2014年1月1日水曜日

<「中華の夢」の行方>【2】:軍事、原発・エネルギー、宇宙・海洋開発

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レコードチャイナ 配信日時:2014年1月2日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81246&type=0

<「中華の夢」の行方(5)>
人民解放軍の実力を暴く=空母5隻計画も―軍事大国の意外な実態


●経済と並ぶ「巨大化中国」の象徴は軍事。人民解放軍は着々と戦力を拡充している。中国の国防費は1989年から過去24年間で、毎年ほぼ2ケタ増。13年の国防予算は前年実績比10.7%増の7406億元(約11兆8千億円)だった。写真は人民解放軍・陸軍。

 経済と並ぶ「巨大化中国」の象徴は軍事。
 人民解放軍は着々と戦力を拡充している。

 中国の国防費は1989年から過去24年間で、リーマンショック後の2010年以外は常に2ケタ増のすさまじい増強ぶり。
 13年の国防予算は前年実績比10.7%増の7406億元(約11兆8千億円)だった。
 初めて7千億元の大台に乗り、03年の1907億元から10年で3.9倍に膨らんだ。
 国防費の公表額は引き続き米国に次ぐ世界2位。
 日本の防衛関係費は、14年度予算案で総額4兆8848億円と13年度予算と比べ2.8%、1310億円増えたが、中国は日本の2倍以上の水準。
 日本やフィリピンなど周辺国との摩擦をにらみ、増額分の多くが海空両軍などの最新鋭装備に充てられるもようだ。
 
 中国の国防費には兵器の開発費用や他国からの兵器調達費用などは含まれていないため、実際の軍事費関連費は公表額の2~3倍というのが通説だ。
 米国の13会計年度(12年10月~13年9月)の軍事費(戦費を除く)は約5250億ドル。
 中国が公表した国防予算はその約5分の1の規模だが、今後、米国は財政難から国防予算の縮減を余儀なくされ、今後もこの傾向が続けば、日中両国の国防予算が数年後には逆転する可能性さえ否定できない。
 
 日本と中国の戦力は単純には比較できないが、数字だけでみると歴然。
 自衛隊員の約23万人に対し、人民解放軍は10倍の約230万人。
 戦闘機は日本の約260機に対し中国は565機と2倍超。
 艦艇も日本の140隻の8倍もの1090隻を保有。
 潜水艦は日本の16隻に対し中国63隻。
 陸上でも、戦車は日本の640両に対し中国は8200両。
 質はともかく数の上では勝負にならない。

 増強された中国軍事費の大半は海軍に充てられている。
 質量ともに年々拡充され艦艇1090隻のうち、最も戦略性の高い駆逐艦・フリゲートが約80隻に上る。
 海軍兵員は約25万5000人で、海兵隊も約1万人に達する。

◆防空識別圏で不意打ち
 
 ウクライナから購入して大連で改修した中国初の空母「遼寧」が12年9月下旬、正式に配備され13年12月には台湾海峡を航行した。
 新たな国産空母の建造も計画され、中国人民解放軍総装備部と国有造船大手2社との間で空母建造の契約を締結。
 大連の造船所で14年に、上海の造船所で15年にそれぞれ1隻ずつ建造を開始する予定。
 将来は通常動力型空母3隻に原子力空母2隻を加えた「5隻体制」を完成させる計画を推進中と見る専門家もいる。

 欧米・日本の先進国が財政難に陥る中で、軍事分野での中国のプレゼンスは際立っている。
 清朝初期までの「栄光」とアヘン戦争以来百数年余りの列強に蹂躙された「屈辱」の歴史が混じっている。
 「弱い者は痛い目に遭う」「だから経済力に見合う強い大国に戻らなければならない」というトラウマも強い。

◆2つの防衛ライン設定、海洋聖域化狙う

 近年の中国の戦略的海洋進出は実に不気味だ。
 中国は尖閣諸島のある東シナ海だけでなく、南シナ海でも領海、排他的経済水域(EEZ)をめぐり、フィリピン、ベトナムなどと係争中だ。
 中国はまず漁船を出漁させ、これを保護する名目などで漁業監視船や巡視船、軍艦を投入し、実効支配を広げてきた。
 中国は20年までに巡視船を520隻へ倍増、一部を東シナ海に回す方針。
 さらに南沙(英語名スプラトリー)諸島に、戦略拠点として戦略的自治体「三沙市」を設立、市長を選出して実効支配強化に乗り出した。
 中国政府は尖閣諸島の上空に防空識別圏を設定し、日本政府に不意打ちを食らわせた。
 中国は尖閣諸島を巡回する監視船や偵察機の数を大幅に増強。
 領海侵犯を繰り返している。

 中国の海洋進出は、この地域で船舶の航行はもちろん領土や資源の帰属を含む地域秩序をめぐる論議で主導権を取ることを目的にしている。
 中国はその手段として各種の水上艦艇、潜水艦、戦闘機、爆撃機、巡航ミサイル、弾道ミサイル、対艦弾道ミサイル(ASBM)などを増強あるいは開発。
 自国の周辺に「第一列島線」と「第二列島線」という二つの防衛ラインを設けて、南シナ海、東シナ海、黄海を聖域化しようとしている。
 
 このまま日中の対立が続けばさらに深刻な危機が発生しても不思議ではない。
 10年に発生した尖閣諸島における中国漁船衝突事件のように、両国政府のコントロールの効かない民間人の行動によって、取り返しのつかない危機が勃発する可能性もあり、より深刻な事態に陥る恐れもある。

 1950年代から60年代にかけて米ソ間に数々の危機が発生した。
 これは、当時、冷戦がスタートしてから時間が経っておらず、両者の間に「紛争処理のルール」が確立していなかったためである。
 現在、日本と中国との間には有事の際の対応ルールは定まっておらず、偶発的な事故が起こり得る。
 中国航空機による威嚇飛行、中国漁船と海上保安庁船との衝突などは今後発生する大きな危機の予兆ともいえる。
 まさに「危機管理」が重要で、あらゆる事態に対処できるよう各国関係部局がホットラインを結び、迅速かつ賢明に対応することが不可欠である。

◆米中軍事共同演習も

 これに対し米中間では軍事対話が定期的に行われており、米国防総省は2014年中にハワイ周辺海域で米海軍が主催する環太平洋合同演習(リムパック)に中国海軍が初めて参加すると発表している。
 リムパックはほぼ隔年で実施しており、昨年は日本のほか、ロシアなども参加した。
 軍事的にも対峙する日中を尻目に米中間の軍事対話はついに共同演習を行うところまで来たことを認識すべきである。
 日中双方とも、厳しい対立に軍事力増強競争で対応しようというのは愚の骨頂。
 総合的な外交交渉こそ望まれる。
 一刻も早く安倍首相と習主席は無条件でトップ会談を開催すべきだ。

(Record China主筆・八牧浩行)


レコードチャイナ 配信日時:2014年1月3日 8時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=81247&type=0

<「中華の夢」の行方(6)>
原発、2050年に400基分計画=地震帯にも建設―シェールガスも米と開発


●中国では経済の急拡大や生活レベルの向上に伴って電力需要が増大、供給不足も深刻化。原子力発電やシェールガスが「救世主エネルギー」として期待されている。写真は吉林省の豊満水力発電所。

 世界一の14億人近くの人口を抱え経済発展途上の中国にとってのアキレス腱はエネルギー。
 経済の急拡大や生活レベルの向上に伴って電力需要が増大、供給不足も深刻化している。
 総発電量のうち7割以上は石炭火力発電に依存しているが、石炭は大量の2酸化炭素を排出し、PM2.5(微小粒子状物質)の元凶とされる。
 このため石炭消費の大幅削減を迫られ、天然ガス、原油を使う火力発電や自然エネルギーに力を入れているが、旺盛な電力需要に追い付かない。

 こうした中、脱化石燃料の目玉として原子力発電への期待は大きい。
 中国では今でも原発が15基稼働。
 建設中の原発は30基もあり、2020年までに原子力発電量を現在の5倍の5800万キロワットへの拡大を計画。
 30年までに2億キロワットを目指すことを検討している。さらに2050年時点で原発の総出力4億キロワットと想定する構想まである。
 出力100万キロワットの原発で計算すると実に400基分。
 単純計算すれば今後40年足らずで原発を25倍に拡大することになる壮大なものだ。

◆事故なら放射線物質が日本列島にも

 怖いのは、稼働中や建設中の原発の大半が地震の発生しやすい地域に立地していること。
 中国の沿海部は、北は遼寧省から南は海南島の昌江原発まで世界有数の原発集積地になりつつある。
 特に山東省は栄成原発、海陽原発など3カ所の原発が沿岸部に集中。
 津波の備えが不十分との指摘もある。

 渤海湾に面する海岸地帯に位置する紅沿河原発(遼寧省)では、108万キロワットの発電能力を持つ加圧水型軽水炉(PWR)1、2号基がほぼ完工済み。
 3、4号基も建設が進んでおり、14年夏までに運転を開始する。
 この原発の立地する渤海湾には中国でも最も地震を引き起こしやすいとされる地震帯があり、地震帯のほぼ真上に建設中だ。
 この地域はたびたび大きな地震に見舞われており、1976年には原発近くの唐山市で直下型大地震「唐山地震」が発生、24万人を超す死者を出している。

 広東省では既存の大亜湾、嶺湊の両原発に加え、建設中の陽江、台山など水流が途切れる「断流」が発生する河川に冷却水を依存する原発も多い。
 黄河は下流域で1990 年代に幾度も断流し、年間200日以上、干上がった年もあったほどだ。
 もし原発に隣接した河川で原子炉稼働中に水流が減り、十分な冷却水を得られなくなれば、福島第1原発事故の再来となる。

 これら原発が事故を起こしたら、一体どうなるか。
 中国から日本列島に向けて常時、偏西風が吹いており、酸性雨から黄砂まで様々な大気汚染物質が中国から日本に運ばれてくる。
 中国の原発で事故が起きれば、日本列島は放射性物質の影響を受けるのは必至とみられている。

 中国側資料によると、中国の原発1基当たりのトラブル件数は05年2.6件(日本0.3件)、07年2.1件(同0.4件)で、日本の5倍以上の割合で記録されている。
 トラブルがあった場合、日本は原子炉を止めて安全を確認するが、中国では稼働しながら故障を修理するという経済優先の対処法もみられるという。

 三菱電機など日本のメーカーからデジタル制御システムなどを輸入しているが、日本の原発技術者は、今後、技術者不足が中国の原子力発電所発展のネックになると懸念。
 中国の監督・管理機関である国家核安全局は規模が小さく、現段階でさえ新たな建設プロジェクトに対応するのがやっとの状態で、原発を安定的に増設するためには原子力技術者の大量増員が必要となるという。

 中国の原発当局者は
 「福島の原発事故の教訓を取り入れ第3、第4世代の原発を建設しており、安全性には絶対の自信がある」
と強調。
 数年以内に原発技術を外国に輸出することも計画しているが、日本の原発専門家の多くは
 「中国が技術を輸出できるレベルに達するにはまだ相当の時間が必要」
と見ている。

 こうした中、多くの原発がある広東省の江門市政府が13年7月、大規模な住民の抗議デモを受け、同市鶴山の核燃料工場建設計画の中止に追い込まれた。
 中国では震災・津波対策の実態などの情報開示もほとんど行われていない中、地域住民の原発建設に対する監視が厳しくなる一方。
 核燃料の調達問題もあり、中国の原発開発は多くの課題に直面している。

 このほか、中国は太陽光発電にも力を投入。
 15年までの太陽光発電設置目標を2100万キロワットから、既存容量の4倍超に当たる3500万キロワットに引き上げた。原発27基分に相当する能力増だ。

◆「世界一の埋蔵量」を有効活用

 世界のエネルギー革命の起爆剤となっているのが新型天然ガス・シェールガス。
 最大の生産国米国が世界を大きくリードしているが、米国が中国に対し、大気など環境への負荷が低いシェールガスの輸出、開発技術協力の両面で協力することで協議が進められている。

 中国のシェールガス推定埋蔵量は36.1兆立法メートルで世界一。
 米国の24.4兆立法メートルを大きく上回る。
 2015年に65億立方メートル、20年に600億~1000億立方メートルの生産を目指している。
 ただ、米国とは異なり、中国ではシェールガスを含む岩盤が地下数千メートルと深い場所に分布している上、地層が複雑で岩盤に封じ込められたガスの回収には高度の技術を必要とする。
 開発コスト縮減や環境対策も急務で、大きく先行する米国のシェールガス開発技術の導入を切望している。

オバマ政権は、米国からの投資資金を中国のシェールガス開発に投入し、米国のシェールガス開発技術を中国に供与しすることをすでに承認。中国は米国産シェールガスの輸入も要望している。米国は自由貿易協定(FTA)の締結国以外への輸出を制限しているが、中国への輸出も対日輸出と同様、特別扱いする方向で検討中である。

 中国政府は13年7月に米ワシントンで開いた米中戦略経済対話で輸入申請など手続きに関する情報の提供を要請、米国側もこれに応じた。
 米開発企業各社も有望市場中国からの受注は巨額の事業収益につながると色めき立っている。
 エネルギーという高度戦略分野でも「米中協調」が進行している。

(Record china主筆・八牧浩行)



レコードチャイナ 配信日時:2014年1月4日 7時50分
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<「中華の夢」の行方(7)>
中国が「宇宙開発戦争」で先頭に=地球にない核融合物質狙う
―有人深海探査も


●宇宙開発競争といえばかつての冷戦時代は米ソ2大国がしのぎを削っていたが、今、中国が主役の座に躍り出た。有人深海探査も積極的に推進、この分野でも覇権を握ろうとしている。写真は酒泉衛星発射センター。

 宇宙開発競争といえばかつての冷戦時代は米ソ二大国がしのぎを削っていたが、今、中国が主役の座に躍り出た。
 有人深海探査も積極的に推進、この分野でも覇権を握ろうとしている。

 2013年12月15日、中国の月探査機「嫦娥(じょうが)3号」が月面に軟着陸し、搭載していた無人探査車「玉兎(ぎょくと)号」による活動が始まった。
 無人探査機による月面着陸に成功したのは、旧ソ連と米国に続いて世界で3番目。
 実に37年ぶり。
 中国は宇宙開発大国をアピールして国威発揚を図るとともに、月の資源獲得を視野に宇宙権益を確保する狙いがある。

 探査車は、レーダーや撮影装置を備えており、約3カ月間、地球からの遠隔操作で月面を走行しながら月の地形や地質構造のデータを収集する。
 4台のカメラを備え、ロボットアームによる月面掘削も可能という。
 嫦娥3号は着陸地点で約1年間にわたり、宇宙観測を続ける。

◆37年ぶりの月面軟着陸

 宇宙開発で大きく先行していた米国、ロシア両国は財政難や優先順位の変更などで大きく後退。
 米国の宇宙開発ではNASA(米航空宇宙局)のスペースシャトル計画はすでに終了しており、スペースX社など民間企業の比重が増しているのが実情だ。

 中国は2020年をめどに有人宇宙ステーション建設計画を推進。
 少なくとも国家主導の宇宙開発分野では中国がトップに立つ可能性が大きい。
 中国がこの間に宇宙開発に費やした費用は500億元(約8000億円)に達する。
 内陸部の酒泉衛星発射センター(甘粛省)などに続く発射センターとして、南シナ海に面した海南島にケネディ宇宙センターをモデルにした新施設も完成させた。
 中国科学技術部(省)、欧州連合(EU)、欧州宇宙機関(ESA)は12年夏に北京で行われた「中国・欧州宇宙科学技術協力対話」で、宇宙科学技術協力をめぐる中国と欧州の対話メカニズムをスタートさせることを決定した。

 貧困層が依然多い中国では、「宇宙開発事業に金を使い過ぎだ」との批判がネット世論を中心に飛び交っており、中国の指導者は国民に、宇宙開発への中央政府の巨額の支出を正当化する必要に迫られている。
 それでも宇宙開発は国家の威信を高揚させ、技術力が向上するとの見方も根強く、
 「今やらなければ中国は将来、宇宙の支配権を失うことになる」
と開発を支持する意見も多い。

 中国は今回の探査機月面着陸に続いて、2020年にも米国に続く有人月面着陸を計画している。
 さらに30年以降には長期の有人滞在を可能にする月面基地を建設する構想を立案している。
 中国が月面着陸にこだわるのは、核融合反応から未来エネルギーを取得しようという国家計画を推進するためである。

 現行の原子力発電はウランの核分裂反応を利用したもので、寿命が半永久的な放射性廃棄物を排出し、処理が非常に困難。
 これに対し月に豊富にあるヘリウム3を使用した核融合反応は、有害な廃棄物をほとんど出さない。
 もちろん温室効果ガスの発生もないため、環境問題が深刻化している中国にとっては理想の未来型エネルギーとなる。

 地球の上空には磁気圏があり、宇宙線の直接の侵入を防ぎ人体を守っているが、ヘリウム3は磁場に妨げられて、地球上にはほとんど存在しない。
 核融合炉の技術はまだ確立されていないが、将来可能となる見通しで、中国政府は2017年までにヘリウム3の採取を目指している。
 このほかウラン、チタンなど、地球では希少な資源が大量に眠っているとされる。

◆未確定の宇宙資源利用ルール

 2011年9月に発表された「中国の平和発展」と題された白書は、
 「中国は人口が多く、基盤がぜい弱で、世界人口の20%に相当する国民を世界のわずか7.9%の耕地と6.5%の淡水資源で養っている。
 経済発展の成果は13億人の国民によって享受されていなければならないはずだが、常に多くの庶民の生存とニーズを満たすような発展は困難を極めている」
と指摘。
 中国はエネルギー源を求め長期的なプロジェクトとして宇宙への進出を狙っていることが分かる。

 宇宙開発の憲法ともいえる「宇宙条約」では、月を含めた天体には領有権を主張できないが、資源の利用についての規定はあいまいだ。
 月の資源の所有を禁じた「月協定」が1984年に発効したが、日本をはじめ、宇宙活動を展開する国々の多くは批准せず、実効性はない。
 中国の資源調査は、月の資源利用のルール作りを主導する意図もあるとみられる。
 今後、このままでは月の資源をめぐって激しい奪い合いになるのは必至。
 中国がその権益を国際ルールができる前に確保しようとする強い意思も見え隠れする。

◆7000メートルの有人深海探査に成功

 宇宙と並んで深海もエネルギー鉱物資源の宝庫である。
 12年6月には、中国の有人深海潜水艇「蛟龍号」がマリアナ海溝の水深7000メートルに到達した。
 有人深海潜水艇での大規模な潜水実験に成功したのは米国、フランス、ロシア、日本に次いで5カ国目。
 作業用の有人潜水艇としては世界記録となった。

 中国の有人宇宙船と有人深海潜水艇には多くの軍事的な用途もあると見られている。
 両分野とも、いつの間にか世界のトップクラスに躍り出た。
 軍事にも転用可能とされ、世界各国からは「情報開示が進んでおらず脅威だ」との声が高まっている。

 中国国防部は
 「中国は一貫して、宇宙の軍事化に反対しており、宇宙の軍拡競争には参加しない」
と反論。
 「中国の宇宙事業の目的は、宇宙の平和利用のためであり、文明の促進、人類の幸福のためである。
 また、国の経済発展や、科学技術、安全保障などのニーズを満たすためでもある」
と「平和利用」を強調するが、世界各国の不安はなかなか消えない。

 また、有人潜水調査船「蛟龍号」についても、「深海の科学研究と海洋環境保護のために研究開発されたもので、海洋に対する認識や平和的な利用に積極的な役割を果たす」と説明しているが、情報の開示は少ない。

(Record China主筆・八牧浩行)





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