2013年12月13日金曜日

中国の金融改革とは:スタグフレーションのいま、何をなすべきか

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「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年12月12日
http://japanese.china.org.cn/business/txt/2013-12/12/content_30878598.htm

 中国、金融改革から突破口を見出すべき

 中国経済は今歴史的に特殊な時期にあることから、研究と分析にはよりはっきりした枠組みと時間の位置づけが必要になる。
 この位置づけは、当面の中国経済にとって最大の課題であるスタグフレーションだ。
 2008年以降、外需が減り続けるなか、中国政府が投資拡大を通じて経済を牽引してきた。
 そこで貸付が急速に拡大し、流動性の緩和と経済の鈍化、人民元上昇と景気下振れ、CPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)の逆方向の推移という3つの背離が生じた。
 米国は経済の深刻な衰退を代償に、かなりの金融引き締め政策を実施し、スタグフレーションに対抗して最終的に勝利した。
 中国がこの段階を飛び越えたい場合、最も重要になるのが金融改革と金融革新だ。

 中国の状況をみると、筆者が2000年以降の経済周期を区分したところ、08年までが経済の大部分が回復と過熱の周期にあたり、08年以降、特に09年からは主にスタグフレーションと衰退にあたり、これは完全なスタグフレーションの周期を形成し、社会全体の経済と政策に深遠な影響を及ぼす可能性がある。
 大まかに言えば、2000年から中国経済は4つの経済周期を経験し、各周期の持続期間はそれぞれ15カ月、45カ月、51カ月、51カ月だった。
 経済周期はさらに回復、過熱、スタグフレーション、衰退の4段階に細分化できる。
 資産収益をみると、インベストメント·クロック理論の資産配分における成果は満足のいくものとはいえない。

 また、金融革新の角度からもスタグフレーション現象を観察できる。
 理論上、経済下降とインフレ上昇は銀行を通じた資金供給が縮小するディスインターミディエーションの主な原因で、金利市場化のチャンスでもある。
 なぜなら人々がより高い利息の獲得、より流動性のある金融ツールを追求しているからだ。
 米国は当時、金利への規制を徐々に緩和し、銀行ではない金融機関に小切手口座の開設と取引残高に対する金利の支払いを認め、譲渡可能な当座預金口座や預金残高の自動振替といったサービスを認め、マネー・マーケット・ファンド(MMF)を設立するなど金利市場化に向けた措置を数多くとった。
 70年代、NYダウ・ジョーンズ指数はほぼ足踏み状態が続いた。
 米国の株式ファンドは70年代は停滞状態にある一方、MMFが急速に発展した。これはスタグフレーション期の明らかな特徴だ。

 中国でも2010年から信託、銀行の資産運用業務、同業業務、「非標準化債権資産」の急速な拡張など米国とと同じような現象がみられる。
 最近話題のネット金融は実際は通路を提供し、その裏にはマネーファンドの存在があり、資金を銀行間市場に投入し、短期手形や短期国債に投資している。

 時代に合った改革は最も容易に共通認識を得られる。
 中国が今最も金融改革に重点を置くべき理由はまさにここにある。
 金融改革は時代の背景に合っており、改革なしでこの段階を越えるのは難しいからだ。
 米国の行き過ぎた金融革新はサブプライム危機を招き、そのため多くの人が臆病になり、多くの学者は金融業界を厳格に管理し、金融革新のスピードを緩めるよう呼びかけている。
 しかし実際には08年の金融危機以来、中国は過去にないほど数多くの踏み込んだ金融革新を進めてきた。

(作者:宏源証券マクロエコノミスト)




とはリサーチ
http://www.toha-search.com/keizai/stagflation.htm

スタグフレーションとは

スタグフレーションとは、
 不況であるにも関わらず物価が上がり続ける状態
のこと。

 スタグフレーション(stagflation)とは、
 スタグネーション(stagnation:停滞)とインフレーション(inflation:物価上昇)
を合成させた言葉で、
 景気後退局面にありながらもモノ不足によりインフレの状態となる
ことを意味する。

 過去の例で言えば、1970年代のオイルショックの際に原油価格が4倍に跳ね上がり、日本を含む多くの国がスタグフレーションに陥った。
 一般的に不景気の中ではデフレ圧力がかかりやすいが、
 賃金の上昇が見込めないにも関わらず物価が上昇することから、最悪の経済状態と言われている。
 別名、スランプフレーションとも。

■スタグフレーションの原因

 スタグフレーションの原因は、主に石油や食料など生活必需品の供給不足にあります。
 そのため、その背景にはしばしば戦争や内乱・紛争などがあり、供給側の思惑で引き起こされる場合があります。
 第一次・第二次オイルショックの際にも、ことの発端は中東戦争やイラン革命といった政治的な対立が原因でした。

 当時の先進国は石油のほとんどを中東に依存しており、輸出の停止や値上げを宣告されるとたちまち国内経済にダメージを追うことになったのです。
 その結果、この様な極端な中東依存・石油依存から脱却するべく、輸入国の分散や油田開発、さらに原子力や太陽光など代替エネルギーの開発に力を注ぎました。

■スタグフレーションとサブプライム問題

 2007年に起こったサブプライム問題がきっかけとなり、2008年には一時スタグフレーションが懸念される事態が起こっています。
 世界的な金融不安のさなか、金余りとなっていた投機マネーが原油や穀物市場に流れ込んだのです。
 中国・ブラジル・インド・ロシアといったブリックス諸国の経済発展に伴い原油需要の増加が続いたこともあり、原油価格はサブプライムショック以前に比べて2倍以上に上がり、生産コストの増加や食料品の値上げなど物価上昇を招きました。

 事態を重く見た日銀の白川総裁は、2008年5月に「日本がスタグフレーションに陥る可能性がある」とコメントします。 
 その後、9月に起こったリーマンショックとそれに伴う世界経済の低迷の影響もあり、石油価格・食料価格は下落しスタグフレーションの発生は避けられましたが、依然世界各国でスタグフレーションの危険性が危惧されています。

■スタグフレーションと円高

 この様に、現在は世界的な景気後退期にあるが、ブリックスをはじめとした新興国の成長余力は力強く、信用収縮が収まり投資活動が再開するとこれら新興国の高い成長が再び活発化すると予想される。
 いずれこの様な流れで世界が成長を始めた時、再び石油や食料などの需要が増加し世界的なインフレがやってくるだろう。
 デフレ不況・円高不況の真っ只中にある日本において、それは輸入品の物価上昇を意味する。

 つまり、不況+インフレで正にスタグフレーションの危機だ。
 しかし、輸出産業を中心に忌み嫌われている円高がその輸入物価の緩和に一役買うという見方もある。
 将来予測される資源インフレや食料インフレにとって、円高のメリットが発揮される日が来るのかもしれない。