2013年12月8日日曜日

 「バイデン副大統領の東アジア訪問は日中どっちに有利だったんだ」問題、って何?

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●Togetterの「バイデン米副大統領と習近平主席の会談に対する、石平太郎さんと宋文洲さんのツイートの対比が面白い!」がなかなか興味深い内容です。写真は同会談。


レコードチャイナ 配信日時:2013年12月7日 23時49分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80191&type=0

バイデン、東アジア歴訪は本当に中国大勝利だったのか?
中国メディア報道を読む

 Togetterの
 「バイデン米副大統領と習近平主席の会談に対する、石平太郎さんと宋文洲さんのツイートの対比が面白い!」
がなかなか興味深い内容です。

 評論家・石平さんは
 「バイデン副大統領と中国習近平国家主席の会談がすでに終わったが、中国側の発表では、肝心の防空識別圏の問題に対し、バイデンがどういう発言したかが一言も触れられていない。
 それは要するに、少なくとも今の時点では、バイデンは一切、中国にとって有利な発言をしていない」
と発言。

 一方、評論家・宋文洲さんは習近平とバイデンの良好な関係、米中蜜月などなどを紹介。

 というわけで、ここに
 「バイデン副大統領の東アジア訪問は日中どっちに有利だったんだ」問題
が勃発したわけです。

 ちなみにこれは何も上記お二人だけの議論ではございません。グーグルニュース検索で調べると、日本語では
 「バイデン副大統領、習主席と会談 『深い懸念』伝達」
 「バイデン米副大統領、中国の防空識別圏認めず」
といった見出しが並び、
 中国語では
 「バイデン、旧交を温め米中の新型大国関係を推進」
 「バイデン訪日、安倍首相の三大要求を拒絶」
といった見出しが出てきます。

■ウルトラCはなかったけど、仕事は果たしたバイデン

 で、この違いはなんなのでしょう?
 「バイデンに実態はない。のぞき込んだ者の欲望を映し出す鏡にすぎないのだ…」
とかだったら面白いわけですが、現実はもうちょっと地味な話であります。

 どっちの陣営にしても事実認識に大きな違いはなく、なにか起こるんじゃという期待が高いか低いかの違いしかなさそうです。
 つまりバイデン副大統領が東アジア歴訪を機に、従来の立場を一方踏み越えて、「中国の防空識別圏撤回を求める」と発言するのではないか…と一部で期待していたところ、そうはならなかったのでがっかりした人もいるというわけです。

 とはいえ、懸念の表明で終わるんじゃないのというのは従来の予想どおり。習近平との会談でも言及したとのことで求められた仕事は十分果たしています。
 なので何も驚くようなことはないわけですが、
 「ちょっと面白いことが起きるはず」と期待を高めすぎてしまった…
というのが現状です。

しかも、こういう玉虫色の状況なので、日本に都合のよい話、中国の都合のよい話、どちらにも解釈できるという…。

■「バイデン、なぜか海江田万里だけに本音を話す」報道が面白すぎる

 とはいえ、
 「米国は中国との関係重視で日本につきあってられんのや。
 中国大勝利キタコレ」
と盛り上がる中国メディアにはなかなか楽しいものがあります。
 まあ、日本でも一部に
 「米国が本気出した、中国敗北必至www」
と盛り上げる人もいるので似た者同士の部分もあるのですが。

 で、そうした中国メディアの報道で面白かったのが
 「バイデン、海江田万里に本心を話す」
というネタ。
 新聞晩報の記事が出所のようで、レコードチャイナが取り上げています。

 なぜ米国は安倍首相の要求を拒んだのか。
 その理由については会談で明かされることはなかったが、3日午前に海江田万里民主党党首と会談したバイデン副大統領は本心を漏らしていた。
 「習近平国家主席は事業を始めた苦しい時期にある。
 彼に面倒をかけられない」、
と。
 どうやら米国人は口では日米同盟を高らかに歌いながら、心ではひそかに中国に配慮しているらしい。

 新聞晩報をはじめ中国の複数のメディアが「面倒をかけられない」との発言を大々的に報じ、米国は日本を見捨てたと示唆している。
 しかし管見の限り、日本語メディア、英語メディアでは同様の発言は報じられていない。
 というもの、バイデンは本当に海江田万里にこんなオモシロ発言をしたのでしょうか?
 日本語、英語の報道をざっとあさった感じでは他にソースがないのですが…。
 「心ではひそかに中国に配慮しているらしい」というどや顔の一文がいいですね。
 他の中国語メディアでは「安倍が聞いたら卒倒しそうな言葉だ」なんて表現もありましたが…。
 本当にあったの、この発言?

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月8日 13時52分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80208&type=0

<防空識別圏>日米と同調した豪州、中国外交部長が豪外相を猛批判―中国

 2013年12月7日、BBC中国網は記事
 「東シナ海問題で中国に叱責される、オーストラリア外相はひかえめな反応」
を掲載した。

 中国を訪問したオーストラリアのビショップ外相は6日、王毅(ワン・イー)外交部部長と会談した。
 中国の東シナ海防空識別圏についてオーストラリアは駐豪中国大使に抗議していたが、王部長は
 「両国の信頼を損ない、両国関係の健全な発展に影響した。
 中国社会各界と中国人民は強い不満を抱いている。
 これは中豪双方ともに見たくない事態だ」
と批判した。

この発言はメディアの撮影が許された冒頭の数分間での発言であり、中国の強い姿勢を印象づける狙いがあったとみられる。
 ビショップ外相は中国の意見表明の権利は尊重するが、同様に中国もオーストラリアの発言する権利を尊重するよう希望すると返答した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/12/09 10:26
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/12/09/2013120901047.html

中国防空識別圏:中国と日本が「外交戦」
小野寺防衛相、豪国防相に「中国に強力なメッセージ伝える」
中国、日本の主張に同調した豪に不満表明

 中国が東シナ海に設定した防空識別圏をめぐり、日本と中国が激しい外交戦を繰り広げている。

 日本の小野寺五典防衛相は7日、フィリピンのマニラでガズミン国防相と会談し、中国の防空識別圏設定問題に共同で対応していくことで合意した。
 NHKが8日に報じた。両国の国防担当相は、中国が地域の安全保障環境に緊張をもたらしているとの認識で一致した。
 小野寺防衛相は会談後の記者会見で
 「国際社会が中国に対し強力なメッセージを伝える必要がある。
 南シナ海でも同様のことが発生したら、日本も強力な懸念を表明する必要がある」
と述べた。
 フィリピンが南シナ海で中国と領有権争いをしていることを意識した発言だ。

 小野寺防衛相は8日、フィリピンの台風被災地であるタクロバンを訪れて、オーストラリアのビショップ外相とも会談し、中国が南シナ海でも防空識別圏を設置する懸念について
 「地域に一層の緊張をもたらすことは、あってはならない」
と述べた。
 ビショップ外相も
 「(オーストラリアの)懸念はすでに公表している通りだ。
 これはアジア全体の緊張につながる問題」
と述べた。
 日本は13日から15日まで東京で開かれる日本・東南アジア諸国連合(ASEAN)特別首脳会議でも協力案を話し合う方針だ。

 これに対し、中国は日本の主張に同調する国に強く警告している。
 中国の王毅外相は6日、北京で、オーストラリアのビショップ外相に会い不満を表明した。
 オーストラリア政府は、先に駐オーストラリア中国大使を呼び「時期も方法も良くない」と懸念を表明している。

 王毅外相は6日に行われた第1回中豪外交戦略会談で
 「オーストラリアの言動は両国間の信頼を損なった。
 中国社会の各界と人民は強い不満を持っている。(
 オーストラリアの中国批判は)両国関係の健全な発展に影響を与えた」
と抗議した。
 中国外相が公式会談で「信頼を損なう」「強い不満」など強い表現を使うのは異例だ。
 日中の確執が、これまで円満だった中豪関係にまで広がっているとの見方もある。
 中国国営の環球時報は同日、オーストラリア・メディアの報道を引用し
 「ビショップ外相は王毅外相の批判に当惑した」
と報じた。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月10日 16時46分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80303&type=0

米国は中国寄りに、重要性は「日本を超えている」―シンガポール紙

 2013年12月6日、シンガポール紙ザ・ストレーツ・タイムズは中国が設定した防空識別圏をめぐるバイデン米副大統領の日中訪問について、その発言内容などから米国の中国に対する重要性は日本を超えていると指摘した。
 9日付で参考消息(電子版)が伝えた。

 バイデン副大統領が北京を訪問するまでは、中国メディアは「防空識別圏問題に関し、米国は日本サイド一辺倒だ」と批判を繰り返していた。
 しかし、バイデン副大統領の訪問後にはこの論評を一変させた。

 アナリストはその原因について、バイデン副大統領が中国は防空識別圏問題で最悪の結果を回避したと表明したためだと分析している。
 中国外交学院国際関係研究所の周永生(ジョウ・ヨンション)教授は
 「バイデン副大統領が習近平(シー・ジンピン)中国国家主席と会談した際に、防空識別圏問題で公の場で中国に圧力をかけなかった。
 このことは、米国から見て、中国の重要性がすでに日本を超えていることを示している」
と指摘した。

 また、バイデン副大統領が中国より先に訪問した日本では、日本の主張する中国の防空識別圏撤回の要求に同意しなかった。
 一方、中国に対しては、防空識別圏の設定を事実上黙認した上で、中国が防空識別圏の関連ルールを執行しないことや、緊張した局面を緩和させる行動を取ること、その他の地域に新たな防空識別圏を設定しないことなどを促した。

 シンガポールの学者・李明江(リー・ミンジアン)氏は、
 「バイデン副大統領の言動は中国が損して得を取る戦略の採用に成功したことを表している。
 防空識別圏の設定という新事実は東シナ海の現状を変えたが、これに対して
 日本は打てる策がほとんどない
と述べた。

 また、別のアナリストは
 「日本が今、最も困っていることは、米国の支持が不足していることだ」
と指摘している。







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