えると、事態がエスカレートする可能性は排除できない。

 心配なことに、中国政府はこの島を防衛する米国のコミットメントを試すことを決意しているように見える。
 米国政府は尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象だと繰り返し述べてきたが、中国政府は、米国が一握りの岩礁のために本当に米国人の命を危険にさらすだろうかと疑問に思っている。

 今のところ、日米の間にくさびを打ち込むという中国の方針はうまく行っているように見える。
 米国政府は、中国のADIZを無視するという日本政府の方針に従うことを拒否した。
 米国政府は自国の航空会社に、新たな規則に従い、係争中の区域に航空機が入る時は中国政府に通知するよう指示した。

 つまり、中国政府は2013年に、いくつか成功を収めたということだ。
 危険なのは、中国政府が2014年にこの運動を追求することだ。
 そうなれば、事態が手に負えなくなる恐れがあるからだ。

 どうすれば、そんな事態を避けられるだろうか? 
 3つの方法が考えられる。
 日本は――尖閣諸島に対する主権の主張は別として――、論争を棚上げするという1970年代の合意を認めることで譲歩し、もっと誠実になることができる。
 また、日本は以前の状態に戻るよう務めるべきだ。
 一方の中国は、この論争を国際司法裁判所(ICJ)に持ち込むことを提案し、その裁定に従うと約束することができるだろう。

■首脳会談も開けないなら、軍事衝突なしで解決見込めず

 悲しいかな、上記のどちらの方法も実現の見込みは薄い。
 双方とも絶対的な道徳的権威を主張しており、どちらも相手を信頼していない。
 このような状況の中でできるせめてものことは、何らかの偶発事故が危機に発展しないよう、両国の指導者の間にホットラインを設定することだ。

 両国の指導者は、無条件で会うことにも同意すべきだ。
 この点では、中国の習近平国家主席の側に落ち度がある。
 習氏が安倍氏と会う気にさえなれないとすれば、想像を絶する事態がない限り、解決を期待することはとてもできない。
 その事態とは軍事衝突である。

© The Financial Times Limited 2013. All Rights Reserved. Please do not cut and
paste FT articles and redistribute by email or post to the web.







_