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International Business Times 2014年1月4日 23時35分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/52956/20140104/194225.htm
中国、地方政府のデフォルトを断固阻止
中国の中央政府は、地方政府が深刻な財政難に直面していることを受けて、地方政府がデフォルトを回避するために債券を発行することへの支持を表明した。特例措置であるといえる。
●中国の子どもたちが、2014年の干支である午の飾りを持っている。(2013年12月31日)
中国の省および地方自治体は、そこ自体がお金を借りることを許可されていない。
地方政府が返済不可能な借金をすることを危惧した中央政府が、禁止措置を導入したのだ。
1994年以降、地方政府は赤字に陥ることも許されていない。
そのため、地方政府によって設立された企業が、地方政府の金融機能を担う存在となっている。
そして、銀行からのローンといった伝統的な方法で資金を調達したり、株式市場を通じて公募で資金を集めたりしている。
信用貸付など、影の銀行シャドーバンキングを利用することもできる。
しかし、財政的なリターンを回収するのに数十年かかるインフラ投資の資金が、短期ローンによって調達されているというミスマッチな組み合わせが、問題になっている。
中国の行政部門である国家発展改革委員会によれば、
地方政府によって発行されている約1,000億元(1兆6,500億円)の債券が2014年に満期になる。
国家発展改革委員会は、
「もし、建設資金の不足が原因で、将来収益を出すであろうプロジェクトが未完成になってしまうのであれば、私たちは、これらのプラットフォームカンパニーに適切な量の債券を新規に発行許可することを検討するでしょう。
集められた資金は、新たに資金を借りて、古い負債を返済するために使われます」
と述べた。
昨年末、中国の地方政府の「借金」が6月末の段階で17兆9,000億元(約295兆円)にまで膨れ上がったと公開された。
2010年の段階では10兆7,000億元であったので、70%の増加である。
3年前は国内総生産(GDP)の25%であったが、今では30%を超える金額である。
中国の審計署(日本の会計検査院に相当)の代表である劉家義(Liu Jiayi)氏は、同署のウェブサイトで、
「私たちは、財政を安定させることを意識しています。
特に、地方政府の危機をコントロールすることに注意を払います」
と述べている。
また、主要な地域、部門、機関の役員の監査も、少なくとも任期に一度は実施するとのこと。
各種会議やオフィスビルへの政府支出もチェックの対象となる。
中央経済工作会議(Central Economic Work Conference)も、「地方政府の借金を避けコントロールする」ことは、今年の主要なタスクとなるだろうと強調していた。
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
』
『
ウォールストリートジャーナル 2014年 1月 08日 11:08 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304387404579307292240647128.html?mod=WSJJP_hpp_LEFTTopStoriesSecond
中国はGDP目標を放棄すべき
By ANDREW BROWNE
●中国広州・珠江地区のビル建設現場
中国の地方政府の警戒を要する債務急増は、
官僚組織の全ての層が借り入れと支出をしばしば無謀なほど行うという、
国内総生産(GDP)押し上げの強迫観念を反映したものだ。
国営新華社通信が指摘したように
「GDP崇拝」は地方政府の債務が昨年6月末に2兆9000億ドル(303兆円)と、
GDP比33%にまで増加した最大の理由だ。
この債務は2011年末時点では1兆7000億ドルにとどまっていた。
歯止めのきかない債務の急増ぶりは中国金融の安定を脅かす恐れがあり、同国共産党が昨年12月、地方当局者の褒賞に際しては環境保全への気配りなど、量よりも質を勘案するとの新たなインセンティブ計画を発表したのもこのためだ。
別のアイデアもある。
GDP目標値を放棄することだ。
これは北京が経済成長の牽引車を取り替えることに真剣だとの強力なメッセージになるだろう。
中国は厳格な成長目標を掲げる世界で唯一の主要国だ。
過去2年間については7.5%が目標とされた。
米国など他の諸国では政府機関などが成長を予測するだけだ。
目標は、政府が少ない資源の配分を計画する基盤となるスターリン主義計画経済の遺物だ。
これが今も残っていることは、
中国が完全に市場経済に移行するまでにはまだ遠い道のりがあることを示している。
当局者の昇進は明確に成長のペースとつながっていて、
地方政府はホテルから高速道路、地下鉄に至るまであらゆることに資金を借り入れて投資するため、その結果は債務の山となる。
成長だけを考えている影響は
①.環境破壊に表れ、
②.ひいては国民の健康被害と
③.政府にとっての政治的問題
が生じることになる。
その結果、一部のエコノミストはGDP目標の放棄が疑う余地のない解決策と見るようになった。
国際通貨基金(IMF)の元中国専門当局者で、現在はコーネル大学の教授であるエスワル・プラサド氏は「目標は時代遅れになった」と述べた。
同氏は、これを撤廃すれば、
「政府の優先課題が、全てを犠牲にした成長から均衡の取れた、持続可能な成長モデルに移ったことを明確に示すことになる」
と語った。
しかし、昨年の共産党会議が経済政策見直し政策の一環として、市場に「決定的な」役割をさせることを約束したにもかかわらず、国民の間ではこの社会主義の遺物を放棄することについてほとんど議論されていない。
エコノミストらは、中国が地方債務を管理可能なものにしたいなら、この問題にまず対処しなければならないとしている。
同国の指導部でさえ経済成長と計画立案などの重要性について葛藤しているのだ。
中国指導部は、過去30年間にわたる2桁の成長のあとの減速に満足しており、今や焦点は改革の実行に移ったことを公に示している。
しかし、最近の彼らの行動は彼らが目標達成が極めて重要だと依然として信じていることをはっきりとさせた。
成長ペースが昨年初めに鈍化した時、一部のエコノミストは北京は一歩下がって成り行きに任せるだろうと考えていた。
しかし、中央当局は減速にびっくりしたようで、再び資金を注入し初め、成長が全てではないとの地方へのメッセージを自ら弱めた。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドの中国担当エコノミスト、Louis Kuijs氏は
「彼らはわれわれが数カ月前に考えていた以上に成長を重視している」
と話した。
しかし、ウィグラム・キャピタル・アドバイザーズのロドニー・ジョーンズ氏(北京)は、世界経済が上向いている今こそがGDP目標を放棄するチャンスだろうと述べた。
同氏は、世界の状況に関係なく、毎年一定の成長水準に固執していると中国経済をゆがめることになるとし、
「景気循環というものがある。成長には引き潮と満ち潮がある」
と語った。
成長目標は伝統的に、野心的なゴールと言うよりも「最終決算」と考えられてきた。
このため、これを越えることは政府の信頼性のマーカーとなった。
この結果、数字には政治的重要性がにじみ、目標放棄を決定することが難しくなった。
目標が共産党にとっていかにセンシティブなものであるかは、楼継偉財務相が昨年、ワシントンで記者団に対して、7%、あるいは6.5%の成長率でも「大きな問題」ではないと述べた時で分かる。
中国国営メディアは即座に、この発言を訂正し、7.5%の目標に変化はないと伝えたのだ。
別の意味でも目標は政治的に重要だ。
これは
①.完全雇用と
②.社会的安定をもたらす
ために十分なペースで成長させるという政府の優先課題を反映しているのだ。
さらに、目標は、10年から20年の間にGDPと国民1人当たり所得を倍増するという国家目標の背後の計算に流れ込んでいる。
ただ、中国の人口動態は急激に変化している。
労働人口はピークに達し、今は減り始めている。
これはもっと低い成長率でも雇用目標を達成できることを意味している。
また、7%程度のペースにシフトダウンすることも可能で、これでも20年の目標達成は可能だ。
李克強首相は3月の全国人民代表大会で今年の成長目標を発表する。
同首相は最近、雇用を確保するには7.2%の伸びで十分だとの考えを示唆しており、首相はより低い伸び―多分7%―の目標を発表する可能性があるとの見方が浮上した。
これは勇敢な一歩だが、目標放棄ほど勇敢なものではない。
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International Business Times 2014年1月8日 07時09分 更新
http://jp.ibtimes.com/articles/53042/20140108/644426/page1.htm
中国経済は減速へ、シャドーバンキングに新ルール
Reporter Name: MORAN ZHANG 翻訳者: 加藤仁美 |
中国が危険な簿外取引に対する態度を強化している。
中国政府はシャドーバンキング(影の銀行)システムが金融市場に不可欠であると認めながらも、シャドーバンキングの節度のない蔓延を抑止する新ルールを発表したと多くのメディアが報じた。
この措置は確実に、貸付による成長を抑制し、
その結果として、中国経済全体の成長は2014年に失速させるだろう。
シャドーバンキングとは
一般的には銀行を通さない金融取引を指すとされるが、実体は、高金利商品を販売して集めた資金を、銀行とは異なる投資会社を通して不動産投資するなどの資金運用を指している。
●貸付の減少とともに短期的な経済成長も減速するだろう。グラフ: ソシエテ・ジェネラル/中国担当エコノミスト、ウェイ・ヤオ(Wei Yao)氏
「規制措置の動きが確認されれば、経済の負債比率を低減しようとする中国政府の強い意思表示の一つとなる。
これは、2014年の6.9%をはじめとする、中国の短期成長に対する我々のコンセンサスを下回る要求を支持するものだ」
と仏大手金融機関ソシエテ・ジェネラルの中国担当アナリスト、ウェイ・ヤオ(Wei Yao)氏がクライアント向けのメモで述べた。
2008年以前は、経済成長とほぼ同じ速度で貸付が拡大していた。
このことは貸付の対GDP(国内総生産)比率が横ばいだったことを意味する。
2008年以降、中国経済における貸付額は対GDP比で75%上昇し、200%にまで跳ね上がった。
ちなみに、米国のサブプライム・バブルがはじける前は、この数値は40%でしかなかった。
中国の銀行は米国の銀行システム全体の5倍の速さで資産を増やしていると米格付け会社フィッチは報じた。
●2008年以降、貸付総額はGDP比129%から195%に跳ね上がり、従来の傾向から完全に解離した。グラフ: IMF(国際通貨基金)
中国の指導者たちは同国の経済が、成長手段として過剰な借入れに依存していることを懸念している。
指導者たちは、経済を長期的軌道にのせるために、短期的な痛みには耐えるべきだとしている。
シャドーバンキングには、高利貸し、信託会社と呼ばれる投資会社、一般銀行によるオフバランスシートの融資など様々な形態がある。
ドキュメント107(Document No. 107)とする規制方針は、地元紙チャイナ・ビジネス・ニュースがまず報じた。
現段階では(大)銀行幹部にのみ配布されているようだ。
「シャドーバンキングの拡大は、金融が革新的発展を遂げる中で必然である。
シャドーバンキングは従来の金融システムを補足する形で実体経済に貢献し、一般市民の投資手段の幅を広げるという前向きな役割を果たしている」
とドキュメント107は伝えたとフィナルシャル・タイムズ紙は報じた。
「現在、中国ではシャドーバンキングが持つリスクを概ね抑制できている。
しかし、2008年の世界金融危機のように、シャドーバンキングのリスクは水面下で発生する複雑なものであり、突然、その脆弱さが露見し、すぐさま金融システムの問題に発展する可能性もある」
とドキュメントは述べている。
同ドキュメント内で、シャドーバンキングは3タイプに分類され、今後も注意深く監視していくと述べられている。
その3タイプとは、
①.無免許で無秩序な信用仲介業 (インターネット金融業者など)、
②.無免許だがやや法制化されている信用仲介業(信用保証会社、
③.少額の短期融資業者など)、免許は取得しているが法制化が不十分な金融業(MMF、非公式な資産証券化、資産管理ビジネスなど)
である。
中国人民銀行が、シャドーバンキングに関して定期的にデータを収集し、報告書をまとめる責務を担う。
数々の過酷な規制が、過去数年にわたり中国の信用ビジネスの成長を牽引してきた業者に課せられることになる。
例えば、金融業を監督する中国銀行業監督管理委員会は、3月25日付の通知で、銀行は資産管理ビジネスの投資商品を、投資対象の資産とリンクさせなければならないとしている。
これとは別に、信用会社は仲介業務を行う上で一層厳しい資本規制に縛られることになると思われる。
ヤオ氏は、もしこの2つの規制が厳格に適用されれば、信用ビジネスの成長が著しく鈍化するだろうと述べた。
「投機的な借入を安全に減らす鍵となるのは、
中国経済の中でも地方政府や一部の地方政府企業のような柔軟な金利体制とは無縁の経済から、信用ビジネスを引き離すことである」
とヤオ氏は指摘した。
先週、公式調査が発表された。
これによると中国の地方政府が抱える負債額は、2013年6月末で17兆9,000億元(約309兆円)となり、これは2010年末の10兆7,000億元(約185兆円)を大幅に上回った。
全体として、地方政府の負債の「43%」はノンバンク関連のものであった。
信託会社、証券会社、保険会社、リース会社などのシャドーバンキング業者が、地方政府の負債の11%を占めていた。
これ以外のノンバンク関連の負債は、債券、個人資産、各種融資保証会社に関連したものであった。
*この記事は、米国版 International Business Times の記事を日本向けに抄訳したものです。
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