2013年12月31日火曜日

中国が今後50年間で戦わなければならない6つの「不可避な戦争

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●.2日、米ブルームバーグ通信はこのほど、記事「2014アジアで注目すべき4つの動向」を掲載、日中間の紛争を予測した。写真は日本製品ボイコットを呼びかける画像。


「WEDGE Infinity」2013年12月31日(Tue)  岡崎研究所
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3463

今後50年間で中国が戦わなければならない「6つの戦争」

  豪州戦略政策研究所(ASPI)のブログ・サイトThe Strategistの11月26日付けに、豪州国立大学(ANU)のウェイド客員研究員が、中国がメディアを通して、反米感情を煽ったり、領土拡張を訴えたりしている現状を紹介して、警告を発しています。

 すなわち、中国の新書
 『中国は恐れない――国家安全保障への新脅威と戦略対応』
は、人民解放軍の戦略の一部として、軍人か否かを問わず国内の精神的引き締めを行なうと共に、中国の行動を規制する外国勢力を牽制するものである。
 その他にも、人民解放軍が係ったと思われる映画と通信社の記事にも、同様の分析が成り立つ。

 中国の映画『静かなる競争』は、10月に中国及び世界のネットに上がるや否や論争を呼んだ。
 そして、その月の末までには、何の告知もなく、映画は中国のサイトからは削除された。
 ただ、他のサイトでは見ることが出来る。

 映画は、米国が、5つの方法によって中国政府を転覆させようとしている様子を描いている。
 その方法とは、
(1).政治的に中国を弱体化させる、
(2).文化的浸透を図る、
(3).思想戦をしかける、
(4).諜報部隊を訓練する、及び
(5).中国国内の反体制派を強化すること、
である。
 全体としては、米国が中国を支配下に置こうとしているということを伝えたいようだ。
 映画を見た中国国内の軍人や民間人は、侮辱された感情と怒りを持つだろう内容である。

 映画の製作に人民解放軍は密接に係った。
 具体的には、国防大学、中国社会科学院、及び、国家安全部の管轄にある現代国際関係研究院が、今年初めに映画の製作に関与した。
 これは、確かに、米国のアジア回帰に対応したものであるが、より深い根本原因もあるだろう。
 これだけ権威ある中国の諸機関が映画製作に携わったということは、そこで示された極端な感情が人民解放軍のタカ派に限られたものではないことを表す。

 今年7月には、更に問題となる領土回復主義の記事が、中国新聞網のサイトに掲載された。
 この記事は、
 「今後50年間に中国が戦わなければならない6つの戦争」
という題名で、人民解放軍の一部に見られる超国粋主義の態度を示している。
 しかし、このような記事が中国国営通信社に掲載されるという事実から、これが指導部で認められた考えであることが想像出来る。

 6つの「不可避な」戦争は、時系列で示されている。
1).台湾統一戦争(2020-2025年)、
(2).南シナ海の様々な諸島の領土回復戦争(2025-2030年)、
(3).チベット南部の領土回復戦争(2035-2040年)、
(4).釣魚島及び琉球諸島回復戦争(2040-2045年)、
(5).外蒙古統一戦争(2045-2050年)、
(6).ロシアに奪取された領土の回復戦争(2055-2060年)
である。

 台湾に関しては、中国は、武力行使の手段を放棄したことはなく、具体的時期が示されたことも今まではなかった。
 偶然ではあるが、丁度、台湾軍が、中国は2020年までに台湾を併合する軍事的能力を有するだろう、と発表したばかりである。
 南シナ海に関しては、現在のいざこざが戦争に発展することは想像に難くない。
 3つ目の中国によるインドのArunachal Pradesh州への領有権の主張は、何十年も中印関係の棘であったが、中国がヒマラヤのチベット文化圏のどこまでを勢力圏として主張しているかは、今だ明らかにされていない。

 尖閣諸島に対する中国の領有権の主張は、最近よく報道されるので、その状況が戦争に発展するのにさほどの想像は必要としない。
 直近の中国による防空識別圏設定は、緊張を高めるだろう。

 また、モンゴルが清王朝から継承した土地に関しても、中国は領有権を主張している。
 ロシアの極東地域についても同様で、多くの中国人は、そこはロシアが不当に占拠したものだと思っている。

 上記の戦争は、現在の中国の政策で裏付けされたものでもなければ、極端な超国粋主義者の見解にすぎないかもしれない。
 しかし、戦争によって領土を回復しなければならないという主張は、長い間中国で言われてきたことであるし、中国政府公認の1938年「中国の屈辱」地図は、上記記事が主張する領土と驚くほど一致している。
 この地図の中国が「失った」領土には、ロシア極東、琉球諸島、台湾及び南シナ海のみならず、韓国、ヴェトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ミャンマー、マレー半島とシンガポール、ネパール、パキスタンの一部及び中央アジアの殆どが含まれている。

 中国の主張する領土が、今日の中国の国境を超えて70年以上前に遡ることや、中国の超国粋主義者の言い分を読むにつけ、我々は、これらの地域に住む人々が、恐怖を感じたり危険に晒されたりすることがないようにしなければならないだろう、と論じています。

* * *

 中国の戦略は、中長期的です。
 上記の論説で紹介された記事のように、50年間で6つも戦争をしかけては中国ももたないと思いますが、中国人民解放軍は、ハードな軍事戦争のみならず、「三戦」(心理戦、情報戦、法律戦)と呼ばれるソフトな戦争もしかけます。
 更に、今日では、経済や文化も重要な手段となり、人海戦術も活用しています。

 5カ年計画、10カ年計画は、中国共産党の一政権の期間であり、中国にとっての中期、長期は、50年、100年の戦略計画となります。

 欧米や日本等の民主主義国は、単年度予算かつ政権も4年位の任期で(最近まで日本の政権は1年位でした)、中長期は、5~10年の計画となります。

 今後、ますます強大化する中国と、どのように付き合って行くべきなのでしょうか。
 より長期的視点と、様々な分野を複合化した戦略が必要となるでしょう。


レコードチャイナ 配信日時:2014年1月6日 18時19分

<海外メディア>2014アジアで注目すべき4つの動向、日中間の紛争も予測―米メディア

 2014年1月2日、新華網によると、米ブルームバーグ通信はこのほど、記事「2014アジアで注目すべき4つの動向」を掲載、日中間の紛争を予測した。

 安倍首相の靖国参拝を受け、中国はすでに一連の報復リストを準備している。
★..日本の自動車メーカー、
★.電子輸出産業、
★.観光業
は打撃を受けるおそれがある。

①.尖閣諸島海域では実際に交戦が起き、航空機や船舶が巻き込まれる事件が発生するかもしれない。
 昨年中国が設定した防空識別圏は両国の緊張をさらに高めることとなった。
 一般には日中が交戦まで進むことはないと考えられているが、
この地区で緊張が高まればグローバルマーケットが影響を受ける可能性も否定できない。

 このほかアジアで注目すべき動向として、
 各国で高まる民衆の不満を受け、
②.何らかの大きなデモが発生する可能性や、
③.インド、インドネシア、タイなどでの指導者交代、
④.各国の国債暴落
が挙げられた。


JB Press 2014.01.07(火)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39594

日清戦争から120年、
「宿命的な対決」は起きてしまうのか?

 新たな1年の始まりは誰でも希望に満ちた明るい未来を願うものだ。
 しかし、2014年の日中関係は重苦しい空気を背負っての幕開けとなった。

 年末から年明けにかけて、中国では対日批判が高まり、「今年こそは」と期待された日中関係改善もすっかり遠のいてしまった。
 安倍晋三首相による靖国神社への参拝は、中韓による反発を強めただけではなく、国際社会に驚きと「失望」をもたらした。

■ますます遠のいた日中首脳会談

 参拝の翌日に当たる12月27日、中国外交部スポークスマンは
 「日本の首相の弁解は信憑性に欠け、まともに反駁する価値すらない。
 昨日(26日)の詭弁のみならず、この1年の様々な言行は虚偽でありでたらめであり、自己矛盾するものだ」
と語気を強めた。

 12月30日、在日中国大使館の程永華大使は毎日新聞に「『不戦の誓い』は場所が違う」と題した署名原稿を発表し、安倍首相の靖国神社参拝を強く批判。
 中国のメディアもこれを紹介した。
 中国メディアは、
 「われわれはドイツの政治家が、自らの独特の死生観、宗教観を理由にヒトラーを含む戦争狂が死をもって罪をあがなったとして、墓を建て参拝したといったことは聞いたことがない」
という文中の一節を取り上げ、ドイツの戦後処理を間接的に評価した。

 ちなみにドイツ政府のステファン・ザイベルト報道官は、安倍首相の靖国参拝について記者から問われ、
 「すべての国は、20世紀に発生した残酷な事件で、自分たちがしたことに対して正直に責任を取るべきだ」
と忠告を与えた。

 2013年の大晦日、中国は
 「日本との首脳会談には応じない」
 「安倍は自分で会談の扉を閉めた」
と断じた。
 新しい年が明けても、この問題はくすぶり続けている。
 中国のネット上では「戦争」という文字もちらつくようになった。

■いまも消えない「日本帝国主義」への怨念

 中国共産党の機関紙「環球時報」は、「1894年、1954年、2014年は中国の3つの甲午の年」という見出しの記事を掲載した。
 冒頭には「120年前の1894年、甲午戦争が勃発した」とある。
 ちなみに1954年は、中国で憲法が制定された年であり工業化がスタートした年でもある。
 「甲午戦争」とは日清戦争を意味する中国語だ。
 記事は
 「(甲午戦争で)中国は日本に惨敗した。
 今日の中日間の敵対は、我々にとっての最大なる外部からの挑戦であり、この2つの甲午の年を、中国人はいやがおうでも対比せざるを得ない」
と記している。

 ここで日清戦争を振り返ってみたい。

 日本の高校の歴史教科書「詳説日本史」(山川出版社)には、日清戦争はおよそ次のように描写されている。

 「1894年、朝鮮で甲午農民戦争が起こると、清国は朝鮮政府の要請を受けて出兵するとともに、日本もこれに対抗して出兵した。
 同年8月、日本は清国に宣戦を布告し、日清戦争が始まった」

 「戦いは日本の勝利に終わり、1895年4月、日本全権伊藤博文・陸奥宗光と清国全権鴻李章とのあいだで下関条約が結ばれて講和が成立した。
 その内容は、
(1)清国は朝鮮の独立を認め、
(2)遼東半島および台湾・澎湖諸島を日本に譲り、
(3)賠償金2億両、
(4)新たに沙市・重慶・蘇州・杭州の4港を開くこと、
などであった」

 中国人からすれば、日清戦争とはまさに列強による中国分割の幕開けであった。
 中華中心主義(シノセントリズム)を標榜し、世界における至高の地位だと自認してきた中国にとって、日清戦争の敗北はかつてない危機との遭遇であり、歴史上の汚点ともなった。

 同時に、日清戦争の惨敗から近代中国の民族主義が覚醒することになる。
 中国の多くの学者は
 「甲午戦争が中国近代史の重要な分水嶺となり、また中国民族主義の機運を高めることになった」
と指摘し、
 「中国社会の構造転換の起点となった」
という認識を持っている(鐘文博著『甲午戦敗後近代中国民族主義的形成』)。

 「侵略者」である日本の帝国主義への怨念は骨の髄まで染み込み、今もくすぶり続けている。
 2014年の今年は、日清戦争が勃発した1894年からちょうど120年。
 干支が2巡した甲午の年であり、中国では「宿命的な対決があってもおかしくはない」という声が広がる。
 領土をめぐる対立や、政権への不満の高まりや、過剰に扇動される愛国心や民族意識など、120年前と共通する要素は確かにいくつも見受けられる。

■日本に追い付くことが目標だった中国

 日清戦争の敗北と欧米列強の干渉を背景に、救国を唱え「変法運動」を起こした人物に康有為(1858~1927)や梁啓超(1873~1929)がいる(注:「変法運動」とは、1898年、清朝11代・光緒帝のもと、日本の明治維新をモデルに議会政治と立憲君主制の確立を目指した運動。西太后によるクーデター(戊戌の政変)により約100日で失敗に終わる)。

 梁啓超が著した『戊戌政変記』には次のような一句がある。

 「わが中国の4000余の歴史の夢が呼び覚まさせられた。
 それは甲午敗戦で台湾を割譲され、二百兆(当時の邦貨にして2億両)を賠償させられた後に始まった」

 ここに民族主義の覚醒を垣間見ることができるのだが、同時にこれは、習近平国家主席が唱えた「中国の夢」をも想起させる。
 2012年、習近平国家主席は政権の座に就くと同時に
 「中華民族の偉大な復興の中国の夢を実現させ、国家富強、民族振興を実現させる」
とのメッセージを発信した。

 経済を発展させ、漢民族を奮い立たせ、諸外国に対して強い中国を示す、それは古くて新しい中国のやり方である。
 近年の積極的な経済外交は、中国が古くから東アジアの国際秩序維持のために行ってきた冊封・朝貢体制を連想させる。
 世界各国に「中国なしには発展しない」という認識が広がる様は、まるで21世紀の国際社会に中華中心主義が復活しているかのようだ。

 さて、日清戦争の敗北にショックを受けた中国の知識分子は、国家を強くするためには日本に追い付く必要があると主張し、その基盤を「教育」に求めた。
 日清戦争後に中国では日本留学の一大ブームが沸き起こる。
 1896年には13人が、その後1899年には200人、1906年には1万~2万人の中国人留学生が来日したという(『中国人日本留学史』実藤恵秀著、1960年、くろしお出版)

 「日本に追い付く」は100年以上の長きにわたって目標であり続けた。
 1990年代前半には日本企業をはじめとする外資企業の投資と工場設立を呼び込み、積極的な技術導入を図った。
 その結果、中国は経済力を蓄え、ついにはGDPで世界第2位、軍事支出でも第2位の「強大な中国」となるに至った。

 ネット上では「もはや恐れるものはない」という中国人の声があふれる。
 日清戦争から120年経った今、満を持して世界の覇権を握ろうという勢いだ。

 2012年9月、日本が尖閣諸島を国有化した直後、中国側は繰り返し「持久戦になる」という言葉を使った。
 まさしくここには歴史的屈辱に対する捲土重来の意図があり、日本と中国の国際社会における地位の逆転を見据えていると言っても過言ではない。
 そして、事態は海と空での睨み合いに発展、どちらかの航空機が撃ち落とされればただちに開戦するかのような緊張感が漂っている。

■「中国の思うツボ」にはまらないための外交努力を

 しかし、日本のかつての軍国主義を否定する中国が軍備増強に走るというのは、考えてみれば矛盾した行動である。
 中国は、安倍政権が軍事力強化を目論んでいると責め立てるが、アジアの平和を希求するはずの中国はどうなのだろうか。
 筆者が現地で感じるのは、「むしろ戦争をやりたがっているのは中国の方」ということだ。

 『尖閣諸島・琉球・中国』(浦野起夫著、2005年、三和書籍)によれば、
 中国は「軍事作戦を辞さないとする国民性の国家」であるという。
 同著は「中国は1950年の朝鮮戦争への参戦以来、1974年1月の西沙群島の軍事回復作戦、1995年1月の南沙群島のミスチーフ環礁作戦を含めて、計11回の軍事力の対外行使を行ってきている」とし、
 日本は「中国の軍事容認思考を理解できないでいる」と指摘する。

 その一方で興味深いのは次のようなくだりだ。
 「日本は国際紛争の解決において軍事力の行使をとっていないこともあり、中国にとり軍事力の行使の敷居がとても高い」(同著)。

 そうであるとすれば、仮に戦争が起きた場合、中国は武力衝突を引き起こした原因はあくまでも日本にあると強硬に主張するだろう。
 戦争では日本をいかに「平和的にやっつける」かが中国の当面の目標となる。
 日本を敗北に至らせつつ、自らは平和国家としての体面を保つ。
 そのために日本に「軍国主義の悪者」というレッテルを張り、「日本を退治する理由」を公然と世界にアピールするだろう。

 2014年の日中関係において、日本は「中国の思うツボ」にはまらないよう細心の注意と努力が求められる。
 奇しくも、安倍首相(1954年生まれ)は甲午の星のもとに生まれている。
 今年は、そのいわくつきの甲午の年である。
 国民は安倍外交の展開を固唾をのんで見守っている。

姫田 小夏 Konatsu Himeda
中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、出版社勤務等を経て97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、東京で「ローアングルの中国ビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」を主宰。現在、中国で修士課程に在籍する傍ら、「上海の都市、ひと、こころ」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)。目下、30年前に奈良毅東京外国語大学名誉教授に師事したベンガル語(バングラデシュの公用語)を鋭意復習中。








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靖国参拝とは[2]:「オバマへの大いなる失望」、そして強硬姿勢を強める中韓への対応

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WEDGE Infinity」 2013年12月31日(Tue) 
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3481

安倍首相の靖国参拝:日本はどのように外交を立て直すか

 安倍晋三首相が、就任1周年に当たる12月26日に靖国神社を参拝した。
 これに対して、国内外からすでに厳しい批判がわき起こっている。
 今回の参拝は決して「電撃」ではなかった。
 秋以降首相周辺から年末参拝の情報は流れており、ある意味既定路線だった。
 それでも、環境さえ整えば参拝を見送る可能性はあったはずだ。
 では、なぜ参拝を見送る環境が整わなかったのか。
 まずこの命題に答えることが、これからの日本の外交を立て直すために不可欠だろう。

■強硬姿勢を強める中韓に「失望」し、参拝に踏み切ったか

 安倍首相は、靖国参拝は心の問題なので、外交問題になること自体がおかしいと繰り返し表明していた。
 第一期政権で靖国を参拝できなかったことを「痛恨の極み」とし、任期中の靖国参拝を「国民との約束」と考えていた。
 外交上の配慮から首相や閣僚が靖国神社に参拝できない現状の固定化を避けたいと考え、参拝するタイミングを見計らっていたのだ。

 それでも、安倍首相は再登板後も対外関係に配慮して参拝を見送り、終戦記念日や春と秋の例大祭の際に、真榊(まさかき)や玉串料を奉納するにとどめてきた。
 仮に中韓がこれを評価し、歩み寄りの姿勢を見せていれば、安倍首相も中韓との首脳会談を実現するため年末の靖国参拝を見送らざるを得なかっただろう。
 しかし、中国や韓国は安倍首相の自制を評価するどころか、歴史認識や領土問題をめぐって強硬姿勢を強めるだけだった。

 安倍首相としては、靖国参拝を自制し、対話を呼びかけても、中韓が反日的な立場を強めるだけだったことに失望し、今回の参拝に踏み切ったのだろう。
 つまり、中韓との関係は今が「底」であり、
 「靖国に参拝しても中韓との関係で失うものはない」
との判断につながったと考えられる。
 中国が東シナ海に防空識別圏を設定したことや、南スーダンで国連平和維持活動(PKO)に従事する韓国軍への弾薬の提供が評価されなかったことも中韓へのさらなる不信につながり、参拝を見送るという選択肢をより遠ざけたことだろう。

■安倍首相の信念を過小評価したオバマ政権

 日米が同盟管理に失敗したことも、参拝を見送る環境作りが整わなかった一因だ。
 アメリカ側は安倍首相の経済再生や同盟強化への取り組みは評価しつつも、その歴史観には懸念を持っていた。
 このため、アメリカ側は官民を挙げて、靖国参拝を自制するように強く求めていた。
 安倍首相が靖国を参拝すれば、日中・日韓関係がさらに悪化し、北東アジアの安全保障環境がより厳しいものになることを懸念してのことだ。

 参拝自制を求めるアメリカ側からのメッセージが、安倍首相に届いていなかったはずはない。
 10月にケリー国務長官とヘーゲル国防長官がそろって千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花をしたことも、12月初旬にバイデン副大統領が訪日したことも、安倍首相の靖国参拝を牽制する意図を含んでいたことは明らかだ。
 オバマ政権は春の大統領の訪日の可能性もほのめかして、安倍首相の外堀を埋めようともした。
 日本側にも、アメリカの「外圧」を利用して、安倍首相に靖国参拝を諦めさせようという考えが一部にあった。

 だが、オバマ政権は、靖国参拝を「国民との約束」とする安倍首相の信念を過小評価した。
 安倍首相は就任直後に米誌のインタビューで、靖国神社をアーリントン国立墓地になぞらえ、今後も参拝を続けると明言していた。
 にもかかわらず、たとえば国務長官と国防長官が千鳥ヶ淵を訪問したのは、真正面から安倍首相の面子をつぶすやり方だった。
 小泉純一郎首相が靖国神社に参拝しても、ブッシュ前大統領がこれを決して公然と批判しなかったのとは対照的だ。

 オバマ政権は、安倍首相が「国民との約束」を反故にしてまで参拝を見送れるよう、真摯に安倍首相を説得するべきだったのに、そうしなかった。
 安倍首相は、普天間飛行場の移設に進展をもたらした上で、アメリカにつぶされた面子を保つためにも「国民との約束」である靖国参拝を優先したのだろう。

 もちろん、国際的な批判を招いてまで、安倍首相が靖国参拝にこだわるべきだったのかという疑問も残る。
 靖国神社は、明治維新以降の国難に殉じた先人を祀っている。
 英霊に敬意を払うことはまさに心の問題である。だが、一宗教法人に首相が参拝することに関しては、憲法の政教分離の原則との整合性の問題を指摘する声がある。
 しかも、靖国参拝は不幸なことに外交問題化してしまった。
 参拝の目的が「不戦の誓い」であることを、国際社会に伝えることは困難だった。

■国民にとって靖国参拝は最優先課題ではないはず

 果たして靖国参拝は「国民との約束」だったのだろうか。
 世論が安倍政権を支持しているのは、何よりも経済再生に関わる政策である。
 今回の靖国参拝を国民が支持するかどうかは世論調査が出そろうのを待たなければならないが、国民にとって最優先課題ではないだろう。

 安倍首相は残りの任期中に靖国を参拝する必要はない。
 仮に今回の参拝を国民の過半数が支持するなら、すでに「国民との約束」を果たしたことになる。
 過半数が支持しないのなら、「国民との約束」ではなかったということだ。
 いずれにせよ、残りの任期はアベノミクス「第三の矢」である構造改革を通じて、経済再生に全力を注ぐべきである。
 靖国問題がここまで政治問題化した以上、新たな英霊の称え方についての議論も行っていくべきだろう。

 「中韓の顔色をうかがうのは国益にならない」と今回の参拝を支持する声もあるが、中韓の強硬姿勢を改めさせるには、自制的な対応を続けることによって国際世論を味方につけなければならない。
 国際世論は安倍首相のナショナリスト的な側面に懸念を持っているため、中韓は安倍首相を「右翼の軍国主義者」と批判して国際世論を誘導しようとしていた。
 だが、安倍政権が中韓の強硬姿勢に自制的に対処しているのをみて、国際世論は理不尽な要求を日本に突きつける中国や韓国に批判的な目を向け始めていた。

 今回の靖国参拝で国際世論は日本も中韓も「どっちもどっち」という印象を持ったことだろう。
 しかし、国際世論は依然として「アベノミクス」に強い期待を持っている。
 安倍首相は、構造改革を通じた日本経済の再生によって、国際世論の信頼を取り戻すべきだ。
 歴史認識については、終戦70周年となる2015年に未来志向の「安倍談話」を出して一区切りをつければいい。
 今回の靖国参拝と同時に発表した「不戦の誓い」がその土台となるだろう。

■中韓それぞれへの対応策

 では、中韓そしてアメリカとの関係はどのように立て直すべきか。

 まず、中国は尖閣諸島の領有権に関して、韓国は慰安婦問題に関して、日本が譲歩することを求めている。
 日本としては、中韓の理不尽な要求には毅然と対処しつつも、特定の問題が二国間関係全体を悪化させている状況を改善させなければならない。

 実は、参拝直前に中韓との関係では変化の兆しが見え始めていた。
 中国では習近平体制が国内基盤を固めつつあり、韓国では朴槿恵大統領の側近から韓国の孤立を懸念する声が水面下で漏れ聞こるようになっていたからだ。

 中国は現在権力闘争の過渡期にある。習近平指導部による周永康・前政治局常務委員を中心とする保守派の粛正が行われている。
 周永康氏の側近が1人また1人と逮捕され、周氏自身もすでに軟禁状態にあるというのが大方の見方だ。

 習近平体制が権力基盤を固めれば鄧小平時代に匹敵する強い指導部となり、国内の改革に乗り出す可能性が高い。
 そして、国内の改革を断行するためには、尖閣をめぐる対立を相対化し、日中関係を安定させることが必要となる。
 実際、靖国参拝後も習近平指導部は反日デモを認めていない。

 朴槿恵政権には、側近が日韓関係の改善を提言することができない雰囲気が依然漂っている。
 今回の靖国参拝で日韓関係の早期改善はさらに難しくなったことは否めない。

 韓国政府は日本との防衛交流の停止を検討しているようだが、このような動きに一喜一憂する必要はない。
 北朝鮮情勢が変化を見せる中、特に韓国軍は日韓協力の重要性を痛感しているし、現場レベルでの自衛隊と韓国軍の関係は実は緊密だ。
 政治レベルでの関係改善はより困難だが、日韓関係の悪化に懸念を持っている韓国の政治指導者は決して少なくない。

■経済再生と日米同盟の強化に取り組むべき

 オバマ政権は、今回の参拝に「失望」したという声明を出したが、同時に安倍首相の「不戦の誓い」も評価している。
 日米同盟を揺るがしてはならないことはオバマ政権も理解している。
 人民解放軍が日米同盟にくさびを打ち込もうと、尖閣諸島周辺でさらなる強硬姿勢を見せる可能性は高い。
 このため、安倍政権は、普天間移設の着実な実施と集団的自衛権の行使に向けた議論を加速させ、日米防衛ガイドラインの改定を予定通り進めて日米同盟の強化を進めるべきだ。

 今後の日本外交の立て直しに、安倍政権は国家安全保障会議(NSC)を存分に活用すべきだ。
 NSCを通じて、首相官邸とホワイトハウスのコミュニケーションを密にし、信頼関係を維持することに努めなければならない。
 また、権力闘争の過渡期にある中国や不穏な動きを見せる北朝鮮に関して、日米が情勢認識を共有する必要がある。
 日韓関係の改善に向けて、首相官邸と青瓦台とのコミュニケーションを確立することも重要だ。

 今回の安倍首相の靖国参拝に対しては、しばらくは厳しい批判が国内外から続くだろう。
 中韓が無条件の首脳会談に応じることも短期的には期待できない。
 しかし、今回の参拝を機に、安倍首相は歴史認識に関する持論を封印する環境が整ったと考えるべきだ。
 そして、経済再生と日米同盟の強化に取り組むことで、外交を立て直し、国際世論を再び味方につけ、中韓との関係改善に忍耐強く取り組んでもらいたい。

小谷哲男(こたに・てつお) 日本国際問題研究所研究員
1973年生まれ。同志社大学大学院法学研究科博士課程満期退学。ヴァンダービルト大学日米関係協力センター客員研究員、岡崎研究所特別研究員等を歴任。専門は日米同盟と海洋安全保障。法政大学非常勤講師及び平和・安全保障研究所・安全保障研究所研究委員を兼務。中公新書より海洋安全保障に関する処女作を出版準備中。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/31 11:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/31/2013123101292.html

【コラム】安倍首相に厳しく警告した米国の本心

 今年会った米国の対日専門家たちとの対話記録を整理した資料を取り出して読んでみた。 
 安倍晋三首相について、専門家たちがどのような評価をしていたか、再確認したかったからだ。

 専門家たちはほぼ共通して、慰安婦問題などをめぐる安倍首相の言行を批判しながらも「安倍首相は非合理的な人物ではない」と話していた。
 最高点をつけた部分が「首相になった後も靖国神社を参拝していない」という点だった。
 歴史認識には問題があるが、少なくとも周辺国を意識して「マジノ線」を越えない自制力は示しているというわけだ。
 日本の高官層と随時接触しているマイケル・グリーン戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長も、こういう理由から最近まで「安倍首相は靖国神社に行かないだろう」という見通しを持っていた。

 こういう状況の中、クリスマスの夕方(米国時間基準)に飛び込んできた安倍首相の靖国参拝強行のニュースに接し、米国の感じた当惑がどれほどのものだったか、想像することができる。
 米国政府の声明に繰り返し登場する「失望(disappoint)」という表現は、同盟国に対して気軽には使いにくい。
 ワシントンの外交消息筋は
 「仮に、韓国政府の何らかの行為に対し、米国が『失望した』という声明を出したと考えてみよ。
 おそらく対米外交ラインは全て吹き飛ぶだろう」
と語った。
 公式発表されるレベルがこれほどだったということは、水面下で米国の当局者はもっときつい表現を使ったことだろう。

 安倍首相の「オウンゴール」で、韓米は久しぶりに声を合わせて日本を批判している。
 これまで韓国に「日本との関係改善」を要求してきた米国としても、韓国の立場をより理解できるきっかけになった。

 とはいえ、米国の懸念は「安倍首相の歴史認識」そのものよりも「周辺国との対立」の方に、はるかに集中している。
 この点で韓米間には根本的な認識の差があり、そのため今後の解決策をめぐっても意見の違いがあらわになる可能性が高い。

 こうした差は、ニューヨーク・タイムズが社説で
 「米国も日本を圧迫するが、最終的には韓中首脳が安倍首相と直接会って対話すべき。
 安倍首相の行為に『ライセンス』を与えたのは、逆説的に韓国と中国の圧迫だった
と分析した点にもうかがえる。
 韓中が日本の歴史認識を批判し続け、安倍首相との会談を拒否したことで、日本国内で韓中に対する反感が高まり、そのため安倍首相が韓中の反発を無視して参拝を強行できたというわけだ。
 米国外交当局の関係者がしばしばニューヨーク・タイムズの論説委員と会い、外交上の懸案について意見交換をしていることを考慮すると、この社説を「幾つかある主張の一つ」と軽く流すのは難しい。

 「北東アジア戦略の中心軸」たる日本を放棄できない米国は、安倍首相に痛烈な警告を行ったが、これにとどまらず別の「懲戒」をする手段はほとんどない。
 結局、韓日に向けて「好きなように対話で解決せよ」というメッセージを投げ掛けた可能性が高い。
 とはいえ、米国の後頭部も簡単にたたけることを立証した安倍首相との対話に乗り出すという危険な手段を、うかつには選べないだろう。
 あれやこれやで新年の韓国外交にまた一つ大きな宿題が残された。


 安倍さんは「オバマに失望」したのだろう。
 「こりゃダメだ!、こうなりゃ一人でやるしかない」
 「アジアを中国の毒牙から守れるのは日本だけだ、アメリカは当てにならない」。
 とでも判断したのだろう。
 まあ、それはそれでいい。
 韓国がもはや中国の手先になってしまったことがわかればそれで十分といったところだろう。






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「一人っ子政策」の緩和:高齢化で膨らむ中国の年金債務:3億4000万人の高齢者

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ウォールストリートジャーナル      2013年 12月 28日 18:05 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304299204579285742900075638.html?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst

高齢化で膨らむ中国の年金債務

 3億4000万人の高齢者を抱える国がどんな国か想像してほしい。

 これが20年も経たないうちに中国が直面する現実だ。
 そのときには定年退職を迎えた人の数は現在の2倍になる。
 中国にまつわる数字は何でも大きいが、急増する年金債務に関してはあらゆる数字の中でこの高齢者数が最も重要と言えるかもしれない。

 中国は2009年以降、公的年金制度に5億人を加入させた。
 10年間で全員の加入を目指している。
 政府は「セーフティネットを設けて国民に支出を増やしてもらおう」という経済学的に健全な思考に基づき、加入者を増やそうと努めている。
 支出が増えれば消費支出が経済に占める割合が増加して、借金による設備投資に依存せずに成長を追求できるだろう。

 しかし、政府財政への負担が増すことで中国政府が進める経済モデルは制約を受けるかもしれない。
 中国の中央政府の債務は国内総生産(GDP)比約20%と少なく見えるが、これには金額が正確に分かっていない巨額の地方政府の債務や国有の企業や銀行の債務、年金の原資不足は含まれていない。
 バークレイズの推計では、年金の資金不足はGDPの35%にも上るとみられている。
 投資の期待収益と人口増の変動を考慮に入れると、資金不足はさらに大きいと考える学者もいる。

 そうなると、問題は約束した年金をどのように支払うか、である。
 中国の人口が難しいのは人口がプロテニスプレーヤーのごとく、すぐに年を取る、ということだ。
 一人っ子政策が導入され、人口増加期は早々に終わりを迎えた。
 その結果、先進国と比べて、開発サイクルのごく早い段階で労働力が減少することになった。

 中国の生産年齢人口は2012年に345万人減少した。
 中国の生産年齢人口が減少するのはこれが初めてで、今後は悪化の一途をたどることが予想されている。
 現在、全人口の70%近くが生産年齢人口で、60歳を超える人の割合は全体の14%にすぎない。
 つまり、現役世代5人が1人の年金生活者を支えていることになる。
 2030年には2.5人で1人を、
 2050年には1.6人で1を支えると予想されている。

 中国に年金積立金が十分にあるならそれは問題にならない。
 しかし、中国は米国や欧州の年金制度を苦しめた賦課方式を採用し、拠出金から年金を支払っている。
 上海社会科学院の左学金氏によると、これが原因で「空口座」現象が生じたという。
 空口座現象とは労働者個人の年金口座の90%が今の退職者への支払いに使われていた問題を指す。

 一人っ子政策を緩和しても問題は解決できそうにない。
 出産が増えて労働力が増加するまでに16年かかる
 しかも、中国の出生率(現在1.6人)が急速に上昇するかどうかは疑わしい。
 タイは中国と同程度の開発段階にあり、家族の人数に制限が課されていないが、出生率は中国と変わらない。
 韓国、日本、シンガポールの出生率はさらに低い。

 問題解決に役立つ政策もある。
 先月開かれた中国共産党の第18期中央委員会第3回全体会議(3中全会)では国有企業に対し、国庫への納付金の支払いを倍増させるよう指示する計画を打ち出した。
 また、国有企業は株を政府の年金に拠出することも求められる。
 中国ではほとんどの金融資産がなんらかの形で銀行の金利に縛られているため、銀行の預金金利の一部自由化によって年金の投資収益が上昇することが予想される。

 定年の引き上げも行われるとみられ、中国は世界基準にさらに近づく(現在の定年は50歳から55歳の間で、性別や職業によって異なる)。
 経済協力開発機構(OECD)域内の定年は平均で男性が64歳、女性が63歳だ。
 地方所管の年金が一元化されれば、労働者が住所を移しても受給権を維持することができるようになる。

 中央政府が財源を確保したとしても、実は約束した年金が受け取れると国民に説得する仕事のほうが難しい。
 中国では1990年代の市場改革で、絶対に割れない「鉄の茶碗」のように安定していると言われた福利厚生が失われたため、国民は非常に疑い深い。

 結果的に、国民は政府の年金制度への自発的な拠出を控え、その代わりに不動産や銀行預金に資金を回した。
 一部には民間の保険商品を購入する人もあった。
 年金制度の改善策に効果がなければ、こうした産業が利益を手にし続けるだろう。

 中国政府にとって、年金問題の状況を変えるために支払い能力と同じくらい必要なのは信用である。



ロイター 2013年 12月 29日 08:25 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE9BR01820131228

中国「一人っ子政策」緩和を正式に決定、労働教育制度の廃止も

12月28日、新華社は、中国の全人代常務委員会が、「一人っ子政策」の緩和と、裁判なしで身柄を拘束できる「労働教育」制度の廃止を可決したと報じた。

●写真は11月、北京で撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[上海 28日 ロイター] -
 新華社は、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が28日、
★.「一人っ子政策」の緩和と、
★.裁判なしで身柄を拘束できる「労働教育」制度の廃止
を可決したと報じた。

これらは、先月開かれた第18期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で、改革の一環としてその方針が発表されていた。

■.一人っ子政策の緩和については、夫婦のどちらか一方が一人っ子であれば第2子の出産が認められるようになった。
これまでは、夫婦2人とも一人っ子であることが条件だった。

<中国は今!>政治スローガンが増えた北京―改革、腐敗など難問山積

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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月31日 8時55分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81175&type=0

<中国は今!>政治スローガンが増えた北京
―習近平指導部、改革、腐敗など難問山積


●北京では「中国の夢」などと書かれた政治スローガンが目立っている。北京・王府井の書店では習近平主席の演説集のキャンペーンで特設コーナーができていた。

 今年(2013年)に入って、2度ほど北京に行ってきた。
 今年夏と秋の2回だ。
 印象深いのが夏の北京で、中国で問題になっている微少粒子状物質(PM2.5)の洗礼を受けたことだ。
 4日ほど北京に滞在したが、最終日には喉がいがらっぽくなって、風邪を引いてしまった。
 しかし、翌日、日本に帰ったら、喉の痛みは一晩で消えて、風邪もすぐに治ってしまった。
 PM2.5の健康に与える有害性を直に経験した。
 (文&写真:相馬勝)

 とはいえ、4日間の滞在中、1日はカラリと晴れたので、天安門広場や北京随一の繁華街・王府井などを歩き回った。
 気温は30度前後だが、湿度が60%程度で日本同様、蒸し暑い。
 ただ、大陸性気候のせいか、日陰に入ると結構涼しく、汗が出てくると木陰で涼んでいた。
 そこで気づいたのは、市街地に政治スローガンが増えたことだ。

「中国の夢を実現しよう」「中華民族の偉大なる復興」「改革開放は素晴らしい、生活は蜜より甘い」―などで、習近平国家主席が日ごろから叫んでいるスローガンが主だ。

 中国では最大級の書店である王府井書店にも行ってきたが、このところ習近平主席の演説がまとめられ、入り口の特設コーナーで大々的に宣伝、販売されていた。
 これも政治的運動の一環だろう。

 習氏は演説で、
 政治問題では毛沢東主席、経済では改革・開放路線を導入した?トウ小平氏の言葉を引用することが多い。

 習氏自身の言葉で最も有名なのが
 「蠅だろうが、虎だろうが、ともに退治すべき」
との言葉だ。
 今年1月、党員の不正監視機関である党規律検査委員会の全体会議で語った。
 このあとに
 「指導幹部の規律違反・違法案件を断固として調べて処分し、民衆の回りで起こっている不正の風と腐敗問題をしっかり解決すべきだ」
と続く。
 習氏の腐敗撲滅にかける断固とした決意が伝わってくるようだ。

 反腐敗問題では元重慶市トップの薄熙来・元政治局員が裁判で、無期懲役という重い判決が下された。
 また、薄熙来と気脈を通じていたといわれる元政治局常務委員の周永康氏も身柄を拘束され、近く、正式に罪状が発表されるとも伝えられる。
 一説には周氏が横領したのは1000億元(約1兆6000億円)というとてつもない額で、裁判になれば死刑に相応する重い判決が予想される。
 そうでもしなければ、民衆の不満は収まらないだろう。

 ただ、李鵬元首相ら保守的な元老から
 「党の最高幹部である政治局常務委員経験者が刑事被告人になれば、党の威信は丸つぶれだけに、内部の処分だけで、穏便に済ませるべきだ」
との声も出ているとの報道もあり、習主席は難しい舵取りを迫られている。

 さらに、難しいのは経済問題で、下降気味の経済をどのようにして建て直すか、頭の痛いところだろう。

 習近平体制が発足してから、
 北京市内でスローガンが増えたのも、政治・経済運営の難しさを示すものといえそうだ。
 習氏にとって、来年が正念場となるのは間違いない。

◆筆者プロフィール:相馬勝
1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。
著書に「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)など多数。








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2013年12月30日月曜日

靖国参拝とは[1]:「中韓専用瞬間接着剤」、 韓国と中国の蜜月状態を持続させるために?

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●30日、環球網によると、日本の安倍晋三首相が靖国神社を参拝したことについて、韓国の朴槿恵大統領が安倍首相を厳しく批判した。写真は靖国神社。

 靖国参拝を実行した意図は何か?
 幾つか挙げられるだろう。
 その中で最も大きなウエイトを持つのは、
 韓国の中国離れを阻止すること
だろう。
 おばさんは最近、親中国に少し迷いが出てきている。
 中国はおばさんの思うようには動いてくれないし、時には韓国に強く当たるようになってきている。
 また、ヨショをしていたメデイアもおばさんの頑なさに、少々苛立ってきている。
 もしこのまま進むとおばさんに迷いが生じ、中国の間に隙間風が吹くことにもなりかねない。
 安倍さんはそれはいかにしても阻止しないといけない。
 そこで使ったのが靖国参拝という切り札。
 これはまんまと成功した。
 これでもう、韓国が中国から離れることはない。
 日本にとっては、こういう中途半端にフラフラしている国がまわりにいるというのは目障りでしかたがない。
 中国にくっつけておけば安心していられる。
 言い換えると
 「靖国参拝」とは「中韓専用瞬間接着剤」だった
ということである。
 つまり、韓国が親中国化すればするほど、アメリカとの関係は自動的に疎遠にならざるを得ない。
 おばさんはシャカリキになるが、どうも最近、中国は韓国に冷たい。
 このままいくとおばんさんの立場が危うくなる。
 日本としてはアメリカとの関係を強固にして、韓国を外したい。
 それができなくても、韓国にウエイトをおくようなアメリカの動きは阻止したい。
 そこで使ったのが靖国参拝という手だ。
 アメリカは日本への反対意見を発表した。
 しかし、それ以上は踏み込まない。
 なぜなら、日本が「オバマの裏切り」によってアメリカに懐疑的になっていることを知っているからだ。
 韓国が中国に寄り添いはじめたいま、日本がアメリカを無視するようなことがあっては、アメリカのアジア戦略が崩壊する。
 アメリカは「日本をして、中国の抑えの石」にしたいという意図がある。
 余力がなくなってきたアメリカにとっては
 日本をアジアでのアメリカの肩代わりに使いたい
という戦略である。
 日本はそいうアメリカの意図をくんで靖国参拝という大芝居を実行したということだろう。
 靖国問題でアメリカが日本への意見を表明したのはこれがはじめてのことである。
 なぜなら、アメリカが原爆で一瞬にして20万人の生命を奪っている。
 この事情からして、アメリカは靖国問題には過去には介入していない。
 もしそれをやると、日本から人道上のとてつもない非難が日本から浴びせられることになる。
 日本はその非難行動を抑えており実行していない。
 そうすることにより、日本とアメリカの関係が保たれている。
 しかし、今回アメリカは日本を非難した。
 冷静にみて靖国参拝はどうみてもアメリカに関わりあうことではない問題である。
 ではなぜ、そんなことをしたか。
 過去に例のないことをアメリカがやった。
 ケネデイ大使の勇み足か。
 それともオバマのさしがねか。
 このへんはわからない。
 まさか、日本がそうしてくれるようにアメリカに頼んだか。
 もし外交上の動きとしてみるならこれは結構有力な説としてありえる。
 外交というのはウラで何がどんな思惑で動いているかわからない。
 おばさんのような動きはガキの発想で非常にわかりやすい。
 韓国はアメリカの意を得たとばかりに、日本非難を強めた。
 アメリカとしては基本的に同盟国としての日本と韓国が不仲になることは望んでいないということになっている。
 もしアメリカが本当にそういう方針なら、日本にそっぽを向かせるような日本非難は行わないはずである。
 しかし実際には、これまで行われなかった行動をした。
 これによって、
 韓国は日本との関係を断つほどになり、中国との蜜月関係を維持する
ことになった。 
 普通にみればこれはアメリカにとって利のあることではない。
 アメリカは知らん顔していてもよかったはずである。
 知らん顔していても大局に影響はなかったはずである。
 別に何も喋らなくても問題はなかったはず、つまり勇み足とも思えることをなぜやったのか。
 この辺が外交の面白さであろう。
 もしかしたら、
 日本とアメリカとの間に何らかの裏取引があったかもしれない
と勘ぐることができる。
 普天間基地の問題は前もってアメリカに知らされていたはずである。
 「こうこうこういう具合になります」と。
 とすれば、ここで靖国問題でアメリカが日本非難を行うというのはどう考えてもおかしい。
 つまり、日本がアメリカに非難してくれるように要請していた、と考える方がわかりやすい。
 結論をいうと、日本とアメリカ、そして靖国と普天間のからみの中で、アジア戦略が動いていたのではないかということである。
 もしアメリカの発言がなかったならば、またいつもの事、で終わってしまうことである。
 なのに
 「なぜアメリカは発言したのか」
である。


朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/30 09:44
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/30/2013123000864.html

靖国参拝:安倍首相、普天間解決を念頭に強行?

 日本の安倍晋三首相が米国の反発を覚悟で靖国神社参拝を強行したのは、
 17年間にわたる普天間基地移転問題の解決という米国への「プレゼント」
を念頭に置いた行動だったのではないかとの分析が聞かれる。

 沖縄県の仲井真弘多知事は25日、安倍首相と会い、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向け、政府が提出した埋め立て申請を承認した。

 仲井真知事は27日、合意の事実を正式に発表した。
 発表前日の26日、安倍首相は靖国神社を参拝。
 米国務省は直ちに「失望した」とする声明を発表した。
 しかし、ヘーゲル米国防長官が普天間基地移転問題の合意について「決断を歓迎する」との声明を出した。

 ヘーゲル国防長官は
 「米日関係のレベルを一段階高めることができる。
 今回の決定は強力で持続可能な米軍の構築に寄与するだろう」
と述べた。
 靖国参拝問題で対立するかに見えた米日関係が「普天間」で一転して修復局面を迎えた格好だ。

 安倍首相は来月、国家安全保障局の初代局長に内定した谷内正太郎氏を米国に派遣し、米政府関係者に靖国参拝問題について説明し、両国の軍事協力強化についても話し合う予定だ。

 米国は靖国問題を意識し、安部首相を直接名指しこそしていないが、普天間基地の移転問題解決を引き出した安倍首相を高く評価するムードだ。

 産経新聞は「靖国参拝がなければ、オバマ米大統領が安倍首相に電話をかけ、感謝の意を伝えたはずだ」とした。
 戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン上級副所長は、読売新聞のインタビューに対し
 「靖国神社参拝は米日同盟の根本的な関係には影響を与えないだろうが、
 普天間基地移転は両国関係をより一層発展させることができる
と指摘した。

 米軍基地を沖縄県外に移転すると公約した仲井真知事が、公約違反を覚悟で埋め立て申請を承認したのは、安倍首相の大盤振る舞いがあったからだ。
 安倍首相は25日、仲井真知事との会談で、沖縄に年間3000億円を支援することに加え、米軍基地内の環境保全や調査に関する新たな政府間協定の締結に関する交渉を始めることなどを提示した。
 しかし、沖縄県庁には27日、県民2000人余りが集まり、「公約に違反した知事は辞任しろ」などとスローガンを叫び、デモを繰り広げた。

 普天間基地の移転問題が解決されたことを受け、米国は安定的に使用できる基地を確保しただけでなく、米軍の再配置戦略を本格的に推進できることになった。
 米国は2006年に普天間基地を辺野古の埋め立て地に移転することで日本政府と合意するとともに、沖縄の米海兵隊の兵力約8000人を他の拠点地域に再配置し、日本の自衛隊の役割を強化する計画も同時発表した。
 しかし、普天間基地移転問題が頓挫し、米軍の再配置計画も棚上げとなり、両国の対立原因となっていた。

 一方、オバマ米大統領が来年4月に訪日するとの情報について、ワシントンの外交筋は「まだ確定していないことを日本側が広めたものだ」と述べた。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/30 10:02
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/30/2013123001003.html

韓中による日本外しの外交日程、来年相次ぐ
韓国が日本との全外交日程を保留
習近平国家主席の来韓など韓中両国は蜜月

 日本の安倍晋三首相が26日に靖国神社を参拝して以降、韓国政府は日本との全ての外交日程を保留した。
 その影響で韓国・中国との蜜月と日本の孤立という構図が明確になっている。

 韓中両国は今年6月に朴槿恵(パク・クネ)大統領が中国を訪問し、習近平国家主席と会談を行い「韓中未来ビジョン共同声明」を採択するなど、外交チャネルを拡大してきた。
 11月には中国外交の実務を担当する楊潔チ国務委員が来韓し、韓国大統領府の金章洙(キム・ジャンス)国家安保室長とのルートも新たに設けられ、今月には両国の国立研究所による戦略対話、外交部と国防部(いずれも省に相当)の局長級による2プラス2外交・安全保障対話も行われた。

 来年も重要な外交日程が目白押しだ。
 上半期には習主席が韓国を訪れ、2回目の韓中首脳会談が行われそうだ。
 先月の楊国務委員の来韓では、両国政府間で習主席の来韓について話し合われていた。
 また首脳会談に先立ち、来年の上半期には中国の王毅外相が来韓する可能性も高まっている。
 韓国政府の当局者は
 「昨年4月に(韓国外交部の)尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が北京に行き、そのとき韓中外相会談が行われたが、その後王外相はまだ韓国に来ていない。
 そのため近く王外相もソウルを訪れ、韓中外相会談が行われるだろう」
と述べた。

 来年はアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が北京で開催される予定で、下半期には朴槿恵(パク・クネ)大統領が再び中国を訪問する。
 そのため両国によるさまざまなレベルの実務会談も当然増えることが予想される。

 ちなみに韓国の政府関係者の間では
 「日本とは首脳会談はもちろん、外相会談も議題にさえしにくい状況になった」
との見方が支配的だ。
 尹外相は今年4月に中国を訪問する際、日本を訪問して岸田文雄外相と会談を行う予定だった。ところが麻生太郎・副総理兼財務相が靖国神社を参拝したため、尹長官は訪日を取りやめ、その後は日本を訪問するスケジュールさえ組まれていない。
 先月は日本の防衛省が韓国国防部に「国防当局間交流」を要請し、実務レベルで検討を行っていたが、これも安倍首相の靖国神社参拝で中断となった。

 今年は韓日首脳会談が開催されなかったが、これについて安倍内閣では
 「中国との関係が改善すれば、韓国は自然についてくる」
とする「日中関係優先論」があった。
 しかし、これも難しくなったとの見方が支配的だ。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月30日 18時44分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81146&type=0

朴大統領が「日本は一流国家とは呼べない」発言、
中国も賛同「経済は一流、品格は三流」―中国メディア

 2013年12月30日、環球網によると、日本の安倍晋三首相が靖国神社を参拝したことについて、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が安倍首相を厳しく批判した。

 朴大統領は30日午前に行われた会議の席上で、
 「一流国家は高尚な品質を備えているべき。
 繰り返し国際社会の普遍的な価値観と人類の良心に背く国は、どんなに経済的な実力があっても一流国家とは呼べない」
などと述べた。
 日本に直接言及しなかったものの、安倍首相の靖国参拝を批判しているのは明らかだ。

 このニュースに中国のネットでは、さまざまな意見が出ている。
 以下はその一部。

「その通り!朴槿恵を愛している!」
「韓国の今回の発言には力がある。中国も学ぶべき」
「中国は実際に対抗措置を取るべき。いつまでもこのままではいけない」
「日本の経済は一流、品格は三流、政治家は四流」
「韓国は大統領が出てきて発言するだけいい」
「われわれは韓国の女性大統領の言葉に喜ぶだけ。中国は誰も発言する勇気がない」



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月31日 12時57分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81210&type=0

<靖国参拝>
韓国大統領も日本を非難、中国と一緒に日本を懲らしめてはどうか―中国メディア


●30日、韓国の朴槿恵大統領が安倍首相の靖国参拝を厳しく批判したことから、中国メディアは「中韓で協力して日本を懲らしめてはどうか」と提案している。

   2013年12月30日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が安倍首相の靖国参拝を厳しく批判したことから、中国のニュースサイト・財訊は「中韓で協力して日本を懲らしめてはどうか」と提案する記事を掲載した。
 以下はその内容。

 日本の安倍晋三首相による靖国神社参拝は中国の激しい批判と韓国の怒り、米国の失望を生んだ。
 国際社会は次々と日本を非難し、中国、韓国、米国は日本との外交活動や軍事活動をキャンセルしている。
 韓国の朴大統領は就任後、米国、中国を訪問したが、日本への訪問はいまだ未定であり、日韓首脳会談の開催も実現していない。
 これはすべて日本側に責任がある。

 ケリー米国務長官が今年10月に訪日した際、千鳥ケ淵戦没者墓苑を献花のため訪れたのは、安倍首相に靖国神社への参拝を慎むよう求めた米国の警告であったのに、安倍氏はこれを無視した。
 12月にアジアを歴訪したバイデン米副大統領は、日中関係の緊張緩和と日韓の軍事協力体制強化を目的にしたものだったが、安倍氏の靖国参拝はこうした米国の努力を水泡に帰す行為だ。

 米国は日本と韓国が軍事同盟を結び、「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」を構築することで中国をけん制するという期待を抱いていた。
 だが、竹島問題や慰安婦問題で日韓関係は悪化の一途をたどっている。
 今こそ中国と韓国は歩調を合わせて日本に反撃すべきだ。
 ロシアも日本に対し、決して友好的とはいえない態度を示している。
 日本はすでに孤立状態に陥っているという事実に、安倍政権は一体いつ気付くのだろうか。







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「日本の夢と中国の夢の争い」:世論調査、74.6%が日本に強硬に対応するべき

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●28日、環球時報は記事「世論調査、74.6%が日本に強硬に対応するべきだと回答=日本の夢と中国の夢の争い」を掲載した。靖国神社に資金援助している企業を制裁するべきだとの回答も67.7%に達した。写真は日本製品不買運動。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 22時5分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81157&type=0

<靖国参拝>靖国支援の日本企業に制裁を!世論調査で7割弱が支持―中国

 2013年12月28日、環球時報は記事
 「世論調査、74.6%が日本に強硬に対応するべきだと回答
 =日本の夢と中国の夢の争い
を掲載した。

 日本の安倍晋三首相は26日、靖国神社に参拝。
 米中韓など関係国に加え日本国内の世論からも激しく批判されている。
 尖閣問題を発端として日中関係が悪化するなかでの参拝を中国民衆はどう見ているのか?
 環球世論調査センターは27日、中国7都市の一般市民を対象に世論調査を実施。46.5%が「激怒した」と回答している。

 また日本に強硬に対応するべきだとの回答が74.6%、
 靖国神社に資金援助している日本企業・組織を制裁するべきだとの回答が67.7%の
支持を集めるなど、単なる批判を超えて具体的な行動に移るべきだとの意見が目立つ。

 中国社会科学院の馮昭奎(フォン・ジャオクイ)委員は世論調査で市民は最も過激な選択肢を選んだと分析。
 しかしまずは靖国神社に資金援助している企業・組織のリストを作る必要があるほか、日中経済は相補的なものであり大きな打撃は与えられないとコメントした。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月30日 0時13分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81144&type=0

日中間の争いは「アジアの悲哀」、歴史にとらわれず両国は団結すべき―中国メディア

 2013年12月28日、中国・海外網は、中国民間シンクタンク・察哈尓学会の研究員でジャーナリストの章文(ジャン・ウェン)氏の論説を掲載した。

 昨年の日本による尖閣諸島国有化以降、日中関係は極度に緊張状態にある。
 安倍晋三首相の今回の靖国神社参拝は最も注目すべき行為だ。
 安倍氏は小泉純一郎元首相を見習い、「硬派」のイメージを展開し、国民の関心と支持を集め、平和憲法改正の目的を達成しようとしている。
 そして、最終的には日本が第二次世界大戦後の「非正常国家」から脱却し、軍隊と交戦権を有する「正常国家」になるのが目標だ。

 安倍氏のいわゆる強硬姿勢は、日本国内の民意の変化と関係がある。
 この10年間、国家の総合力でみると、中国は上昇し、日本は下降している。
 11年には中国が日本にとってかわり、世界第2位の経済体となった。
 このことが、それまで優越感に浸っていた日本人に大きな心理的ダメージを与え、日本国内の右翼勢力が拡大するきっかけとなった。

 2度にわたる世界大戦で苦しんだ欧州諸国は、戦争に別れを告げ、共に手を携えて進む道を選んだ。
 欧州連合が成立して20年、加盟国はすでに政治、経済、文化の上で深く融合し、国境そのものもあいまいになっている。
 これとは反対に、日本と中国は戦後60年以上たつのに領土をめぐる争いが絶えず、互いに敵対意識を持ち、戦争という黒雲を払うことができずにいる。

 一部の有識者は「東アジア共同体」構想を提唱しているが、日中間の不和が原因で言葉だけに終わっている。
 アジアの人々が団結できずにいることで、アジアの事実上の制御権を部外者に掌握されているのは、アジア人にとっての悲哀と言わざるを得ない。
 私は日中両国とアジアの前途を深く憂慮している。
 この1年、日中関係は悪化の一途をたどり、事態の収束は困難な状況にある。
 この状況が続いた先にあるものを、私は想像したくないのだ。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月30日 7時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81150&type=0

<靖国参拝>NYタイムズ「日本の首相が平和主義から離脱」―米紙

 2013年12月27日、米ニューヨーク・タイムズ紙は、
 「日本の首相が平和主義から離脱」
と題する論説記事を掲載した。29日付で中国網が伝えた。

 安倍晋三首相の靖国神社参拝を受け、各国国民の間で不満の声が上がっている。
 米国は日本政府が意見を聞き入れず、しかも参拝の1時間前になって米国に通知をしてきたことに失望を表明。
 沖縄県名護市辺野古埋め立ての知事承認に絡み予定されていた小野寺五典防衛相とヘーゲル国防長官の電話協議も中止になった。
 日本とアジア各国の関係修復に向けて努力をしてきた米国の援助も、アジア歴訪したばかりの米副大統領の努力も水の泡に。
 今や日米間にマイナスの影響が生じるのは避けることができない状況だ。

 米ニューヨーク・タイムズ紙は、安倍首相が平和主義から離脱しつつあると指摘。
 安倍首相は日本経済の回復を通じ、強く自信にあふれ、完全な軍隊を有する日本を打ち立てようとしているが、このような冷戦時代の思考は時代錯誤でもあり、危険であるとした。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月28日 11時2分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81120&type=0

<靖国参拝>安倍氏は“テロリスト”と同類、中国は「ブラックリスト」で強烈な反撃を―共産党関連紙

 2013年12月27日、中国共産党機関紙・人民日報の傘下、環球時報は
 「安倍氏を“歓迎しない人物”のブラックリストに」
と題した記事を掲載した。
 以下はその概要。

 今月26日、安倍氏は年内の参拝はないだろうとの予想を覆し、突然の靖国参拝を行った。
 中国政府は当然のごとく抗議したが、
 国民は対日問題において政府がさらに踏み込んだ行動をとるべきだと考えている。

 中国は「張り子の虎」と評価されないためにも強く反撃する必要がある。
 その一環として、靖国に参拝し挑発的な行為を行う、安倍氏を筆頭とする日本の高官や議員らを中国の「歓迎しない人物」に指定しブラックリストを作成する措置が考えられる。
 リストの人物に対しては、5年間中国訪問および観光を禁止するよう規定を設ければ効果的だろう。
 ブラックリストを導入することで、中国は靖国参拝問題において主導権を握れる。
 同措置は日本の挑発行為に応えたまでのことで、国際社会からは同情と理解を得られるだろう。

 安倍氏がリーダーである限り、中日関係はショック状態から立ち直ることはできない。
 米国のブラックリストにはテロリストやファシストが多く記載されたが、中国にとって安倍氏は彼らと同類だ。


 「国民は対日問題において政府がさらに踏み込んだ行動をとるべきだ
 というのはいいが、それが単なるブラックリストに載せるとはやり方が薄っぺらい。
 なにか、もっと物理的な対応はできないものだろうか。
 でないなら、やはり
 「中国は「張り子の虎」と評価
されてしまうであろう。
 書類だけではない何かをしないといけないのではないだろうか。







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2013年12月29日日曜日

安倍首相が米国に突き付けるジレンマ:靖国参拝は日本の戦略的負担に

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●記者の質問に答える安倍首相(27日、宮城県石巻市で)


ウォールストリートジャーナル     2013年 12月 29日 11:11 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304299204579287152969391912.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsSecond

安倍首相が米国に突き付けるジレンマ
By     GEORGE NISHIYAMA

 【東京】日本の安倍晋三首相はたった2日の間に米国から称賛と厳しい批判を浴びた。
 米国の政策立案者が東アジア地域で中国の影響力に対抗するために安倍氏の助けを必要とするなか、
 安倍氏の積極的な政治スタイルがいかに米国にジレンマをもたらしているかが浮き彫りになった。

 安倍氏は27日、米国政府が長く求めていた在沖縄米軍基地の移設計画を進める上で欠かせない地元の支持を取り付けた。
 この前日、安倍氏は議論の的となっている靖国神社に参拝、中国と韓国を激怒させ、米国からは非難を浴びた。

 安倍氏の側近や一部の専門家によると、沖縄の基地問題に関する発表の前日に安倍首相が靖国神社に参拝したのは決して偶然ではない。

 しかし、ワシントンの専門家によると、沖縄の米軍基地をめぐって日本と協議を続けていたからこそ、
 米国は公式声明を通じて安倍氏の靖国参拝は不意打ちだったことを明確にせざるを得なかったという。
 そうでなければ、韓国と中国の担当者は米国が安倍首相の参拝計画を知った上で承認していたという結論を下すかもしれないからだ。

 米国は日本政府に対し、地域の安全保障にこれまで以上に大きな役割を果たすよう求めていた。
 第二次世界大戦中、日本の軍国主義に苦しめられた記憶がいまだに残る近隣諸国を刺激しないために、安倍首相のナショナリスト的な考え方を曖昧なものにしておきたい、という米国の希望は首相の靖国参拝によって失われた。

 スタンフォード大学ショレンスタイン・アジア太平洋研究センターのダニエル・スナイダー氏は
 「安倍氏が現実主義者とされていたのは安倍氏が靖国に参拝しなかったからだ。
 今の安倍氏は以前の安倍氏ではないと言っても分かってもらうのは難しくなっただろう」
と述べた。

 米国は日本に対し、韓国と関係を修復するよう促していたが、首相の靖国参拝でこれまでの努力は損なわれ、取り返しがつかない状況になった可能性がある。
 領有権を声高に主張するための手段とみられる中国の防空識別圏設定の発表後、日韓の関係修復は喫緊の課題だった。

 安倍氏が米国を振り切って靖国参拝に踏み切ったかどうかを判断するのは難しい。
 安倍氏は第1次安倍内閣当時に靖国神社に参拝しなかったことに後悔の念を示していた。
 一部では、安倍氏の靖国参拝は、するかしないかよりもいつするかが注目されていた。

 側近によると、安倍氏は靖国参拝を決意したとき、中国と韓国が強い反応を示すことを予想していた。
 しかし、ホワイトハウスが国務省に働きかけて、参拝に関するコメントの発表を止めてくれるかもしれないとの期待があったという。

 結局、在日米大使館は
 「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している 」
との声明を発表した。

 バイデン副大統領の国家安全保障担当副補佐官を務めたジュリアン・スミス氏 は米国がこうした反応をした最大の理由について、
 「関与を続ける米国の能力を帳消しにするものはあってはならない」
ことを確認したかったからだと述べた。

 スミス氏によると、米国は「真摯な仲介者」とみられることで東アジア地域の各国に関与し緊張緩和を目指す一方、自国の利害が危険にさらされたときには意見をしっかり表明する考えだ。
 安倍氏の靖国参拝を批判した米大使館の声明からは、米国が「少し踏み込む」必要があると感じていることがうかがえるという。

 日韓間の緊張緩和の「機会が失われた」(専門家)ことで、米国が掲げる外交の軸足をアジアに移す政策の実効性が損なわれた可能性もある。

 アメリカン・エンタープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は
 「米国の影響力と実効性が低下しているという全体的な印象を強める結果になった」
と指摘する。



ウォールストリートジャーナル     2013年 12月 28日 11:21 JST 更新
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304299204579285171987069590.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsSecond

【社説】安倍首相の靖国参拝は日本の戦略的負担に

 安倍晋三首相は26日、物議を醸す行動に出た。就任1年の節目に、250万人の戦没者を祀る靖国神社を参拝したのだ。
 戦没者には、大日本帝国軍の暗黒時代を象徴する東条英機元首相ら14人のA級戦犯も含まれる。
 安倍首相の靖国参拝は、中国、韓国、米国という奇妙な連合による批判を招き、終戦から70年近く経ってなお、東アジアでは微妙な政治情勢が続いていることを浮き彫りにした。

 メディア各社が陸空から追跡する中、正装であるモーニングに身を包んだ安倍首相は、靖国神社の入り口で一礼した後、本殿に上がって参拝した。
 首相は参拝後に発表した談話で
 「靖国神社の参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいる」
との認識を示したうえで、
 「二度と再び戦争の惨禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を伝えるため」
に参拝したと説明した。
 また、その考えは「過去への痛切な反省の上に」立つものであり、「国内および諸外国の」戦没者に祈りを捧げたと述べた。

 安倍首相は「中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは全くない」と強調したが、それは口で言うほど簡単なことではない。
 参拝後数時間のうちに中国外務省は日本の駐中国大使を呼び、
 「日本の指導者が戦争被害を受けた中国や他のアジア諸国の人々の感情を容赦なく踏みにじったことに強い怒り」
を感じると抗議した。
 また、韓国の報道官を務める劉震竜文化体育観光相も「嘆きと憤怒を禁じ得ない」と強く反発し、米国は
 「日本の指導者が近隣諸国との緊張を悪化させるような行動を取ったことに失望している」
との声明を在日米大使館のウェブサイトに掲載した。

 現職の首相として2006年以来初めてとなる安倍首相の靖国参拝は、日本の軍国主義復活という幻影を自国の軍事力拡張の口実に使ってきた中国指導部への贈り物だ。
 中国政府は、対外的には尖閣諸島の日本の領有権を積極的に脅かし、中国の軍事費に比べればわずかに過ぎない日本の防衛予算の増額に強く反発している。
 一方、対内的には一党体制の正当性を強化すべく、反日ナショナリズムをあおっている。
 中国では26日、共産主義国家建設を指導した毛沢東氏の生誕120周年が祝われたが、毛氏が追求した政策では何千万人という人々が死亡した。

 今後、中国の日系企業に対する暴動や製品の不買運動などに注意する必要があり、こうした反日運動は政府による暗黙の支援を受けている場合が多い。
 北京の日本大使館は中国の在留邦人に向け、「対日感情の悪化が懸念される」として行動や言葉使いに注意するよう喚起するメールを出した。

 一方、韓国は中国とは状況が異なる。
 日本同様に自由民主主義国である韓国は、無法な暴動よりも外交的に冷たい態度を取ることで日本への敵意を表す可能性が高い。
 しかし、自己主張を強める中国への対処、とりわけ中国の覇権を阻止できる可能性が最も高い裕福な米同盟国間の協力を損なうことになるため、そうした外交的不和がもたらす影響は極めて大きなものになる。

 これは、靖国参拝の重大な側面だ。
 日本政府の一部有力政治家が、個人的信仰、政治的迎合、またはその両方のために、化学兵器や性的奴隷など戦時の残虐行為の事実をごまかし続けるだけでも大きな問題だ。
 だが、真実に反する行為によって、志を同じくする国が平和で自由主義的な地域秩序を推進できなくなる時、それは日本にとって戦略的負担となる。

 日本政府は将来的に、靖国神社の黒い闇に染まっていない新たな非宗教的戦没者慰霊碑の建立を検討することが必至となるだろう。
 そうなった時、独裁主義的な中国の脅威について明確に認識している安倍氏はこの戦略的負担を念頭に置くかもしれない。


 もし、反日デモが中国で起こったなら、安倍さんは小躍りして喜ぶだろう。
 「してやったり!
 中国の政治的安定を崩すのは外部からの圧力ではない。
 内部からの力である。
 昨年の「尖閣反日デモ」がそれである。
 中国当局が日本への圧力をくわえるためにやった、言わば官製デモだが、一歩間違えば反政府運動にもなりかねない危うさがある。
 よって、今年は「反日デモ一周年記念」が行われるはずであったが、当局はそのすべてをつぶし、このいデモ事態を暴徒によるものだとその価値を否定した。
 つまり、当局は怖いのだ、民衆の蜂起が。
 そこに付け入っているのが安倍さんだ。
 いかに、反日を煽って民衆を爆発させるか、それを虎視眈々と狙っている。
 最終手段としては尖閣諸島に自衛隊を上陸させ駐屯地を作るという方法が残っている。
 これは、奥の手である。
 切り札でもある。
 これを出せば、中国国内は混乱する。
 その効果は計り知れないものがある。
 しかし、計り知れないということは、その火の粉をかぶらねばならない。
 その判断をこれから見極めていくことになるのであろう。

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<「中華の夢」の行方>【1】:中国経済は20年代に米国を超え、50年には日本の10倍に!?

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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 8時26分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81167&type=0

<「中華の夢」の行方(1)>
中国で相次ぐ襲撃事件、抗議運動も年間20万件―驚くべき「負の遺産」に喘ぐ


●2013年、中国で爆破襲撃事件が続発。いずれの事件も民衆の共産党独裁政権に対する鬱積した不満によるものと見られる。都市戸籍を持たない貧困層の増大、理不尽な土地収用、格差、腐敗、公害などが噴出、民衆の反発は拡大する一方だ。写真は北京天安門の検問所。

 2020年代までに中国の国内総生産(GDP)は米国を抜き、世界1位に躍り出るというのが、OECDなど各種経済予測。
 2050年以降には中国のGDPの世界シェアが米国の2倍以上に達し、世界全体の3割となるとの未来予測さえある。
 果たして「米国との2強時代」を経て「21世紀は中国の時代」になってしまうのか。
 覇権国家米国のパワーと指導力に陰りが見え始めている中、中国は経済・軍事力を不気味に拡大、習近平国家主席が唱えた「中華の夢」の実現に向け着々と邁進しているようにも見えるが、課題が噴出、乗り越えるべき高い壁が立ちはだかっている。
 新たな年を迎えるに当たり、様々な角度からでこの大国の実態に迫り、その行方を占ってみたい。
 (10回連載)

 中国で今年10月末から11月にかけて、天安門車突入炎上事件や山西省太原市の共産党委員会庁舎での爆破事件が発生、複数の死傷者が出た。
 いずれの事件も民衆の共産党独裁政権に対する鬱積した不満によるものと見られるが、事件は氷山の一角。
 都市戸籍を持たない貧困層の増大、理不尽な土地収用、格差、腐敗、公害などが噴出、民衆の反発は拡大する一方だ。

◆高まる民衆の不満

 天安門車突入炎上事件の背景は少数民族問題。虐げられたウイグル人たちの漢族への怒りが爆発した自爆テロと見られているが、事件の真相はいまだ謎。
 中国には漢民族(全人口の92%)以外に55の少数民族があるが、中でもチベット族とウイグル族に関しては独立傾向が強い。
 暴動など大規模抗争や焼身自殺事件も頻発、中国政府は特に警戒してきた。

 ウイグル新疆自治区カシュガルで13年年12月に起きた警察当局と地元住民の衝突で、警官2人を含む16人が死亡した。
 中国政府はイスラム教徒に恐怖心を抱いており、新疆で絶え間なく発生するウイグル族による流血事件は、北京の指導部に緊張を強いている。
 09年の大規模暴動以降、新疆では経済投資と教育支援を強化する一方、治安維持で圧力をかける「アメとムチ」の政策が推進されてきた。

 民間団体の調査によると、中国では年間20万件の集団抗争事件が起きており、民衆の不満と抗議は高まる一方。
 こうした事件の要因の多くは、
★.個人の権利保護の欠落や
★.貧富の格差、
★.沿岸部と内陸部の格差、
★.都市と農村の格差
などである。

 11月に爆破事件が起きた山西省は石炭の産地。
 「石炭成金」が党幹部と結びつき、賄賂収賄などで利益を独占、炭鉱労働者を激しく搾取していた。
 この「石炭成金」が山西省の統治のトップである党委書記や党委幹部と癒着しているため、党委庁舎の「信訪部(相談窓口)」への抗議や相談が殺到。
 中国共産党の中央紀律検査委員会が「中央巡視組」を山西省に派遣し「山西省巡視工作動員会」を10月から11月にかけて党委庁舎で開催していた。
 しかし山西省の党幹部は貧困層の来訪を力で退け、党中央に良い顔をしようとする。
 陳情によって大きな混乱が生じると、地方幹部の出世に直結するためだ。
 これに対する一般国民の反発・恨みは根強く、「地方政府の対応処理に問題がある」とアピールするために犯行に及んだようだ。

 中国共産党の重要会議である中央委員会第三回全体会議(三中全会)が開催された11月上旬、北京市内は緊張した雰囲気に覆われていた。
 天安門前の大通り「長安街」は北京以外のナンバーの車両の走行を禁じ、警官が回り道するよう求めた。
 天安門広場の付近では警官が銃を携行する異様な光景も。
 市中心部の地下鉄駅には警察犬も出動していた。
 
 厳戒態勢にもかかわらず、市内の監察部前では、全国からの陳情者が集まって官僚の腐敗や強制立ち退き、公害問題を追及する抗議活動を展開。同会議初日の11月9日朝には3000人近くが押し寄せ気勢を上げた。
 当局がすぐ解散させたが、社会にたまる不満の根深さをうかがわせた。

◆賄賂はGDPの12%にも

 普段でも、都会の街路には随所に監視カメラが据え付けられ、見張っている。
 目抜き通りには「公安」と大書きされたパトカーがひっきりなしに巡回。
 日本ではフリーパスの鉄道、地下鉄などのすべての駅では改札口に警備員が立ち、空港と同様、「大型透視装置」による厳重な手荷物検査が行われている。
 日本の新幹線に相当する高速鉄道では住民識別カードかパスポートがなければチケットを購入できない。

 中国においては社会の安定が経済成長と並んで、中国共産党による一党支配体制の基盤とされ、治安維持に国防予算を上回る巨費が投入されている。
 しかし、経済格差の拡大は党や政府の幹部の汚職とも深くかかわり、民衆の不満に直結する。
 有力シンクタンクの調査によると、賄賂や贈り物、未申告の報酬などを含む灰色収入の総額は、GDPの12%にも相当するという。
 習主席の腐敗撲滅運動が展開されているが、
 一党独裁体制を変革しない限り抜本的な解決策にはつながらないとの見方も多い。

(Record China主筆・八牧浩行)



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月30日 8時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81169&type=0

<「中華の夢」の行方(2)>
大都会の活況の陰で「歪」が噴出―格差・腐敗「危険ライン」に

 北京、上海をはじめとする大都会は近代的ビルが林立し、地下鉄や高速鉄道の路線網も世界の都市にひけをとらない。
 車内には若者が多く、携帯電話(大半がスマホ)で話す声も甲高いせいか、活気に満ちている。
 市内のあちこちで大型クレーンが稼働し、ビル建設ラッシュの真っただ中。
 地下鉄延伸や道路建設などインフラ工事も進んでいる。中国を訪れるたびにそのパワーアップぶりに驚かされる。

 繁華街は巨大なデパートやオフィスビルが立ち並び、多くの中国人や外国人で賑わっている。
 例えば北京の繁華街・王府井や上海の南京路は東京・ニューヨーク、ロンドン、パリなどの繁華街を上回るほどだ。
 グッチやエルメス、バーバリーなどのブランドショップが軒を連ね、着飾った若い女性の多くがこれら欧米の有名ブランドを身に着けている。
 日本をはじめ東南アジア、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、アフリカ、中東…。
 世界中から観光客やビジネスマンが集まっている。
 世界最大の消費市場目当てに投資資金も殺到している。

 一般庶民の住居地区でも、昔ながらの野菜や肉を売る店に交じって商品も日本や欧米先進国と変わらない。
 食堂・レストランも外食を楽しむ人々でいっぱい。数年前に比べ、明らかに都会の一般市民の生活水準は向上していることが実感できた。

 ところが、「負の遺産」も半端ではない。
 日本が40年近くかけて達成した高度経済成長を、中国はわずか20年で実現。
 さらに成長し続け、しかも人口、国土も日本の10倍、26倍。
 さらには、1党独裁体制の弊害もあって歪が噴出している。

◆驚くべき格差の実態

 第1の問題点は格差が驚くべきスピードで拡大したことだ。
 所得格差を表すジニ係数は、中国政府発表で「0.474」。
★.「0.4」を越えると、所得格差から不満が高まり、社会騒乱が多発する警戒ラインとされ、
★.「0.6」を越えると、社会不安につながる危険ラインとされている。
 公式発表の数字でも、既に社会騒乱多発の警戒ラインを越えているが、
 中国の大学の独自調査では0.61に達しているという。
 年収3千元(約5万円)以下の貧困層が、なお1億人を超える中で、
 資産が1千万元(約1億6千万円)以上の富裕層は100万人。
 超富裕層のビリオネア(資産10億ドル=約630億円)は300人以上に達しているというから驚きだ。
 
 都市部では若者が運転するBMWやポルシェなど高級輸入車がわがもの顔で疾走し、自転車やリヤカーが粉塵(ふんじん)を浴びるアンバランスな光景が日常的にみられる。
 実際、北京、上海、南京などでは明らかに地方からの出稼ぎ労働者がマンションなど建設ラッシュが続く開発地区で働く姿が見られたが、これら労働者の住まいは仮設のプレハブ小屋。軒先の洗濯物が寂しく風に揺れていた。
 高級マンションの建設現場近くで貧しい身なりの中年女性が埃だらけになって道路清掃をしていたのも随所で目撃した。

 地下鉄やバスの車内に出稼ぎの行商たちが野菜やら日常雑貨や大きく重い物を担いで乗り込んでくる。
 繁華街や公園などでは露天商が焼き芋、焼き鳥などの食べ物から、装飾品、雑貨までを売っている。
 税金を払わない違法行為であるため、専門の取締り人が巡回し、見つけ次第追い払っているが、露天商も生活がかかっているので必死。
 すぐに別の場所に移り「営業」していた。

 都市戸籍を持たない貧困層は「7億人」ともいわれ、フラストレーションを爆発させる一歩手前ともいわれる。
 習近平政権は、「貧富の格差を縮める」というスローガンを掲げ、腐敗の撲滅や倹約に力を入れているが、
 抜本的かつ構造的な格差是正策が打ち出されない限り、こうした危機的状況は収まりそうもない。

◆土地を奪われ立ち退きを迫られる
 
 第2の問題点は、「法治」が著しく欠如し、市民の合法的権益が守られていないことだ。
 地方政府に土地を奪われ、強制的に立ち退きを迫られたうえに、家を破壊される。
 先進国では考えられないことだが、中国ではごく当たり前のことだ。

 深刻な格差は体制の変革期に生じやすい。
 戦後の日本やソ連崩壊後のロシアも酷い状態だったが、法整備や社会的な規制措置が講じられた結果、大きな格差は解消に向かった。
 改革開放への転換から30年以上が経過した中国にとって格差是正は待ったなしの課題である。
 中国指導部は、農村から都市への人口流入を促すことで内需を掘り起し、投資主導型経済から消費主導型経済への転換を図ろうとしている。
 
 しかし、現在の土地・戸籍制度の下では、農村から都市への出稼ぎ労働者(農民工)は都市戸籍を持たないために出稼ぎ先で必要な社会保障を受けられない。
 一方で、農地も自由に売買することができず、安心して都市で働き、消費を増やすことができないのが実情だ。
 中国全体で「農民工は約2億人」に上るといわれる。
 
 農地に対する農民の明確な権利が保障されていないため、地方政府が農地を収用し、開発業者に転売することで歳入を確保している。
 農地を収用された農民の中には、補償が公正ではないなどとして不満も根強い。
 ここ数十年間にわたる急速な都市化により、6400万世帯が土地の収用、もしくは家屋移転を余儀なくされたとされる。
 
◆是正策決定、既得権益の壁打破できるか

 「明」と「暗」がこれほど際立った国は世界に見当たらず、
 習近平政府も「格差是正は待ったなしの最優先課題」と危機感を隠さない。
 13年11月の三中全会で戸籍制度、土地改革、一部セクターの民間・外資への開放など具体的な改革方針を打ち出した。
 
 土地などこれまで「集団所有」が原則とされてきた農村の資産を、農民に株式の形で分け与えることを可能にした。
 株の譲渡や相続を認めることで、個人の財産に近い権利として使える道を開いた。
 都市開発に伴う土地の値上がり益を、農民に公平に分け与えることも打ち出した。
 これにより都市開発の際には地方政府が強制的に収用した上で、転売益を独占する行為の抑止を狙った。
 
 一方で、農民が圧迫される原因となっていた地方政府の財政難を解消するため、地方の財源として不動産税や消費税の導入・拡大を盛り込んだ。
 社会保障や大規模プロジェクトなどの費用も中央が一部負担することで、地方の財政難を解決する姿勢を示した。
 
 このほか、「国家の統治システムと統治能力の現代化」を推進し、「腐敗」党員を取り締まる党中央規律検査委員会の権限を強化し監視を強める。
 司法改革では、警察が裁判を経ずに実質的な懲役刑を科してきた労働教養制度は廃止される。
 習近平体制がこの方針に沿って岩盤のように強固な既得権益層を打ち砕き、様々な改革を断行できるか、まさに正念場だ


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月31日 7時3分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81206&type=0

<「中華の夢」の行方(3)>
環境汚染で滅ぶ?
―「PM2.5」「がん村」の恐怖、「近海から魚が消えた」


「世界最大の公害発生国」である中国が及ぼす地球生態系への影響は想像を絶する。
 中国では有害化学物質による水質汚染や大気汚染など環境関連事件が多発、深刻な健康被害が続出している。写真は広東省スワトウ市貴嶼村の汚染された川。

 「世界最大の公害発生国」である中国が及ぼす地球生態系への影響は想像を絶する。
 中国では有害化学物質による水質汚染や大気汚染など環境関連事件が多発、深刻な健康被害が続出している。

◆工場からの排水で褐色に濁る

 中国・江蘇省のある村は、伝統的な稲作地域として有名で水資源が豊かなことから「水の郷」と呼ばれていた。
 しかし、今その面影はなかった。
 2004年頃、このあたりは地方政府によって「ステンレスの街」と定められ、民家だった場所は、ほとんどがステンレス工場へと変わった。
 工場では金属部品を分解してステンレスを取り出す作業が行われ、無防備にも煙を直接吸い込んでいる。
 工場からの排水により、川面は褐色に濁り、油のようなものが水面に浮いているのが見える。

 ステンレス工場群が建設されてから健康被害を訴える近隣住民が急増。
 そこで原因と疑われる汚染水を垂れ流す金属工場を相手に地元住民が訴訟を起こした。
 その結果、工場は賠償金を支払い、住民を3~4キロ離れた別の地域へ移住させた。
 この村の人口は約3千人。
 2011年までの2年間、がん患者は80人に達し、「ガンの村」と言われるようになった。
 ガンの発症率が多い、いわゆるガン村」の存在を中国政府は13年に入り、公式に初めて認めた。
 外国調査機関によると、その数は少なくとも400カ所を超えるという。

 中国の工業生産の急拡大につれて、がん患者数が急増しているのは事実だ。
 中国でのがんによる死亡者数の統計を見ると、
★.70年代には年間平均で70万人にとどまっていたものが、
★.90年代に年間117万人に急増。
★.2012年には270万人とさらに増え、
★.2020年には400万人を超えると予想
されている。

 中国漁船が東シナ海の尖閣諸島海域で海上保安庁の巡視船に衝突した事件が2010年9月に勃発した。
 尖閣海域では中国から来た多数の漁船が操業しており、このうち日本の領海で操業していた中国漁船が巡視船に追われ体当たりしたのだ。
 この船も含めた漁船群は尖閣海域から170キロも離れた福建省福州から長い時間をかけてやってきた。
 燃料コストと拿捕の危険を冒して尖閣海域に来て操業するのは何故か?

◆近海では魚獲れず尖閣へ―湖・川でも魚が大量死

 中国八大漁場の一つに数えられるほど、豊かな漁場に近い江蘇省のある漁港。
 ここではヒラメやクルマエビなど国内販売用の海産物が水揚げされている。
 漁師は早朝6時に出発。3時間かけて目的の漁場へ。
 到着するとすぐに仕掛け網を海の中に投げ入れる。
 その長さは、ざっと2000m。
 網を仕掛けてからおよそ6時間。
 潮が引いた状態で網の中身を確認すると小さなヒラメが数えるほど。

 この道30年という漁師は、
 「昔は中には3キロくらいの大きなものが沢山獲れた。
 ヒラメはとても高く売れるので大きな収入が得られたが、最近は全く獲れない」
と嘆く。
 「完全な赤字だ。
 海が汚染されているためだ。
 汚染されて魚が近くまで来なくなった。
 しかもここで獲れた魚はほかの地域に比べて3分の1の値段しかつかない」
と嘆く。

 「豊かな漁場」はなぜ汚染されたのか? 
 その原因を問うと漁師は港から望める大きな化学工場群を指差した。
 無数の煙突からは灰色の煙がもくもく出て空を圧倒している。

 漁師たちによると6年前、漁場からわずか2キロの距離に100社もの化学工場が操業を始めた。
 しかも、これら工場のうち9割が廃水を海に直接排水しているといわれ、その汚染された水が海に垂れ流されている。

 漁師たちは
 「化学工場の稼働と時を同じくして漁獲量が激減してしまった」
と強く訴え、漁師たちは政府に改善を求め何度も直訴した。
 しかし地方役人からの返答は 
 「貧乏で死ぬより豊かになるなら汚染されて死んだ方がましだろ」
の一言。
 地方政府は地方経済の発展を優先し漁師たちの訴えを無視した。
 ある漁師は
 「政府は化学工場から税金をもらっているので何も改善しない」
 「工場のせいでさらに遠くまで漁に出なくては生活できなくなった」
と憤っている。

 そこで東シナ海や黄海のはるか遠方にまで、漁船が繰り出すことになる。
 上海では尖閣諸島海域で獲れた魚が人気の的。
 スーパーなどで売りに出されると市民が殺到。
 通常の1.5倍もの高い売値にもかかわらずサワラやウマズラハギなどがあっという間に完売する。

 中国では淡水魚が主に食べられてきた。
 漁業関係者によると
 「中国人の好きな淡水魚が川や湖の水質汚染で食べられなくなったため、海鮮魚が高く売れるようになった」
という。
 中華料理で魚と言えば鯉、ナマズ、ドジョウなど淡水魚だったが、中国の湖・池・川で魚の大量死が発生する事例は後を絶たない。
 そこで高い金を出してでも魚介類を食べたい富裕層が注目したのが「海鮮」。
 富裕層は新鮮な海産物を求めるため価格が高騰。
 漁師たちには一攫千金のチャンスとなる。
 ところが汚染のため中国近海では魚が取れないのが実情。
 そこで中国の漁師たちは、より遠くの海にその活路を求めたというわけである。

 2013年12月、中国東部を中心に有害物質を含んだ濃霧が発生。
 上海市では大気中の微小粒子状物質「PM2.5」を含む大気汚染指数が6段階のうち最悪から2番目の「重度汚染」となった。
 北京でも「PM2.5」が日本の環境基準の13倍にあたる450を超えたほか、周辺の河北省や山西省など各地で、500を超える深刻な汚染が見られた。
 一部の都市では、高速道路の通行規制や工場の操業の一時停止、それに市内へのトラックの乗り入れ規制などの緊急対策を発動したが、「焼け石に水」の状態だ。
 中国経済計画当局は、2011年から15年までの第12次5カ年計画の環境浄化目標の半分も達成していないと報告。
 窒素酸化物の排出量は10年から12年の間に2.8%増加。
 5カ年計画では15年までに10%に減らすことを目標としているが、早くも達成は困難視されている。
 民間シンクタンク幹部は
 「老朽化した製鉄所、火力発電所、セメント工場を廃棄するという過去2年間の全国的なキャンペーンにもかかわらず、工業改革のペースが不十分。
 このままでは環境汚染によって国は滅びてしまう
と警告している。


【注】
 2,3年前のニュースに瀬戸内海で魚の水揚げが減り、形も小ぶりになってしまい、大阪漁連は頭を抱えている、というニュースがあった。
 原因は、瀬戸内海があまりにきれいになり、プランクトンが生育できず、それにつれて魚も小さく、そして数も減ってしまったためだという。
 いわく「水清ければ魚棲まず」ということらしい。


レコードチャイナ 配信日時:2014年1月1日 7時42分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81230&type=0

<「中華の夢」の行方(4)>
中国経済は20年代に米国を超え、50年には日本の10倍に!?―課題も山積


●2020年代までに中国のGDPは米国を抜き、世界1位に躍り出るというのが、各種機関の中期経済予測。2050年にはGDPの世界シェアが米国の2倍弱に達し、世界全体の3割となるとの未来予測さえある。写真はニューヨーク・タイムズスクエアの中国の広告。

 2014年初め、「未来予測」が大流行である。
 20年代までに中国の国内総生産(GDP)は米国を抜き、
 世界1位に躍り出るというのが、OECD、IMFなど各種機関の中期経済予測。
 2050年には中国のGDPの世界シェアが米国の2倍弱に達し、世界全体の3割となるとの未来予測さえある。
 この時点で日本のGDPの10倍を超えるという。

 10年に日本を追い抜き世界第2の経済大国に躍り出た中国は12年時点でGDPで日本を40%も上回った。
 英エコノミスト誌が編集した「2050年の世界」によると、
 2050年に世界全体の中で占めるGDPシェアは
●.中国が30%、
●.米国は18%に縮小、
●.日本はわずか3%
にとどまるというから衝撃的だ。

 英スタンダードチャータード銀行が、13年11月に発表した「中国の経済発展予測」によると、中国の経済成長率について、2013年から20年までは毎年平均で7%の増加を維持すると予測。
 中国のGDPは22年にアメリカを超えて世界最大となる。
 
 中国は改革開放路線に転換した1978年から2012年にかけて、年平均10%に迫る高度経済成長を達成した。
 「決められない政治」の日米欧先進国が景気変動を繰り返す中で、「国家市場原理」と「特色ある社会主義」を旗印に、奇跡的な経済パフォーマンスを実現。
 GDPは10年ごとに4倍ずつ拡大した。

 中国政府系シンクタンクの国務院発展研究センターが13年末にまとめた「中国経済成長の10年展望」は、中国は9年後の2022年に、名目国内総生産(GDP)で米国を追い抜き、世界最大の経済大国になると予測。
 中国のGDP規模が10年の5兆9千億ドルから、20年には21兆ドルと4倍近くに膨張する。
 この年の米国の23兆4千万ドルに迫り、22年にも米国を抜き去るというシナリオだ。

 同報告書は今後7~8%成長を続けた後、成長率を下げ、22年に5.8%との数字をはじき出している。
 経済成長パターンを「世界の工場」と呼ばれた製造業中心から、「世界の市場」に変身しつつ、小売業やサービス業、金融など国内需要を伸ばして拡大すると予測している。

 また、乗用車の普及や都市化などにより個人消費が拡大。
 10年に4428ドルだった1人当たりGDPは13年に名目で6825ドル。
 これが17年には個人消費が爆発的に伸びるとされる節目の1万ドルを突破して1万951ドルに。20年に1万5300ドル、米中逆転を実現する22年には1万8747ドルと加速度的に増え、韓国、台湾など先進国の水準に近づくという。
 この時点で中国の総人口は現在より1億人以上多い14億7830万人と見込んでいる。

 楽観的なシナリオに過ぎるきらいがあるものの、中国は共産党独裁政権ならではの早い決断、インフラ投資など景気浮揚策発動で、「中長期計画」をことごとく達成してきた実績もある。

 ◆世界最大の消費大国、車販売3000万台へ

 中国は安定成長軌道への軟着陸を模索するが、高い壁が立ちはだかっている。
 中国経済の主要けん引役である輸出は、最大の貿易相手である欧州の景気後退など世界経済の低迷を受けて失速。
 東南アジアや米国向けの輸出増を目指すものの、先行きも楽観できない。
 鉄鋼や造船など生産能力の過剰を抱える製造業は輸出増を見込んで生産した製品が売れず、在庫が積み上がっている。

 しかし、内陸部にも自動車やデジタル機器が広がり、個人消費は意外に底堅い。
 13年の自動車販売台数は約2000万台に達し、断トツの世界一。
 数年後には3000万台を超えると予想されている。
 Web人口が6億人に達する中国でのパソコン、スマホ市場も拡大する一方だ。

 習政権は多くの関係組織を総動員し、経済成長を多少抑えても所得格差是正、国有企業民営化、汚職・腐敗の解消、情報統制の緩和、政治改革(民主化)など最優先政策課題に取り組む方針だが、富裕層、既得権益層の抵抗が強く、実現は至難の業。深刻化する大気汚染など社会的な歪は増大する一方で、国民の不満は高まっている。

 これらの課題をクリアできなければ、中間層が拡大せず、消費が伸び悩む一方、企業経営の効率化が阻害され、企業の採算性も悪化する。
 さらには企業の国際競争力が低下し、貿易赤字国に転落。
  その結果、経済成長率が低下してしまう最悪シナリオもありうる。


 日本の在中国大使館の経済参事官を12年6月まで4年間務めた柴田聡・財務省理財局調査室長は
 「中国では欧米や日本とは全く異なり、経済活動への国家の関与が可能。
 目標を設定したら達成が至上命題となり、必ず実現してしまう。
 大都市でも必要なインフラが未整備なところが多く、地方へ行けば全く手つかずの状態。
 投資対象は多く財政にゆとりがあるので、引き続き投資でそれなりの成長率をたたき出すことは可能」
と強調。
 人口がピークに達し成長鈍化につながるとの見方についても、
 「生産人口の減少スピードは巷間言われているより緩やかで、内陸部の農民出身の若者が、沿岸部から出身地に近いところに戻っている」
とピークアウトは後ずれすると分析している。

 中国は「メード・イン・チャイナ」の豊富で安い労働力を武器に世界市場を席巻し、1993年~2007年に年平均で2ケタの経済成長率を記録した。
 しかし賃金上昇に伴って輸出が減り、08年のリーマンショック後の大型公共投資で膨れ上がった不動産バブルの後遺症も深刻化している。
 中国経済が大きな転換点を迎えているのも事実だ。

 ◆「中国経済崩壊説」は杞憂!?

 13年春に日本の一部メディアを中心に喧伝された「7月バブル崩壊説」が杞憂に終わった背景には、金融危機に見舞われた米国や日本と違う中国の特殊要因があるとみる向きも多い。
 最大手の中国工商銀行など国有商業銀行は2006年以来の上場で経営体力を備えており、「不良債権を独自に償却する余力が十分ある」という。
 シャドーバンキングが売っている「理財産品」(高利回り投資商品)も投資家に金利だけ支払えば不良債権化せず「自転車操業を続けることも可能」といわれる。

 13年3月末で過去最高の3兆4400億ドル(約340兆円)もの外貨準備を保有する中国では、「地方政府がデフォルトに陥っても、中央政府の鶴の一声で債務処理が可能」となる。
 IMF(国際通貨基金)によると、中国の公的債務のGDP比率は昨年末で22%にすぎない。
 日本の236%、米国の107%という財政状況に比べ、格段に健全だ。

 安定成長軌道に乗りつつある中国経済だが、なお不透明部分は多い。
 その行方は世界経済に大きな影響を与えるだけに、冷静かつ深い洞察力を駆使して注視する必要がある。

(Record China主筆・八牧浩行)







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中国のアジア囲い込み戦略が災難を引き起こす:日本の防衛強化戦略へ

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レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 6時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81010&type=0

囲碁のような中国のアジア囲い込み戦略が災難を引き起こす―英紙


●25日、英紙インデペンデントは、囲碁にも似た中国の長期にわたるアジア囲い込み戦略は非常に危険なゲームであり、災難をもたらす可能性が高いと指摘した。資料写真。

 2013年12月25日、英紙インデペンデントは
 「中国のアジアにおける長期戦略は災難を引き起こすか?」
と題した記事を掲載し、囲碁にも似た中国の長期にわたるアジア囲い込み戦略は非常に危険なゲームであり、災難をもたらす可能性が高いと指摘した。
 26日付で環球時報が伝えた。

 11月23日、中国政府は防空識別圏の設定を発表した。
 これに対し、米国は直ちに反応し、数日後には事前通告せずB-52爆撃機2機を識別圏内に進入させた。
 しかし、中国はスクランブルなどの反応を示さず、後日「すべての飛行行程を監視していた」と発表したのみだった。
 さらに、日本や韓国の戦闘機も中国の防空識別圏内を飛行したが、目立った反応はなかったという。

 しかし、中国は防空識別圏を設定した時点で、米国の反応と隣国の反発を引き起こすことを認識・考慮していたことは間違いなく、このことこそが非常に重要なポイントだ。
★.米国の外交戦略は、実際の結果を求め、明確な目標があり、時には近視的でさえある。
★.一方、中国は長期的なものの見方をする歴史を持っており、自身の地縁政治の目標が徐々に実現するのを根気よく待つ。
 こうしたやり方は中国の歴史の中で何度も出現しており、特に毛沢東が率いた中国共産党による朝鮮戦争の処理やソ連との複雑な関係の処理にその特徴がよく表れている。

 中国は外交関係の対応の中で、囲碁の原則を使う大家である。
 長い歴史を誇るこのボードゲームの目標は、たとえわずかの差でも相手を囲い込み、勝利を得ることにある。
 キッシンジャー元米国務長官は11年の著書「中国の話(On China)」の中で、
 「危機管理の高等なテクニックは、リスクを高め、相手を継続させられなくすることにある。
 同時に、これを相手と真っ向からの対立を避けるような方法で行う必要がある」
と述べている。
 中国の長期に及ぶ囲い込み戦略が最終的に勝利を収めるか否かは、
 時間のみが証明できる。
 ただし、これは非常に危険なゲームであり、災難をもたらす可能性が高いだろう。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月29日 10時21分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81066&type=0

日本の防衛強化戦略、中国によるアジア再編成を加速―中国メディア


●26日、日本で新たに決定された防衛強化戦略は、その安全保障政策や理念が根本的に変容したことを表しており、中国によるアジア再編成をかえって加速させる結果になるという。写真は中国人民解放軍。

 2013年12月26日、環球時報(電子版)は、日本で「国家安全保障戦略」が閣議決定され、新たな防衛計画の大綱や中期防衛力整備計画が決定されたことにより今後5~10年にわたる日本の安全保障政策や防衛力整備の大筋が決まったことは、
 日本の安全保障政策や理念が根本的に変容したことを意味している
と指摘した。

 日本は一連の防衛戦略を「積極的平和主義」と呼ぶが、
 実質的には自衛隊を強化することで中国の急速な軍事拡張をけん制し、
 アジアの軍事的なバランスを維持しようとするものだ。
 しかしそうした軍備の増強はアジア地域のバランスを図ることにはつながらず、それどころかかえって不安定要素を増すだけになり、日本の防衛力強化戦略は中国によるアジア再編成を加速させることになる。

 習近平(シー・ジンピン)国家主席は就任当初、ロシアを最初に訪問することで中ロ関係を重視していることを示し、その後中央アジアの4カ国を歴訪することで中国の外交姿勢を改めて示した。
 そしてこのほど、中国は欧州連合(EU)との首脳会談を行い、その経済・技術力によって国力を高め、アジアのパワーバランスを再構築しようとしている。

 また、米欧中の3大経済体において、中国がEUとの間で名実そろったパートナーシップを実現させることになれば、残る米国をけん制することにもなる。
 米国はアジア地域にばかり関心を注ぐことができなくなることから、中国のアジア再編成に対する圧力も減少するだろう。



JB Press 2013.12.30(月)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39576

社説:西太平洋での日中のシャドーボクシング
監視船の尖閣沖侵入で中国大使に厳重抗議、外務省
(2013年12月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

2013年、東シナ海に浮かぶ無人島を巡る日中間の争いは悪化の一途をたどった。

 確かに、年初にけたたましかった発言はエスカレートしなかったし、時折、和らぐこともあった。
 今年前半に政府公認の不買運動が行われた後、後半になると、自動車を含む日本製品の中国での販売が力強く回復したことも確かだ。

 だが、中国政府は11月、日本が尖閣諸島と呼び、中国が釣魚島と呼ぶ問題の島嶼上空の空域を含む防空識別圏(ADIZ)の設定を宣言し、日本政府に不意打ちを食らわせた。
 台湾もこの島の領有権を主張している。
 そして先日、日本の安倍晋三首相は、日本の戦没者――中国での犯罪で有罪判決を受けた戦犯を含む――を合祀する靖国神社を参拝し、中国政府を怒らせた。

 秋を迎える前でさえ、中国政府はこの島の周りを周回する船舶や航空機の数を大幅に増やしていた。
 中国の戦略は明らかなように見える。
 尖閣諸島については日本が唯一の施政権を持つという日本の長年の主張に異議を唱えるため、自国の施政権の存在を示す実績を作りたいと思っているのだ

 中国政府にとって非常に苛立たしいことに、日本政府は、この島の主権が係争中であると認めることさえしていない。
 この法的、外交的立場は、日を追うごとに論証が難しくなっているように見える。

 なぜこの問題に火がついたのだろうか? 
 中国政府は、日本が2012年にこれらの島を「国有化」したことを非難している。
 日本政府によれば、これは、島を購入して開発しようとする日本の右派の政治家の試みを食い止めるために下した決断だ。
 中国政府はこの主張を認めていない。
 むしろ、現状を変更し、長年にわたる不安定な均衡を終わらせたと日本政府を非難している

■危険な綱引き

 困ったことに、日本政府は、1970年代に紛争を棚上げするとの取り決めがあったということを否定している。
 弁護するのが難しい日本側の立場は、日本が最初に島嶼を領土に組み込んだ1895年以降、中国は日本の主権を認めてきたというものだ。
 双方とも大声で叫んでいる。
 どちらも耳を傾けようとしない。

 綱引き状態は危険だ。
 事故が起きたり、地上(あるいは空中や海上)の性急な人が意図的な挑発行為に出る可能性は、現実のものだ。
 また、それが起きた場合、両国ともタカ派の指導者をいただいており、国民には譲歩する気などないことを考えると、事態がエスカレートする可能性は排除できない。

 心配なことに、中国政府はこの島を防衛する米国のコミットメントを試すことを決意しているように見える。
 米国政府は尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象だと繰り返し述べてきたが、中国政府は、米国が一握りの岩礁のために本当に米国人の命を危険にさらすだろうかと疑問に思っている。

 今のところ、日米の間にくさびを打ち込むという中国の方針はうまく行っているように見える。
 米国政府は、中国のADIZを無視するという日本政府の方針に従うことを拒否した。
 米国政府は自国の航空会社に、新たな規則に従い、係争中の区域に航空機が入る時は中国政府に通知するよう指示した。

 つまり、中国政府は2013年に、いくつか成功を収めたということだ。
 危険なのは、中国政府が2014年にこの運動を追求することだ。
 そうなれば、事態が手に負えなくなる恐れがあるからだ。

 どうすれば、そんな事態を避けられるだろうか? 
 3つの方法が考えられる。
 日本は――尖閣諸島に対する主権の主張は別として――、論争を棚上げするという1970年代の合意を認めることで譲歩し、もっと誠実になることができる。
 また、日本は以前の状態に戻るよう務めるべきだ。
 一方の中国は、この論争を国際司法裁判所(ICJ)に持ち込むことを提案し、その裁定に従うと約束することができるだろう。

■首脳会談も開けないなら、軍事衝突なしで解決見込めず

 悲しいかな、上記のどちらの方法も実現の見込みは薄い。
 双方とも絶対的な道徳的権威を主張しており、どちらも相手を信頼していない。
 このような状況の中でできるせめてものことは、何らかの偶発事故が危機に発展しないよう、両国の指導者の間にホットラインを設定することだ。

 両国の指導者は、無条件で会うことにも同意すべきだ。
 この点では、中国の習近平国家主席の側に落ち度がある。
 習氏が安倍氏と会う気にさえなれないとすれば、想像を絶する事態がない限り、解決を期待することはとてもできない。
 その事態とは軍事衝突である。

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強大化する中国軍:傀儡化する習近平政権、劇的変貌を遂げた人民解放軍

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●12月23日、中国の習近平国家主席は、かつての最高指導者トウ小平氏が後継者に残したとされる教えを忠実に守っている。写真は中国の原子力潜水艦。2009年4月、代表撮影(2013年 ロイター)


ロイター 2013年 12月 28日 08:26 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE9BQ07K20131227

焦点:強大化する中国軍、習主席にとって「諸刃の剣」

[香港 23日 ロイター] -
 中国の習近平国家主席は、かつての最高指導者トウ小平氏が後継者に残したとされる教えを忠実に守っている。
 最高指導者としての執務時間の多くは、人民解放軍(PLA)幹部たちと過ごせというものだ。

 昨年11月に共産党総書記に選出された1カ月後、習氏は最初の本格的な政治視察地として広東省を訪れた。
 同視察に関する公式資料によると、滞在中5日間のうち、習氏は3日間を軍の基地で過ごした。

 共産党の戦士だった元副首相の習仲勲氏を父親に持つ習氏は、軍の「友人」としてキャリアを築き、中央軍事委員会で要職を務めた軍歴もある。
 しかし、軍視察の際は
 「軍隊は党の絶対的指導力を支持し、党の命令に従わなくてはならないことを肝に銘じておくべき」
と語るなど、人民解放軍に自身への「忠誠」も求める。

 軍事専門家らは、党が第一という習国家主席の確固たる姿勢は、巨大化する軍の頂点で同国指導者たちが感じている不安の表れだと指摘する。
 人民解放軍が力をつければつけるほど、その扱いは難しさが増してくるからだ。

 人民解放軍が国際的に存在感を増すことは、平和を愛しつつ軍事的に強い国家を目指すという習主席が掲げるスローガン「中国夢(チャイニーズドリーム)」実現には不可欠な要素だ。

 しかし、習主席はトウ小平氏や毛沢東氏に比べると、真の軍人ではない。
 むしろ胡錦濤氏や江沢民氏と同様、基本的には生粋の政治家だ。

 習主席は前任者2人と同じく、共産党政権を維持するために軍をコントロールしておかなくてはならない。
 ただ、前任者たちの時代と違うのは、冷戦後初めて米国の制海権に本格的に挑戦するなど、
 人民解放軍がかつてないほど自信にあふれているという点だ。

 人民解放軍の事情に詳しいシンガポール国立大学の黄靖教授は
 「習氏が軍をコントロールするようになるには時間がかかる
と指摘。
 その理由として、現在の軍高官の多くは習氏ではなく、前任者たちが任命した人物であることを挙げている。

 中国の国防費は現在、米国に次ぐ世界第2位で、人民解放軍は兵士230万人を抱える。
 中国海軍は太平洋で力の誇示を拡大しようとしており、何年にも及ぶ軍拡により、人民解放軍は米国や周辺国との「力の差」を縮めつつある。

■<劇的な変化>

 中央軍事委員会主席である習氏は、共産党総書記や国家主席であると同時に、軍の最高司令官でもある。

 中国海軍の艦船は現在、南シナ海や東シナ海の領有権問題を抱える海域でも活動している。

①.米海軍によると今月5日には、中国海軍の艦船が、米国のミサイル巡洋艦「カウペンス」と南シナ海で異常接近した。
 公海上で起きたとされる同事案について専門家らは、中国初の空母「遼寧」の訓練を米軍に監視させないようにする意図が見えると指摘する。

②.先月には中国は、尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海上空に防空識別圏を一方的に設定。
 同空域に戦闘機をスクランブル発進させているとしている。

中国は海賊対策としてインド洋にも海軍の艦船を派遣しており、人民解放軍兵士はアフリカや中東では平和維持活動にも従事している。

 また、中国内外の軍事アナリストによると、
③.人民解放軍で核ミサイルを保有する第二砲兵部隊は、 
 今後9年間は続くであろう習近平政権の間に、同国初の弾道ミサイル搭載原子力潜水艦を配備する
とみられている。

 これらはすべて、劇的な変化だ。
 1990年代後半に中国を訪問した外国軍当局者の目には、人民解放軍の貧弱な装備は冷笑の対象として映っていた。
 しかし、
 30年以上にわたる軍事費拡大や海外技術の導入、訓練の改善により、人民解放軍は変貌を遂げた。

 中国が直面する軍事的問題が複雑さを増すなか、習主席は、米国の国家安全保障会議(NSC)をモデルにしたとみられる国家安全委員会の新設を決定した。

 同委員会の詳細は明らかにされていないが、各国外交官らは、警察、軍隊、情報機関、外交機関に分散されている安全保障機能の連携を強化するのが目的とみている。
 事情に詳しい複数の関係筋によると、中国版NSCは習主席が直接指揮をする可能性が高い。

 習主席はまた、軍幹部と密接な関係を保っている。
 軍事演習などを視察する際にはほぼ常に、軍の最高幹部2人、中央軍事委員会副主席の范長龍氏(陸軍上将)と許其亮氏(空軍上将)が脇を固めている。

 さらに、軍上層部に自分の息のかかった人物を据える人事に着手するのも早かった。
 昨年11月に胡錦濤氏から中央軍事委員会主席を引き継いだ数日後には、第二砲兵部隊司令員の魏鳳和氏を上将に昇進させた。

 今年7月と8月には、6人を大将に、18人を中将に昇進させているが、インド防衛問題研究所によると、これら24人のうち11人は政治委員。
 同研究所のビジョイ・ダス氏は
 「要するに『銃を持っているのは党だ』ということを確かにするための動きだ」
と語っている。

 習主席は一般兵士たちとの交流もぬかりない。
 軍仕様のカーキ色のシャツとズボンに身を包み、簡易食堂で談笑しながら兵士たちと一緒に食事する様子も国営メディアなどを通じて伝えられている。

■<軍部にも「太子党」>

 習氏はすべての中国共産党の指導者たちと同様、人民解放軍が党と運命共同体であると強調する。
 習氏自身、軍幹部との関係を強固なものとする上で、有利な生い立ちの持ち主だ。

 父親である習仲勲氏は、共産党の「革命戦士」から副首相にまで上り詰め、中国の経済ブームに火をつけた市場改革の考案者でもある。
 「太子党(党高級幹部の子弟)」の1人である習近平氏は、「共産中国」の設立に関わってきたエリート層の子弟と親交を深めてきた。

 習氏はこれまで、人民解放軍と歩調を合わせてキャリアを歩んできたように見える。
 清華大学を卒業後、現在は自身がトップを務める中央軍事委員会弁公庁で、国防相の耿ヒョウ氏の秘書となった。
 耿ヒョウ氏はかつて習仲勲氏の部下だった。

 習近平氏には階級こそなかったが、仕事は軍務とみなされていた。
 指導部のある関係筋は「軍部は習氏を自分たちの仲間だと考えていた」と語る。

 習氏は地方官僚として出世していくなか、人民解放軍と人民武装警察の傘下にある地方の軍司令部で、政治委員としてのキャリアも積んでいく。

 習氏が出世階段を上っている間、当時の江沢民国家主席は、現在も権力を維持している軍幹部を多数登用した。
 トウ小平氏から、軍幹部たちに気を配るよう教えを受けていたのは江氏で、その江氏は引退してもなお影の実力者であり続けている。

 江氏の後を継いだ胡錦濤前国家主席も同様に、習氏にバトンを渡す前に軍部を引き立て、自らの立場を確かなものにしようとした。

 一方、最高指導者となった習氏は、ほかにも予算を割く必要があるにもかかわらず、膨大な軍事費を維持する姿勢は崩さないようだ。

 しかし、中国では依然として約1億人が貧困に苦しんでいるとされ、保健衛生や教育、公害対策に多くの予算を費やすよう圧力が高まっている

 今年の中国の国防予算は前年比10.7%増の1190億ドルに上る。
 予算に反映されない支出もあるとされ、多くのアナリストは実際には2000億ドル近くになると予想している。
 これは、米国に次ぐ大きさとなる。
 2012年の米国防予算は5660億ドルだった。

■<軍幹部に「盟友」>

 習氏は昨年11月、共産党総書記に選出されると、中央軍事委員会の大規模な人事刷新を行った。
 共産党中央委員会の制服組は10人中8人が入れ替わった。

 この8人の中に習氏の盟友がいるかどうかは明らかではないが、中国軍事の専門家や大使館付き武官らは、習氏と特に近しい軍人が数人いることを確認している。

 その1人は中央軍事委員会メンバーで、人民解放軍総装備部部長の張又侠氏。
 あとの2人は中央軍事委員会には属さない劉源氏(陸軍上将)と劉亜洲氏(空軍上将)。
 習氏と同様、この3人も「太子党」だ。

 張氏は人民解放軍元幹部の息子で、軍関係筋によると、習氏は昨年、張氏を中央軍事委員会副主席の1人にさせたかったが、江沢民氏と胡錦濤氏の反対にあったという。

 一方、劉源氏は劉少奇元国家主席の息子で、人民解放軍総後勤部の政治委員を務める。
 習氏はこれまで、幾度となく公に劉氏との親密な交友を認めている。
 劉氏はまた、収賄と横領、職権乱用の罪で無期懲役判決を受けた元重慶市共産党委員会書記の薄熙来氏とも親交があった。

 最近、劉氏は軍の汚職について激しい批判を展開している。
 シンガポール国立大学の黄氏は、
 「劉源氏自身が汚職撲滅のシンボルとなっている」
と指摘。
 こうした動きは、習主席が注力する汚職撲滅活動とも一致する。

 劉源氏はまた、昨年に総後勤部の副部長だった谷俊山氏を解任するのに一役買った。
 ただ、この代償は大きかったかもしれない。
 政権指導部とつながりのある人物は、「彼はこの一件で昇進を逃した。薄熙来と親し過ぎることも原因の1つ」だと語った。

■<声なき戦い>

 劉亜洲氏は、トウ小平氏の時代に国家主席を務めた李先念氏の義理の息子にあたる。

 一時、劉亜洲氏は人民解放軍の中で最もリベラルな1人として知られていた。
 汚職を撲滅し、優秀な人材を指導部に登用する環境をつくるためには、民主的な政治システムが必要だとあえて主張したこともあった。
 中国では通常、こうした意見を公言する「反乱分子」は弾圧を受けることになる。

 国防大学政治委員を務める劉氏は今年、「較量無声(声なき戦い)」というドキュメンタリー映画を共同制作した。
 軍内部向けに制作されたとみられる同映画は、米国の「ソフトパワー」について、中国共産党を打倒する狙いがあると警告。
 劉氏は映画のなかで
 「米国は、中国に接近し、自らが主導する世界的な政治システムに融合させることで、中国を容易に分裂させることができると確信している」
と述べている。

 同映画では、他の軍幹部も同様の警告を発している。
 なかでも最も印象的なのは人民解放軍の最高司令官であり、中国共産党トップである習氏の引用だ。

 「中国を抑え込もうとする西側諸国の戦略的目標は、決して変わることはないだろう。
 わが国のような社会主義大国が、平和的な発展を遂げるのを絶対に見たくはないはずだ」

(David Lague記者、Charlie Zhu記者、翻訳・編集:宮井伸明、伊藤典子)