2013年12月28日土曜日

「オバマの裏切り」に対する報復:日本のアメリカに対する信頼度の低下

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●27日、環球時報は記事「米国が異例の“失望”表明、米メディアは日本を“自傷の王者”と形容」を掲載した。安倍首相の靖国参拝に、同盟国・米国から厳しい目が向けられている。写真は中国中央テレビの報道。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月28日 13時22分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81121&type=0

<靖国参拝>味方・米国を失った安倍氏の“暴挙”、
「日米関係は強固」という自信が後押し―韓国メディア

 2013年12月28日、韓国・中央日報中国語サイトは、「安倍氏が周辺国の反対を顧みず靖国を参拝した原因」と題した記事を掲載した。

 記事では、
 「安倍氏は靖国参拝で国内の右翼勢力の支持は得られたかもしれないが、国際社会の疑念を招き、“米国”という味方失った。
 米国内では“日米韓による中国および東北アジアをけん制する戦略が台無しになった。
 日本は米国を裏切った”と考える者もいる」
と伝えている。

 さらに、ハーバード大学政治学のロバート・パットナム(Robert D.Putnam)教授の発言を紹介し、
 「一国のリーダーが外交政策を決定する際、自国民と相手国が受け入れられる範囲内で策定する必要がある。
 しかし、安倍氏は国内の政治しか見ておらず、対外政治の法則を破ってしまった」
と報じた。

 安倍首相が靖国を参拝した原因については、専門家の見解として
 「まず、安倍氏の個人的な信仰。次いで保守勢力を囲い込むことで下降気味の支持率を回復させる狙い。
 最後に、日米の固いつながりが彼に自信を与え、参拝を後押ししたのだろう」
と分析している。

 安倍氏の日米関係における自信の由来に関して報道では、
 「今年10月に行われた日米外務・防衛閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、両国の軍事協力を大幅に強化すると決定したことが安倍氏に大きな自信を与えた」
と指摘している。


 安倍首相が靖国神社を参拝した理由は2つある。
 1つは異様な中国防空識別圏設定に対する怒り。
 2つめはそれに対する「オバマの裏切り」である


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月28日 16時32分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81123&type=0

安倍首相の靖国参拝は人気取りのため、
米国は「失望した」と言うだけで日本を批判せず―中国メディア

 2013年12月27日、中国国際問題研究所の郭憲綱(グオ・シエンガン)副所長は中国新聞社の取材に応じ、日本の安倍晋三首相の靖国神社参拝について自身の見解を示した。

 安倍首相が靖国神社を参拝した理由は2つある。
  1つは、中国と米国の関係が悪化している状況下で、中国が防空識別圏を設定したことに米国が不満を抱いていると安倍首相が考えている点。
 自身の靖国参拝に対するアジアの国々の反応よりも、米国の反応を気にしている。
 米オバマ政権のアジア戦略は日本に大きく依存していることから、米国の反対はないと考えたようだ。

 2つ目の原因は日本国内にある。
 安倍政権が成立に躍起となった特定秘密保護法は国内の政治勢力の激しい反対に遭い、安倍首相の支持率も低下した。
 安倍首相は今回の靖国神社参拝で支持率の回復を目論んでいる。

 第二次世界大戦で旧日本軍がアジアで行った蛮行について、日本が心から反省していないことを、米国はよく知っている。
 しかし、これは米国にとって大したことではない。
 また、日本は米国のコントロール下にあり、米軍も駐留している。
 さらに日本は米国人が制定した平和憲法の制約を受けている。

 同時に、今の米国にとって日本は必要な存在だ。
 世界戦略が収縮しているなか、アジアの戦略的利益を守るためには、日本は米国の戦略的核心となっているからだ。 
 そこで米国は安倍首相の靖国神社参拝に片目をつぶり、痛くもかゆくもない「失望した」というあいまいな表現を使用。中国や韓国のような厳しい批判をすることもないのだ。


 靖国参拝の原因の一つに「オバマの裏切り」がある。
 それによって日本はアメリカを信頼できる国から格下げしている。
 それはアメリカ自身も十分承知していることであり、ためにアメリカは日本には強く出られない。
 もしそんなことをしたら、日本はさらにアメリカから離れていく。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月28日 9時24分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81105&type=0

「日本は自傷の王者」安倍首相の靖国参拝に“失望”した米国―中国メディア

 2013年12月27日、環球時報は記事「米国が異例の“失望”表明、米メディアは日本を“自傷の王者”と形容」を掲載した。

 安倍晋三首相が26日に靖国神社を参拝した問題が波紋を広げている。
 中韓の反発はもちろん、同盟国・米国からも厳しい目が向けられている。
 在日本米国大使館は異例にも“失望”という言葉で強く批判した。
 26日夜、岸田文雄外相がキャロライン・ケネディ駐日本米国大使と電話会談し説明したが、「本国に伝える」との返答が得られたのみだった。

 米誌アトランティックは記事「日本、自らソフトパワーを自傷する新たな王者」とのタイトルで記事を掲載。
 「当初、参拝のニュースは聞いても信じられなかった」と驚きを示し、参拝は日中韓の関係をさらに悪化させるにとどまらず、米国にも悪影響を及ぼすとの見方を示した。



ウォールストリートジャーナル   2013年 12月 25日 13:19 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702303745204579279310388543026.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLE_Video_First

津山恵子のアメリカ最新事情
バイデン副大統領のアジア歴訪で垣間見えた米国のバランス感覚


●握手を交わすバイデン米副大統領(左)と中国の習近平国家主席(4日、北京)

 ジョー・バイデン米副大統領が12月初旬、日本、中国、韓国を訪問した際、日本と欧米の報道の差に驚かされた。

 日本側としては、中国の防空識別圏(ADIZ)設定直後というタイミングで来日した米副大統領という首脳と、安倍首相が一丸となってADIZを認めないという態度を表明、さらにバイデン氏が中国に日米の方針を代弁する、というシナリオだっただろう。実際に、日本メディアの報道はそういう流れだった。

 バイデン副大統領は、安倍首相と1時間半会談。「中国が東シナ海に設定した防空識別圏について『力による現状変更の試みは黙認しない』との認識で一致」(毎日新聞)した。

 訪中時はどうだっただろうか。欧米メディアによると、バイデン氏は習近平国家主席ら指導部との会談に約5時間を割いたという。ADIZについて「強い懸念」あるいは「重大な懸念」を示したというところまでは、日米メディアの報道は大体一致している。

 ところが、米ニューヨーク・タイムズは、見出しこそ「副大統領、防空識別圏で自制を求める」だが、「中国が応じる可能性はないと思われるADIZの撤回を要請することまではしなかった」と伝える。

 さらに、側近の1人の話として、「習氏は、副大統領の言い分は聞いたが、近い将来、何をするかは中国次第だ」と明かしている。また、バイデン氏自身も北京で企業幹部を集めた会合で「(アジア)地域のいざこざは起こり続ける」と発言。バイデン氏の訪中が、断固としたメッセージを発した訳ではなく、日本政府や市民を納得させるようなものではなかった事実を書き込んでいる。

 会談中、バイデン氏から習氏に向けた発言は、ADIZ問題だけにとどまらず、中国の人権問題、北朝鮮問題にも及んだ。特に米メディアの中国駐在特派員に対するビザ更新が拒否されていた問題にからみ、報道の自由の問題でも「懸念」を示したことが、欧米メディアの報道から分かる。

 英フィナンシャル・タイムズも、米ニューヨーク・タイムズと同様、バイデン氏がADIZの撤回まで求めなかったと書いた。日本政府高官の話として、北京訪問に先立ち、バイデン氏が中国に日本のメッセージを伝えると明言していれば、日本政府は喜んだだろうが、日本政府に対してさえ、確約をしなかったと報じている。

 また、ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿「アジアでの制空権リスクにさらす米国の対中外交」は、「米国政府は混乱したメッセージを送り、東アジアの空における中国の一方的なADIZの設定し直しを受け入れないことを同盟国に確信させることに失敗した」と指摘した。

 米国が、日本と一線を画したこうした態度は、米国務省がADIZを通過する米国の民間航空会社に、中国に対し飛行計画を提出するよう促したことでもはっきりしている。米国は、訴訟社会でもあり、万が一、民間航空機が紛争に巻き込まれることでもあれば、政府の信用は失墜し、深刻な裁判を抱えることになる。米政府は早々に、危機管理の意味で、飛行計画の提出を航空会社に促した。一方、日本政府は、飛行計画は不要との立場だ。

 つまり、米国は日本を「支援はする」が、日中紛争には「巻き込まれたくない」というのが本音であり、正当で賢明な選択だろう。

 中国は近い将来、米国に代わり世界最大の経済大国になるとされるが、その時になって、中国が従来の米国主導のステータスクオ(現状)を維持しようとするのか、それとも、激しくぶつかり合うライバルになるのか、米国にとって全く不透明だ。

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 米国は現在、中国首脳と太いパイプを持っている訳ではない。ウォール・ストリート・ジャーナルは、「中国と米国に絡むこれまでの出来事では、苛立つホワイトハウスは、中国指導部トップに直接電話もできなかった。指導者同士のホットラインの存在にもかかわらずである」と指摘している。

 米ユーラシア・グループ社長、イアン・ブレマー氏はテレビのインタビューで、「ヒラリー・クリントンがいまだに国務長官だったら、中国の防空識別圏は設定されなかっただろう」と話した。しかしもはや、クリントン外交の威力もないなか、習氏が副主席だったころから関係を築いてきたバイデン氏は、米政府にとって「頼みの綱」だったともいえる。

 そのバイデン氏が、日本のメッセンジャーにはならず、長時間に渡る会談で、米国の立場を明確に示したというのは、今後の米中関係において一定の収穫になったに違いない。

 いずれにせよ、米国を中心とした世界地図が、急速に変化を遂げている。米国が、同盟国や中国に対し発信するメッセージが、変化のなかでさまざまなバランスを求められていることを、バイデン副大統領のアジア歴訪は物語っている。

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津山恵子(つやま・けいこ) ジャーナリスト

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 東京生まれ。共同通信社経済部記者として、通信、ハイテク、メディア業界を中心に取材。2003年、ビジネスニュース特派員として、ニューヨーク勤務。 06年、ニューヨークを拠点にフリーランスに転向。08年米大統領選挙で、オバマ大統領候補を予備選挙から大統領就任まで取材し、AERAに執筆した。米国の経済、政治について「AERA」「週刊ダイヤモンド」「文藝春秋」などに執筆。著書に『モバイルシフト 「スマホ×ソーシャル」ビジネス新戦略』(アスキーメディアワークス)など








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