2013年12月24日火曜日

いずれ、どこかの国がどこかの国と衝突することになる:100年前の世界と同じ

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JB Press 2013.12.24(火)  The Economist
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39518

第1次世界大戦:不安を胸に振り返る100年前の世界
(英エコノミスト誌 2013年12月21・28合併日号)

 第1次世界大戦から1世紀を経た現在の世界情勢は、大戦勃発に至る時代に恐ろしいほど似ている。

 今からちょうど100年前の年の暮れ、欧州の大半の人は新年の1914年を楽観的に待ち望んでいた。
 ワーテルローの戦いに始まるその前の100年間も、世界に惨事が全くないわけではなかった。
 米国は悲惨な南北戦争を経験し、アジアの一部地域では戦いがあり、普仏戦争が起こり、時折、植民地紛争もあった。

 だが、欧州大陸は全体として平和だった。
 グローバリゼーションと新技術――電話、蒸気船、鉄道――が世界を1つにつなぎ合わせた。
 ジョン・メイナード・ケインズが、当時のロンドン市民の暮らしを見事に描き出している。

■ケインズが描いた暮らしから過去に例を見ない悲惨な戦争へ

 「朝の紅茶をベッドでゆっくり飲み」、
 「世界中のさまざまな商品」
の配達を注文し――彼が現代に生きていたらアマゾン・ドットコムでそうしただろう――、
 そうした状況を
 「ごくありふれた、確かな、良くなりこそすれ、いつまでも変わらずにあるもの」
だと書いているのだ。

 ケインズのベッドサイドのテーブルには、ノーマン・エンジェルの『The Great Illusion(大いなる幻想)』も置かれていたかもしれない。
 この本の中では、欧州各国の経済がこれほど一体化していては、戦争は無益でしかないという主張が展開されている。

 だが、1年と経たないうちに、世界は過去に例のない悲惨な戦争に巻き込まれた。
 900万人の命が失われた。
 ソビエト・ロシアの誕生、あまりにもいい加減に引き直された中東諸国の国境、そしてヒトラーの台頭など、その後の様々な地政学的な悲劇も勘定に入れれば、犠牲者の数はその何倍にも膨らむ。

 自由の友だったテクノロジーは残虐行為の道具となり、恐るべき規模で人々を殺戮し、奴隷化した。
 世界中に障壁が張り巡らされた。
 特に1930年代の世界大恐慌の時代には壁が高くなった。

 ケインズの時代のロンドン市民が享受していたグローバリゼーションが再び動き始めるのは、1945年になってからだ。
 見方によっては、グローバリゼーションの再開は、東欧が解放され、鄧小平の改革が中国で実を結び始めた1990年代まで待つ必要があったとも言えるだろう。

 1世紀前に世界を襲った惨事は、ドイツが原動力になっていた。
 当時のドイツは、欧州の支配をもくろみ、そのための戦争を起こす口実を探していた。

 だが、現状に満足していた世界にも責任はある。
 ロンドンでもパリでもほかの場所でも、あまりにも多くの人が、英国とドイツはお互い米国に次ぐ貿易相手国なのだから、争う経済的理由がなく、従って戦争など起こるはずがないと信じていた。

 ケインズの言葉を借りれば、
 「軍国主義と帝国主義、人種的対立と文化的対立、独占や制限や排除のもくろみや政治学は、いわば現在の楽園における蛇の役割を果たすもので、(ロンドン市民向けの)日刊紙の娯楽材料にすぎな」
かったのだ。

■それぞれの役回り

 人類は過ちから学ぶことができる。
 その証拠に、昨今の経済危機への対応も、大恐慌につながった過去の過ちを避けようという決意から生まれたものだ。
 1世紀前に解き放たれた恐怖の記憶があるおかげで、現代の指導者たちが戦争へ転がり込む可能性は低くなっている。

 現代の惨事が持つ爆発性の力、つまり、核によるホロコーストの脅威も、止めどないエスカレーションを食い止める強力なブレーキとして機能し、若い世代が前線へ送り出される事態を防いでいる。

 それでも、100年前との類似点はやはり気がかりだ。

 現在の米国が、当時の英国にあたる。
 衰えが見え始め、世界の安全保障を維持できなくなっている超大国だ。
 当時のドイツの役回りを演じるのが、米国の主要な貿易相手である中国で、新興の経済大国は国家主義的な怒りを露わにし、急速に軍事力を増大させている。
 現代の日本は、衰えゆく覇権国の同盟国で、地域的な力を失いつつあったフランスに相当する。

 これらの類似は、全く同じというわけではない。
 中国は、ドイツ皇帝のような領土拡大の野望は抱いていない。
 米国の防衛予算は、大英帝国よりもはるかに他を圧倒している。
 とはいえ、世界が警戒するに足るだけの類似性はある。

 だが、全体的に見て、世界は警戒していない。
 1914年と現在の類似性の中でも特に気がかりなのが、現状に満足しきった世界の雰囲気だ。
 現代の事業家は、当時の事業家と同じく、金儲けに忙しすぎて、株価表示画面の片隅で舌をちらつかせる蛇に気づいていない。

 政治家たちは、100年前と同じように国家主義をもてあそんでいる。
 中国の指導者は経済改革の煙幕として排日感情を煽り、
 日本の安倍晋三首相も同じ理由で日本人の国家主義を扇動している。

 インドでは、来年の選挙でナレンドラ・モディ氏が首相になるかもしれない。
 ヒンドゥーナショナリストのモディ氏は、自身が首相を務めるグジャラート州で起きたイスラム教徒虐殺事件に対する謝罪を拒んでいて、インド首相となれば、イスラム国家の隣国パキスタンとの潜在的な核紛争のボタンに指をかけることになる。

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、シリアが自己崩壊するのをただ傍観している。
 そして、20世紀の流血を経てまとまった欧州連合(EU)は、新たに芽生えた国家主義により、その創設以来最も対立と分裂が深まっているように見える。

■危険な思い込み

 そうした火種から大火災へと広がらないようにするためには、2つの予防措置が役立つだろう。

①.1つは、潜在的な危険の脅威を最小限に抑えるシステムだ。
 北朝鮮が崩壊したらどうなるのか、その正確なところは誰にも分からないが、米国と中国は、その時になって互いに敵対することなく北朝鮮の核開発計画の安全性を確保するために、あらかじめ計画を立てておかなければならない。

 中国は海域を接する隣国との間で、手の込んだ危険な「チキンレース」をしている。
 いずれ、どこかの国がどこかの国と衝突することになる
 ――そして、その事態に対処するシステムは、現時点ではまだ存在しない。
 この海域での行動規範が必要だ。

②.世界を安全にするための第2の予防措置は、米国がもっと積極的な外交政策を取ることだ。
 イランの核開発を巡る暫定合意を成立させたとはいえ、バラク・オバマ大統領は中東から距離を置いてきた。
 シリアでの武力介入に対する消極的な姿勢が、それを示している。

 また、インドやインドネシア、ブラジル、そして何よりも中国といった新興国をグローバルなシステムに組み込む努力も、ほとんど見せていない。
 そうした姿勢ははからずも、熱意の欠如と歴史の無知の両方を露わにしている。
 軍事力と経済力とソフトパワーを持つ米国は、今でも世界になくてはならない存在だ。
 特に、国境をまたぐ気候変動やテロといった脅威への対応には、米国の力が欠かせない。

 だが、米国がリーダーとして、そして世界秩序の守護者として行動しない限り、
 各地域の強国が、隣国を脅しつけて自国の力を試したいという誘惑に駆られることになるだろう。

 恐らく、現在の世界にある危険は、どれも1914年の恐怖に匹敵するような事態を招くものではないだろう。
 狂気は、その動機が人種であれ、宗教であれ、民族であれ、普通は理性的な利己心に屈する。
 だが、狂気が勝利すれば、大虐殺につながる。
 つまり、理性が勝っていると思い込むのは、自己満足のそしりを免れない。
 それが1世紀前の教訓である。

© 2013 The Economist Newspaper Limited. All rights reserved.
英エコノミスト誌の記事は、JBプレスがライセンス契約 に基づき翻訳したものです。
英語の原文記事はwww.economist.comで読むことができます。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月24日 6時50分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80841&type=0

中国人ベストセラー作家、
米紙への寄稿で「愛国主義は中国政府に乗っ取られた」―独メディア

 2013年12月8日、独国際放送ドイチェ・ヴェレ(中国語電子版)は、中国のベストセラー作家・余華(ユー・ホア)氏が先ごろ米ニューヨーク・タイムズに寄稿したコラム「乗っ取られた愛国主義」を紹介した。

 記事によると、中国政府が先月、尖閣諸島を含む東シナ海上空に防空識別圏を設定し、日米両国との緊張を招いたことについて、余氏はコラムで
 「識別圏設定の意義は日本に警告を発することではなく、自国民に対し愛国主義の姿勢を示すことだ
分析。
 その理由として
 「尖閣諸島問題における政府の弱腰を世論が批判してきたため、
 国民の愛国主義的感情に呼応する必要があった
と指摘した。

 余氏はまた、中国共産党が64年間にわたり行ってきた愛国主義教育は、祖国への熱愛と、党や政府への熱愛を一体化させることに成功したとも指摘した上で、
 「国家と執政者の区別が消えた後に、愛国主義が乗っ取られ、狭隘(きょうあい)な民族主義に操られるようになった
と述べた。

 「心配なのは、一般民衆だけでなく、一部の知識層までもが国家と政府の概念を混同していることだ」
と余氏は懸念を示した上で、ある知人の学者が
 「自分が両親とけんかすることは構わないが、他人が自分の両親を批判することを決して許さないように、国内では国を批判しても許されるが、国を出たら国を守るべきだ」
と指摘したことを受け、
 「われわれが批判するのは政府であって、国家ではない
と述べたという。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月24日 7時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80867&type=0

東シナ海問題で日中対立激化、危険高まる北東アジア―中国紙

 2013年12月23日、環球時報(電子版)は
 「東シナ海問題で日中対立激化、危険高まる北東アジア」
と題する記事を掲載した。
 以下はその概要。

 独フンボルト大学の国際政治学者は
 「イランの緊張は緩み、シリアに対する大国の関心も低くなっている。
 来年は中東で軍事衝突が起きる可能性は低く、最も危険な地域は北東アジアになるだろう」
と予測する。
 東シナ海問題をめぐる日中対立は激化し、来年は決定的な年になるとみられるが、今のところ緊張緩和の兆しは見えない。

カナダ紙グローブ・アンド・メールは
 「1945年以来、米国への服従は敗戦による必然的な結果として、多くの日本人がこれに耐えてきた。
 しかし、中国への服従はとうてい容認できないだろう」
と指摘する。

 日本はどうやら来年も東アジアの緊張を高めるつもりのようだ。
 日本の政治家はこぞって集団的自衛権行使の容認に動いている。
 独ミュンヘンの研究機関は
 「日本が衰退し、米国が力を失う一方、中国経済が拡大を続ける今、日米両国は中国を押さえようとしている」
と分析。
 「第一次世界大戦ぼっ発前の情勢に似ている」と報じている。







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