2013年11月30日土曜日

「けちな小者」という印象をふりまく中国:台風被害支援で吹き飛んだチャイナ・ソフトパワー

_

●物不足 最大の被害を受けたといわれるタクロバンに届いた救援物資 Erik de Castro-Reuters


ニューズウイーク 2013年11月28日(木)17時11分
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/11/post-3117.php
ジェームズ・ホームズ(米海軍大学校教授)

台風で吹き飛んだ中国のソフトパワー
Chinese Soft Power: Another Typhoon Haiyan Victim

被災地フィリピンへのケチ支援で露呈した「善意あふれる隣国」の化けの皮

 中国外交には、いつも驚かされる。
 北京の指導部は近年、軍事力や経済力に頼らない「ソフトパワー」を重視しているようにみえた。
 ところが、その路線をあっさり捨てただけでなく、もう二度と元に戻れないような姿勢を打ち出している。
 理由はまったく分からない。

 その最新の例が、台風ハイエン(台風30号)で深刻な被害を受けたフィリピンへの支援だ。
 中国の支援額が報じられたとき、筆者は金額の桁が2つか3つ少ないのではないかと思った。

 だが間違いではなかった。
 中国政府から10万ドル、中国赤十字会から10万ドルの計20万ドルだけだという。
 その後、国内外からの批判を受けて「140万ドル」相当の救援物資を送ると表明したが、それでも他国に比べれば話にならないほど小さな規模だ。

 諸外国の例をみると、「オーストラリアは3000万ドル」、国内に70万人近いフィリピン人が住む「アラブ首長国連邦は1000万ドル」、「韓国は500万ドル」の支援を発表。
 「アメリカは2000万ドル」の緊急援助の拠出を表明し、人的支援の第1波として海兵隊と海軍の約90人を被災地に派遣した。

 04年のスマトラ島沖地震のときに中国が支援に消極的だったのは、そんな能力がないためとみられていた。
 実際、当時の人民解放軍には、国外の救援活動に出向くような裝備がなかった。
 だが今は病院船の「和平方舟」まで保有しているのに、なぜか出動させない(のちに派遣した)。

■自分の首を絞める「大国」

 フィリピン支援への消極姿勢には意図があるとみられても仕方がない。
 中国とフィリピンは、南シナ海の領有権をめぐって対立を続けている。

 それでも、最近までの中国からは考えにくい態度だ。
 この間までは孔子や明代の武将・鄭和の伝統を持ち出して、
 「善意あふれる大国」を自負し、
 小さな近隣諸国を懲らしめることなどあり得ないと言いたげだった。
 だが今の姿勢はまったく違う。

 外交における「ソフトパワー」という概念の生みの親であるアメリカの政治学者ジョセフ・ナイに言わせれば、この力は国家が持つ「魅力というパワーだ。
 さらに米海軍大学教授のトシ・ヨシハラによれば、その魅力がフェロモンか香水かといえば、自然に体から漂うフェロモンに例えられる。

 ソフトパワーの源になるのは、その国の文化や伝統、政策などだ。
 いずれも長い年月にわたって一貫したものでなければ、ソフトパワーにはつながらない。

 中国政府が次に外交上の「香水」を振りまきたいと思っても、周りからの信用を勝ち得るのは難しくなった。
 フィリピン支援への消極的な姿勢は、香水では消せない悪臭を残すだろう。

 アメリカにとって、今回の事態にはプラスの面もある。
 中国が自ら「けちな小者」という印象を世界に与えたからだ。
 地域で指導力を発揮するなんてとんでもないほど、度量の狭い国にみえる。

 外交でこれだけ自滅的な姿勢を取るケースは、なかなかないだろう。
 中国は支援外交の舞台で、自ら墓穴を掘っている。

From the-diplomat.com

[2013年11月26日号掲載]


 「ソフト・パワー」とは「魅力というパワー」だという。
 wikipediaで見てみる。

 ソフト・パワー(Soft Power)とは、
 国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力によらず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力のことである。
 対義語はハード・パワー。

●.ソフト・パワーの概念誕生の背景とその概要

ソフト・パワーとは、軍事力や経済力などの他国を強制し得るハード・パワーと対置する概念であり、アメリカの対外政策のあり方・手法として生まれた概念である。
アメリカ国内においてソフト・パワーという考え方が唱えられた背景には、ブッシュ政権以降のアメリカの中東政策による、国際的な批判の高まりによるところが大きい。
2001年、オサマ・ビン・ラディン率いるアルカーイダによるアメリカ同時多発テロ事件を契機として、アメリカがイラクに対する核兵器保有疑惑やテロリスト支援国の疑いがあることを理由にはじめたイラク戦争、また、その後のイラクの戦後統治などにおいて行った一連の政策が、圧倒的な軍事力を背景にした強硬なものであるという国際社会からの批判や、中東やイスラム圏を中心とした反米感情の広がり、またそれを背景にしたテロリズムの頻発やその被害に悩む中で、その事態の打開のための手法として提唱されるようになった。

ソフト・パワーという概念を提唱したのは、クリントン政権下において国家安全保障会議議長、国防次官補を歴任したアメリカ・ハーバード大学大学院ケネディスクール教授のジョセフ・ナイである。
1980年代のアメリカ衰退論に異議を唱えた著書 Bound to Lead (邦題『不滅の大国アメリカ』)で最初に提示され、Soft Power: The Means to Success in Wold Politics(邦題『ソフト・パワー』)において精緻化されたものである。

ジョセフ・ナイはこのソフト・パワーによる対外政策の重要性を説く上でブッシュ政権や政権の中枢を占めた、いわゆるネオコンという勢力に対し、客観的に評価または批判をし、軍事力や経済力など強制力の伴うハード・パワーにのみ依存するのではなく、アメリカの有するソフト・パワーを活かすことの重要性を唱えた。
さらに、ジョセフ・ナイはこのソフト・パワーをハード・パワーと相互に駆使することによって、国際社会の支持を獲得し、グローバル化や情報革命の進む国際社会において真の国力を発揮し得ることを説いている。

●.ソフト・パワーの源泉~文化・政治的価値観・政策の魅力~

ジョセフ・ナイはソフト・パワーを提唱し、ソフト・パワーを構成するものとして三つの要素を掲げている。

①.ひとつは、その国の有する文化である。
 その具体的な例として文学や美術、高等教育などのエリートを対象とする高級文化や大衆の娯楽などの大衆文化が挙げられる。
 ナイはその国が有する文化の価値観に世界共通の普遍性があり、その国が他国と共通する利益や価値を追求する政策をとれば、自国が望む結果を獲得することが容易となるとし、一方で偏狭な価値観に基づく文化では、ソフト・パワーが生まれにくいとしている。

②.また、ジョセフ・ナイは国家の国内外における政策も、ソフト・パワーの源泉足り得るとしている。
 その例としてアメリカ国内の黒人などへの人種差別によりアメリカのアフリカ諸国に対するソフト・パワーが損なわれ、銃の野放しや死刑制度により、ヨーロッパにおけるアメリカのソフト・パワーが損なわれたことを指摘している。
 一方で、アメリカの人権政策は、かつて軍事政権を敷き人権抑圧を行っていたアルゼンチンからは反発されたが、その後、投獄されたペロン派が政権を握ったことで、アルゼンチン国内におけるアメリカのソフト・パワーが高まったとしている。

③.さらにジョセフ・ナイは同じソフト・パワーであっても、文化によるソフト・パワーと政府の政策によるソフト・パワーは必ずしも一致しないことも指摘している。
 2003年に世界各国の世論調査において、アメリカのイラク政策への失望から、アメリカを魅力的であるという回答が低下したが、これはあくまでブッシュ政権に対する失望であり、アメリカの技術力、音楽、映画、テレビ番組については依然とアメリカを魅力的であるという意見が強いというのがその例である。

 こうしたソフト・パワーの作用として、ジョセフ・ナイが指摘するのは、
ソフト・パワーは国家により管理できない
という点である。
 軍事力や経済力などのハード・パワーと異なり、ソフト・パワーは部分的に政府の目標に影響しているに過ぎないし、そもそも自由な社会において国家がソフト・パワーを管理することがあってはならないとも述べている。

●.ソフト・パワーの限界

一方で、ジョセフ・ナイはソフト・パワーの限界についても言及している。
それは、ソフト・パワーにおける魅力により、国家の望む結果が得られる可能性が高い場合もあれば低い場合もあるというところによる。
概してソフト・パワーとなり得るその国の魅力とは関係する国々とある程度似ている状況であり、かつその魅力の効果は分散型で漠然としていることにもよる。
好意で行動しても相手から好意的な対応が得られるとは限らず、効果が分散する親善関係のもとではその具体性に乏しい。
まして、自国の映画や大学、教会など非政府組織か独自のソフト・パワーを持ったとき、政府の政策を強化する場合もあれば対立する場合もあるし、ソフト・パワーを測る世論調査などの調査手法がどの程度信用できるのかという点でソフト・パワーに対する懐疑的な見方も存在しているのも事実である。

<<略>>

●.世界情報化とソフト・パワー

また、21世紀の世界はグローバル化と情報革命が高まっている中、ジョセフ・ナイはこれからのソフト・パワーの重要性が高まることを指摘する。
特にインターネットの普及などを情報革命通じ仮想共同体の形成や多国籍企業、非政府組織がテロリストを含めて、さらに役割をになうこととなり、独自のソフト・パワーを養い、国境を越えて人々をひきつける。
そうしたときに国家は魅力と正当性、信頼性をめぐる競争になるだろうと述べている。
そして、情報を提供し、かつその情報が信頼できるものとして受け入れられる能力こそ、
ソフト・パワーにおける魅力と力の需要な源泉となるだろうとしている。




_

米中日の軍事力が空前の集結:中国防空識別圏のおよぼす波紋の大きさ

_




朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/30 11:07
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/30/2013113000623.html

中国防空識別圏:米中、前例なき武力アピール
東シナ海・南シナ海に兵力集結…軍事的緊張高まる
「空母には空母、戦闘機には戦闘機」

 中国の防空識別圏設定で北東アジアの安保状況が激震する中、同圏内の海上・上空には米国・中国・日本の軍事力が集結しており、軍事的緊張が高まっている。
 米日による「防空識別圏無能力化」への試みと、中国による「既成事実化」への試みがぶつかり合えば、
 「物理的な衝突」に飛び火する可能性がこれまで以上に膨らむものとみられる。

 29日には米日が中国の防空識別圏に哨戒機・偵察機・早期警戒機・戦闘機など10機を一挙に進入させたのに対し、
 中国が「スホーイ30(Su30)」や「殲11(J11)」といった主力戦闘機を緊急発進させたのは、こうした「最悪のシナリオ」が杞憂(きゆう)でないことを示している。
 双方が物理的衝突を意図していなくても、同域内に軍事力が異例の集結をすることで対峙(たいじ)し、偶発的に衝突が起こる可能性は否定できない。
 中国国営の環球時報は29日
 「この20年間で同圏内にこれほど多くの軍事力が集結したのは初めてだ。
 3カ国の空母級艦船が監視し合ったり、軍事力をアピールしたりすれば、狭い海峡で衝突する可能性がある
と報じた。

■米中日の軍事力がこれほど集結するのは異例

 米国と日本は、中国に対し「防空識別圏設定を撤回せよ」と要求しているが、中国がこれに応じる可能性はゼロに近い。
 このため米日は同日、B52戦略爆撃機をはじめP3哨戒機、 EP3偵察機、 E767早期警戒機、F15戦闘機などを相次いで同圏内に送り込み、中国の防空識別圏を認めないという「無視戦略」を展開している。

 中国はB52が圏内に進入した当初は予想とは異なり静かに対応していたが、自国内で批判を受けたためか同日はすぐにSu30やJ11といった中国空軍の主力戦闘機で対抗した。
 「今後は米日が防空識別圏に入るのを放っておかない」
という警告だ。
 こうした双方の試みが繰り返されれば、物理的な衝突が現実になる可能性は高まる。

 海上でも状況は同じだ。
 現在、東シナ海や南シナ海の近くには空母や準空母級艦艇4隻が集結して武力アピールを行っている。
 米空母「ジョージ・ワシントン」は沖縄近海で日本の自衛隊との共同演習をしており、米空母「ニミッツ」はフィリピン近くの南シナ海にいる。
 排水量1万8000トンという日本の準空母級護衛艦「いせ」もフィリピンに到着した。
 中国の空母「遼寧」は28日、台湾海峡を通過して南シナ海に入り、訓練を開始した。

 「遼寧」が台湾海峡を通過する際、米日は上空や水面下から共同で船団を追跡、けん制していたことが分かった。
 沖縄の嘉手納米軍基地から発進したP3C哨戒機・RC135偵察機・空母「ワシントン」のFA18戦闘機などが「遼寧」の航路を追跡した。

■偶発的衝突が戦闘拡大につながる可能性も

 米紙ワシントン・ポストは
 「防空識別圏問題で今すぐに米日と中国が武力攻撃を始める可能性は低い」
としている。
 お互いをけん制してはいるが、双方とも実際に衝突するには代償が高すぎるからだ。

 中国は最近、急速に軍事力を拡大させてはいるが、それでもまだ米国の軍事力には遠く及ばない。
 今年の国防予算も1140億ドル(約11兆6700億円)で、米国の6270億ドル(約64兆2050億円)の5分の1程度だ。
 今すぐに米国と正面衝突をするには負担が大きいだろう。
 10年以上続いたイラク戦争やアフガニスタン紛争で極度の「戦争疲れ」に陥っている米国としても、どんな形であれ軍事衝突は避けたいはずだ。

 しかし、本部でのこうした「合理的判断」にもかかわらず、軍事力が集結している現地ではいつ偶発的な衝突が起きてもおかしくないというのだから問題だ。
 国際戦略の専門家らは
 「偶発的な衝突が各国の国民感情を刺激すれば収拾がつかない事態に至ることもあり得る」
と見ている。
 事実、過去にも東シナ海や南シナ海で米中が物理的な衝突の直前まで行ったケースがある。

 今年6月、東シナ海の海上で中国の海洋監視船5001号が巡視活動をしていたとき、米海軍所属の音響測定艦と一時対峙するという事態が発生した。
 中国側はこのとき「米国船舶がスパイ活動をしている」とすごんだ。

 2009年には対潜水艦作戦中だった米音響測定艦「インペッカブル」を中国海軍の艦艇5隻が取り囲んで航行を妨害、交戦直前の状況までいった。
 また、01年には米海軍のEP3偵察機が南シナ海公海上空で情報収集活動を行っていた際、中国がF8戦闘機を発進させ、空中衝突している。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/30 11:05
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/30/2013113000622.html

中国防空識別圏:「日本より米国の情報収集活動を意識」
最先端の装備で中国軍の動きを詳細に把握する米軍
中国沿岸ぎりぎりまで接近…内陸部にある軍事施設の情報も収集
中国、米軍のXバンドレーダーにも反発

 中国が突然「東シナ海に防空識別圏を設定した」と宣言したのは、日本をけん制すると同時に、米軍機による情報収集活動を意識したものだと日本経済新聞が29日に報じた。

 自衛隊は、尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐる中国との対立が激化して以来、P3C対潜哨戒機はもちろん長距離レーダーを搭載したE2C早期警戒機も飛ばし、警戒・監視活動を強化している。
 中国メディア「環球時報」は、防空識別圏宣言の最も重要な目標は日本をけん制すること、と伝えた。
 環球時報は社説で
 「中国は、防空識別圏を守るために米国まで目標にはしないだろう。
 中国がやるべきことは、日本の挑発的な行為に断固対応すること」
と主張した。

 しかし、自衛隊機の情報収集活動は中国にとって大きな脅威ではない、というのが日本の専門家らの見方だ。
 自衛隊の偵察機は主に日本の領空内で活動しており、長距離レーダーを搭載したE2Cでも、尖閣周辺で活動できるのは4時間程度だという。

 このため中国の措置は、自衛隊よりも米軍をけん制することが主な目的、という分析も出ている。
 米軍は、電子偵察機EP3や無人偵察機グローバルホークを動員し、中国の沿岸部ぎりぎりまで接近して、中国内陸部にある軍事施設の情報も収集している。
 米軍は先端装備を活用し、中国軍の作戦経路などを手に取るように把握しているという。
 これは、有事の際に中国軍の作戦・移動を予測できるということを意味しており、実戦では勝敗を分ける決定的要因になりかねない。

 中国は、米軍が北朝鮮のミサイル監視を名目として、長距離ミサイルの発射を監視できるXバンドレーダーを京都府に配備したことにも反発している。
 また今年10月、中国海軍が西太平洋で演習を行った際、米軍や自衛隊は偵察機で監視活動を行った。当時、中国政府は監視活動に強く抗議した。

 自衛隊の先端装備配備計画が中国を刺激したという分析もある。
 日本は、最先端のレーダーを搭載し空中給油も可能なボーイングE737や無人偵察機グローバルホークを2015年までに配備するなど、独自の情報収集能力を確保する計画を打ち出している。
 この場合、自衛隊の監視範囲は事実上中国内陸部の軍事施設にまで及び、中国にとっては新たな脅威になりかねない。

 日本経済新聞は
 「中国は、防空識別圏について直ちに実質的な措置を取ってはいないが、
 航空戦力が増大した場合、事前の許可なく侵入する外国航空機の封鎖を試みる危険性がある
と報じた。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 20時16分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79859&type=0

<防空識別圏>米国の強い姿勢に中国はトーンダウン―米メディア

  2013年11月28日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ中国語版サイトは記事
 「日中対立における米国要素」を
掲載した。

 中国が東シナ海防空識別圏策定を発表するや、米国は事前通報なしに2機の爆撃機を飛行させた。
 その後、ヘーゲル米国防長官は日本の小野寺五典防衛相に電話し、尖閣諸島は日米安保の対象であることを再度強調。
 中国の防空識別圏策定は米国の軍事活動に影響しないことを表明した。
 また、12月初頭に日中韓を歴訪するバイデン副大統領も中国に防空識別圏問題へのメッセージを伝えると表明した。

 その効果は明らかだ。
 中国は当初、
 協力しない、あるいは指示を拒む航空機に対しては、中国は武力をもって暴挙的緊急措置対策を取る」
と明言していたが、その後の中国外交部記者会見では
 「状況と具体的な脅威に応じて相応の対応を取る
とトーンダウンしている。

 ただし米国のアクションは遅すぎたとロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのMichael Yahuda名誉教授は指摘する。
 従来のあいまいな態度が中国に「つけ入る隙あり」と判断させ、東シナ海問題の緊張をこれほどなまでに高めてしまった
と指摘している。







_

アジア諸国、中国恐れ日本に近付く?:中国は自身で「対中包囲網」を助長

_

●28日、台湾民進党の劉世忠国際事務部主任は「防空識別圏設定は、中国が情勢の判断を誤った可能性がある。米国がすぐさま中国による『現状の一方的な変更』を非難することを予測できなかった」と述べた。資料写真。


レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 6時30分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79846&type=0

アジア諸国、中国恐れ日本に近付く?―英紙


●29日、英フィナンシャル・タイムズ(中国語電子版)は、「アジアは中国を恐れ、日本に近付くのか?」と題する記事を掲載した。写真は日本の尖閣国有化について報じる中国紙。

 2013年11月29日、英フィナンシャル・タイムズ(中国語電子版)は、「アジアは中国を恐れ、日本に近付くのか?」と題する記事を掲載した。

 東シナ海上空に中国が防空識別圏を設定したことは、日米を含む多くの国を驚かせた。
 中国の目標は領空、領土の変更を既成事実化することだろう。
 短期的な目標は強制的に領土変更を日本に認めさせることで、長期的な目標は日本と米国の同盟関係を破壊することだ。

 中国は安倍晋三政権の右傾化を強く非難している。
 しかし、アジアのほかの国々は違うようだ。
 旧日本軍に蹂躙された国家といえども、日本にそれほど大きな恨みは抱いていない。
 フィリピンやベトナムなど多くのアジア諸国は、中国の台頭を憂慮している。
 なぜなら中国が領土問題で日増しに強硬になっているからだ。
 多くの国家が米国のアジア重視戦略を歓迎し、重要な投資者としての日本に近寄りつつある。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 11時42分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79872&type=0

かつて侵略されたアジアの国々が日本の再軍備を歓迎することは意外―英紙

 2013年11月29日、環球時報(電子版)によると、英紙フィナンシャル・タイムズは、かつて日本に侵略された歴史を持つアジアの多くの国が日本の再軍備を歓迎していることは意外であると伝えた。

 フィナンシャル・タイムズ・アジア版のデビッド・ピリング編集長は、フィリピンやインドネシアなどの日本の再軍備に対する態度は意外だと話す。
 フィリピンのアルバート・デルロサリオ外相はかつて
 「フィリピンは日本が平和憲法を改正し、再軍備することを歓迎する」
と表明したという。
 また、インドネシアの外相も同様の態度を示したと指摘している。

 ピリング編集長は「当時、暴行や虐殺が普遍的だった日本による侵略の歴史はフィリピン人の記憶の中に鮮明に残っているはずだが、デルロサリオ外相はそれについて大したことではないと表明している。 
 かつて大日本帝国陸軍に蹂躙(じゅうりん)された国の多くは、韓国のようには日本に恨みを抱いていない」と話した。

 さらに記事は
 「日本は事実上すでに全面武装しているが、憲法によって武力の行使は自衛の場合を除いて禁止されているにすぎない」
と補足している。


 なを、この英フィナンシャル・タイムズ紙の記事は先に取り上げたが、再読は下記で。

JB Press 2013.11.29(金)  Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39314

尖閣諸島問題、中国もさすがにやり過ぎたか?
(2013年11月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 21時31分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79798&type=0

<防空識別圏>中国は自身で「対中包囲網」を助長
=関係国の対中協力を促進する結果に―中国メディア

 2013年11月28日、台湾民進党の劉世忠(リウ・シージョン)国際事務部主任は、香港・中評社の取材に対し、
 「防空識別圏設定は、中国が情勢の判断を誤った可能性がある。
 米国がすぐさま中国による『現状の一方的な変更』を非難することを予測できなかった
と述べた。
 環球網が伝えた。

 劉氏はインタビューに対し、以下のように述べている。

 中国の行動によって日本と米国、オーストラリア、東南アジア諸国、韓国が近づき、安倍首相による「中国包囲網」形成を間接的に助長してしまった。

 台湾の防空識別圏が中国大陸の内陸を含んでいたこともあったが、台湾の戦闘機が中国の領空を飛行できるわけもなく、大きな意味はなかった。
 台湾が他国の軍用機に事前通告を求めたこともない。

 東シナ海上での防空識別圏設定は象徴的意味だけでなく、強い政治的、軍事的意味のあるものだ。
 釣魚島(尖閣諸島)の主権争いは日本に対してだけでなく、中国の軍事戦略の第一歩である。
 中国は東シナ海防空識別圏によって、将来的に第一列島線を自由に出入りすることを目標としている。
 中日の主権争いの拡大のみならず、解放軍の戦略的計画なのである。

 今回の事件では台湾も
 「強い抗議」を表明しなければならない。
 東シナ海防空識別圏は台湾の領空から約30キロの距離に迫っている。
 台湾が反対を唱えず、撤回を要求しなければ、中国はそもそも日韓を挑発せずとも台湾の北部、東北部を自由に出入りできることになってしまう。
 中国の目標は台湾ではなく米国だが、台湾の安全保障に与える影響は大きい。



サーチナニュース  2013/12/02(月) 10:57 
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1202&f=politics_1202_001.shtml

防空識別圏への日本の反発は、中国に不利な世論形成が目的=中国

  中国メディア・中国新聞社は2日、中国が設置した防空識別圏に対して日本が反発していることについて
 「正当性があるのは承知の上で、中国に不利な世論を形成するためだ」
と中国国内の専門家が解説したことを報じた。

  記事は、防空識別圏設置に関連して日本政府が国内航空会社に対して中国への飛行計画提出を禁止した一方、米国は提出に同意したと伝えたうえで、米中関係専門家で清華大学講師の趙可金氏の解説を紹介した。

  趙氏は、防空識別圏は領空とは異なりいかなる国のいかなる飛行機も自由な飛行が可能であるとしたうえで、日本や米国は
 「防空識別圏設置は中国の正当な権利であることをはっきり認識している。
 そのうえで挑発するのは、中国にとって不利な国際世論を形成するためだ」
と語った。

  記事はまた、北京大学管理学院の白智立副院長が、日本の反発の原因は、尖閣諸島が防空識別圏内に入ったことであり
 「日中関係に与える影響は大きい」と
解説したこと、中国が防空識別圏を設置したタイミングについて「日本政府が来年、戦後最大規模の防衛政策の調整を行う可能性があるため」と分析したことを併せて伝えた。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月4日 14時4分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=80012&type=0

ジアで孤立した韓国と中国
=侵略の被害受けた東南アジアまで日本支持に―韓国紙


●2日、韓国紙・朝鮮日報中国語版は記事「日本はなぜ過去36年間にわたり、一貫して東南アジアに好意を示してきたのか」を掲載した。韓国や中国と同じ、日本の侵略の被害を受けた東南アジア諸国まで日本支持に回ったことを衝撃と評している。写真はマニラ。

 2013年12月2日、韓国紙・朝鮮日報中国語版は記事
 「日本はなぜ過去36年間にわたり、一貫して東南アジアに好意を示してきたのか」
を掲載した。

日本の集団的自衛権解禁問題。
 韓国は強く反発しているが、多くの国から
 「背後からの一撃」を食らわされたことは否定できない。
 中国を牽制するための「不沈空母」として日本を使いたい米国についてはまだ予想できた。
 米国が韓国ではなく日本を選んだのは残念とはいえ、衝撃というほどのことではない。
 日本のもう一つの同盟国であるオーストラリアや日本の軍事的影響力が及ばない欧州連合(EU)の賛同も理解できないわけではない。

 しかし韓国や中国と同様に日本に侵略された経験を持ち、いまだに従軍慰安婦問題を抱えているフィリピン、タイ、マレーシア、インドネシアなどの東南アジア諸国が日本を支持したことには驚愕(きょうがく)した。
 アジアにおける中国、韓国の孤立を意味しているからだ。

 韓国政府関係者は、南シナ海問題において日本の力を借りるためだとASEAN諸国の態度を分析する。
 だがそれだけではない。
 日本の東南アジアへの接近は36年前から始まっていたのだ。
  1977年、福田赳夫元首相はフィリピンで

 「日本は軍事大国にはならない。
 政治、経済、社会文化の領域でASEAN諸国と心からの友人になりたい」
と発言した。
 この福田主義は将来の中国台頭をにらみ、東南アジアとの絆を確保する狙いがあった。
 ODAや投資、さらにはポップミュージック、漫画、映画、ファッション、寿司、ラーメンなどのソフトパワーまで動員して、東南アジアの人々の心をとりこにしたのだ。

 安倍首相はこの福田主義を見事に完成して見せた。
 昨年12月の就任から1年足らずの間に、ASEAN10カ国すべてを訪問したのだった。
 世界3位の経済体・日本の外交に韓国が遅れをとるのは仕方がないのかもしれない。
 だが、朴槿惠政権誕生から1年という時間を無駄に使ってしまった韓国の政界や指導者たちに、日本のような30~40年先を見据えた戦略的判断力があるのだろうか、心配させられる。







_

中国防空圏内「緊急発進」発表、強硬姿勢アピールか:日本側は否定

_



NHKニュース 2013年(平成25年)11月30日[土曜日]
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131130/k10013464581000.html

中国機の緊急発進 強硬姿勢アピールか

 中国は、みずからが設定した防空識別圏に29日に日本の自衛隊機やアメリカ軍機が事前の通告なしに入ったとして、軍の戦闘機がスクランブル=緊急発進したと発表しました。
 防空識別圏での監視能力は高いと強調し、日米などに対する強硬な姿勢を内外にアピールするねらいがあるものとみられます。

 これは、中国の国営メディアが29日夜に空軍の報道官の発表として伝えたものです。
 それによりますと、中国が東シナ海に設定した防空識別圏に、29日午前、日本の自衛隊機のF15戦闘機など10機と、アメリカ軍のP3C哨戒機など2機が、事前の通告なしに入ったとして、中国軍の戦闘機がスクランブルしたということです。
 中国軍は、スクランブルしたのは主力戦闘機の殲11などだと説明していますが、どこを飛行したのかなど詳しいことは明らかにしていません。

 中国軍によるスクランブルが発表されたのは、今月23日に中国政府が沖縄県の尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定してから初めてです。
 中国空軍の報道官は、防空識別圏は空軍と海軍が共同で監視に当たっているとして、
 「外国の航空機を常に監視する態勢がとられている」
と主張しました。
 中国が設定した防空識別圏を巡っては、日本やアメリカが受け入れられないとして強く反発しているほか、中国軍が実際に防空識別圏全体を監視できるのか、疑問視する見方も出ています。
 このため、今回のスクランブルの発表は、中国として、防空識別圏での監視能力は高いと強調し、日米などに対する強硬な姿勢を国の内外にアピールするねらいがあるものとみられます。

■「監視能力を示したかったか」

 元海上自衛官で北京の日本大使館の防衛駐在官を務めたこともある東京財団の小原凡司研究員は
 「中国は防空識別圏に入った航空機を識別する通常の対応を行ったとみられ、しっかりとした監視能力があることを国内外に示したかったのだろう」
と分析しています。
 そのうえで、
 「中国は日本やアメリカの航空機が事前通告なしに防空識別圏に入ったのに何もしていないではないかと国内から批判されることを恐れている」
として、能力は高いとアピールするために中国が今後、スクランブルの回数を定期的に公表するなどの対応をとる可能性があると指摘しています。
 一方、中国の実際の監視能力については、
 「沖縄県の尖閣諸島を巡って対立する日本への対抗措置として能力を超える範囲にまで防空識別圏を広げた可能性もある」
と述べ、自衛隊とアメリカ軍が協力して中国軍がどの程度の能力を有するのか、情報を収集し、詳しく分析していくことになるとしています。
           
■米軍「この空域で航空機運用続ける」

 アメリカ国防総省は29日、声明を出し、事実関係への言及を避けたうえで、
 「アメリカ軍は今後もこれまでどおり、この空域での航空機の運用を続ける」
として中国をけん制しました。
 アメリカ政府は、中国による防空識別圏設定の問題を巡り、中国側に対して、
 「東シナ海の現状を不安定化させる一方的な行為であり、不測の事態を招く危険が高まる」
と批判するとともに強い懸念を示してきました。
 一方で、今回の発表に先立ち、アメリカ軍の当局者はNHKの取材に対して、
 「中国は、防空識別圏を設定したからには、日本の自衛隊やアメリカ軍の航空機がその空域に入れば、スクランブルをかけてくるだろう」
と予測していました。
 この当局者によりますと、従来から、アメリカ軍の航空機が情報収集の一環などで中国の領空近くを飛行した場合、中国軍は戦闘機を発進させて近距離からアメリカ軍機を監視してきたということで、今後、防空識別圏を根拠にして中国軍機の活動がより活発になるかどうか、見極めたいとしています。

■緊張高まる中国と日米韓

 今月23日、中国が東シナ海の広い範囲にわたり防空識別圏を設定したと発表。
これは日本の防空識別圏とも重なっていて、この中には沖縄県の尖閣諸島の上空も含まれています。
 中国政府は公告で防空識別圏を飛行する航空機に対して中国側に飛行計画を通報することや中国国防省の指示に従うことなどを求め、従わない場合には武力による緊急措置をとるとしています。
 この中国の動きに対して関係国は一斉に反発。
 日本政府が中国に対して一切の措置を撤回するよう求めているほか、アメリカ政府もホワイトハウスをはじめ、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が一斉に声明を出して強い懸念を示しました。
 また、韓国も「韓国の防空識別圏の一部と重なり、遺憾だ」とするコメントを発表しています。
 3か国はいずれも航空機を使った監視活動などをこれまでどおり行うとしています。
 中国と各国との間で緊張が高まるなか、来週から日本、中国、韓国を訪問するアメリカのバイデン副大統領は中国側に対して直接、懸念を伝えるとともに、防空識別圏を設定した意図について説明を求めることにしています。



2013/11/29 23:55   【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013112901002819.html

中国軍機が日米機に「緊急発進」 東シナ海防空識別圏、国防省発表

 【北京共同】中国国防省は29日、東シナ海の防空識別圏に入った米軍機や自衛隊機に対し、中国空軍が緊急発進(スクランブル)をかけたと発表した。
 日本のF15戦闘機など10機と米軍偵察機2機を確認したとしている。

 事実とすれば、中国が23日に沖縄県・尖閣諸島上空を含む空域に防空識別圏を設定して以来、初のスクランブルとなるが、自衛隊機などの具体的な飛行空域などは明らかにしていない。
 日米両政府や当局も確認していない。



(2013年11月30日03時28分  読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131130-OYT1T00189.htm

中国防空圏内「緊急発進」、日本側は否定

 中国軍が自ら設定した防空識別圏で初の緊急発進(スクランブル)をしたと発表したことについて、防衛省幹部は29日夜、「特異な事案は発生していない」と述べ、緊急発進を否定した。

 防衛省・自衛隊は、領空侵犯の恐れがある国籍不明機が防空識別圏に侵入すると、自衛隊法84条に基づき、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して「対領空侵犯措置」を取る。
 具体的には相手機を撮影したり、無線で進路変更を促したりする。
 中国側は自衛隊機延べ10機に対し緊急発進したと発表したが、自衛隊幹部の1人は
 「そうした対応を受けた事実は確認していない」
と語った。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/30 10:43
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/30/2013113000571.html

中国防空識別圏:米日と中国の戦闘機が同時に出撃か
米国や日本の偵察機など10機以上、中国が宣布した防空識別圏で飛行
中国「中国も主力戦闘機を緊急発進」と発表
日本メディアは中国のスクランブルを否定

 中国が一方的に宣布した防空識別圏をめぐり、米国、日本と中国との対立が表面化している。

 中国の新華社通信は中国空軍の申進科報道官の説明を引用し
 「29日午前、米国と日本が中国の防空識別圏に戦闘機など10機以上の航空機を飛行させたが、中国はこれに対してスホーイ30や殲11など戦闘機を緊急発進させた」
と報じた。
 中国の防空識別圏を認めない米国・日本と、これに対抗する中国との対立がまさに本格化し始めたわけだ。
 米日と中国の間で何らかの衝突が発生することへの懸念の声も高まっている。

 申報道官によると、この日午前、米国のP3C哨戒機や日本のE767早期警戒管制機など10機以上の航空機が問題の防空識別圏に入った。
 申報道官は
 「中国軍は28日から戦闘機や早期警戒機により防空識別圏への『日常的偵察飛行』を開始した」
 「中国軍は(29日)外国航空機による防空識別圏への侵入過程を全て監視しているため、(米日の航空機の飛行は)直ちに識別した」
などと説明した。
 中国は米日の航空機を識別したと説明したが、追加の措置は取らなかった。

 中国は戦闘機や空警2000早期警戒機などにより、防空識別圏を定期的に偵察している。これは米国や日本などが事前の通報なしに戦闘機を飛ばし、中国の防空識別圏を「有名無実化」しようとすることへの対抗措置と解釈できる。
 しかし時事通信やテレビ朝日など日本メディアはこの日、日本政府の発表として
 「中国軍戦闘機のスクランブルは確認されなかった。(中国側による)特異な動きはなかった」
と報じた。

 欧州連合(EU)首脳らは28日(現地時間)、EUと旧ソ連諸国との関係強化を協議する「東方パートナーシップ首脳会合」で「中国による防空識別圏設定は地域の緊張を高める」として懸念を表明した。
 防空識別圏問題をきっかけに東アジアで武力衝突のリスクが高まっている状況について、世界が懸念を示し始めたというわけだ。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 23時1分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79863&type=0

日米軍用機が中国防空識別圏に進入、中国戦闘機は1日で9回ものスクランブル発進

 2013年11月29日、日米の戦闘機が中国の防空識別圏に計9回進入したと中国空軍が発表した。
 発表によると、ご丁寧にも9回全部にスクランブルをかけたらしい。
 威勢のいいことを言いながら他国に好き放題やられとるやんけ、と中国ネットユーザーに叩かれているなか、全力で仕事をしている姿勢を見せつけたということだろうか。

 別に防空識別圏に他国の航空機が進入したからといって毎回スクランブルする義理はないし、ましてや報告する必要性もないはずだが、中国空軍は今のところご丁寧にも「成果」を発表しているようだ。
 パイロットはもちろんのこと、中国空軍報道官が過労死しないことを祈りたい。

以下は中国メディアの報道。

 2013年11月29日、中国新聞網は記事
 「日米軍用機が東シナ海防空識別圏に乱入、中国戦闘機がスクランブル」を掲載した。

 29日、中国空軍報道官の申進科(シェン・ジンコー)空軍大佐は北京市で、同日に中国の東シナ海防空識別圏に進入した外国軍用機を識別、確認したと発表した。
 防空識別圏の空中目標に対する常態化された有効な監視が実現していると評価している。

 申報道官によると、29日午前、中国空軍はSu-30、J-11などの主力戦闘機をスクランブル。
 米国のP-3、EP-3偵察機2グループ計2機を確認。
 中国の東シナ海防空識別圏に進入した日本のE-767、P-3、F-15など3種類の軍用機、7グループ10機を識別した。

 「中国空軍による東シナ海防空識別圏の空中巡視任務実施以来、海軍の関連部隊は一丸となって使命を忠実に遂行している。
 防空識別圏に進入した外国軍用機の全行程を監視し、速やかに識別、その機種を判明させている。」

 中国東シナ海防空識別圏の空中巡視任務を担当している空軍、海軍のパイロットは今後も油断することなく、密接な協力を続け、共同で空の国防安全を守っていくと、申報道官は強調している。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月30日 7時0分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79864&type=0

「防空識別圏で他国機を撃墜するのはあり?」
「ダメです」
中国国防部定例記者会見を読む



●28日、中国国防部は11月の定例記者会見を開催しました。防空識別圏問題もあり、いつも以上に盛り上がる記者会見。重要なポイント、ネタ的発言が飛び交う見どころいっぱいの内容となりました。

 2013年11月28日、中国国防部は11月の定例記者会見を開催しました。
 防空識別圏問題もあり、いつも以上に盛り上がる記者会見。
 重要なポイント、ネタ的発言が飛び交う見どころいっぱいの内容となりました。

▼「防空識別圏に他国の飛行機が入ってきたら撃墜できるんですよね?」

 まずは重要なポイントから。
 記事「国際的慣例とは違う、異常な“中国式防空識別圏”、ルール作りの大ポカは中国自身のマイナスに」で説明しましたが、
 中国式防空識別圏は他国のそれとは異なり、「防空識別圏に入る場合には中国側に事前連絡し、指示に従う義務がある。
 服従しなければ武力によって対応することも」と、勝手に義務を課し、武力行使を示唆している点で異常です。

 ところが国際社会の批判を受けるなか、中国当局は当初のトーンを一気にダウン。
 義務については一切口にしなくなりました。 
 この日の記者会見では狙った危険球なのか、単なるお馬鹿なのかわかりませんが、
 「他国の航空機がきたら撃墜してもOKっすよね?」
というナイスな質問が登場。
 これに
 「防空識別圏に進入するのは自由。中国は識別、監視する。中国(の領空)に脅威と判断されれば対応する」
という、きわめて常識的な回答で応じ、当初の異常な中国式防空識別圏がこっそり撤回されていることが浮き彫りとなりました。

記者:
 外国の航空機が識別されることなく他国の防空識別圏に進入した場合、防空識別圏を策定した国は撃墜する権利があるとの報道がありました。
 どのようにコメントされますか?

楊宇軍報道官:
 第一の質問、防空識別圏の問題ですが、ここでもう一度説明しておきます。
 防空識別圏は領空ではありませんし、ましてやいわゆる「飛行禁止区域」ではありません。
 一国が領空の外に策定した空域であり、警戒する時間を稼ぎ、国家の防空安全を守るためのものです。
 ですから防空識別圏は領空の拡大を意味しません。
 しかしより有効に国家の領空安全を守ることができます。

 国際法と国際的な慣例に従えば、外国の航空機は他国の防空識別圏に進入することができます。
 同時に防空識別圏を策定した国には他国の航空機を識別する権利があります。
 その意図と属性が判明し、そして異なる状況とその脅威のレベルに従い、対応する反応を行います。
 ですからあなたの質問は不正確です。

 日中両国は海を隔てた隣国です。
 東シナ海の独特の地理的環境において、両国の防空識別圏の重複は不可避です。
 思うに防空識別圏が重複している空域においては、両国はコミュニケーションを強化し、共同で飛行の安全を維持するべきです。

▼怒るべき言葉?笑うべき言葉?

 「中国に防空識別圏を撤回させたいならまず日本が先に取り消せ。したら44年後に中国もやめるか考えてみるわ」という一言。
 28日の記者会見で一番目立つポイントとなっただけに、見出しに採用したメディアも多かったのではないでしょうか。

 なんたる横暴と怒ってもいいのですが、記者会見の動画をみると、楊宇軍報道官はいたずらっぽく笑ってからの発言。
 「小粋なジョーク」のつもりだったのでしょう。
 というわけでこの言葉にかりかりするのはちょっと野暮ではないかな、と。

 個人的に一番気になるのは、会見場の記者さんたちの笑い声がまったく聞こえない点。
 マイクがひろってなかっただけかもしれませんが、楊報道官渾身のジョークが空振りに終わったのではと心配です。

記者:
 中国が東シナ海防空識別圏を発表した後、日本当局及びメディアは中国側が一方的に現状を変え、海・空での“不測”の事態を招きかねない危険な行為だと批判しています。
 どのように評価されていますか?
 日本メディアの報道によると、中国の防空識別圏発表後、日本指導者は、日本側と米政府、そして国際社会は一致して中国に撤回を求めていると発言したようです。
 どのようなコメントがありますか?

楊宇軍報道官:
 第一の問題について。中国の東シナ海防空識別圏策定は完全に正当で、合法的なものです。
 日本はいつも人を批判し、他国を悪者にする。
 しかし自国について反省することはないのです。

 日本は中国側の強い反対にもかかわらず、昨年9月にいわゆる「釣魚島買収」を宣言しました。
 日本側は近年、頻繁に艦艇、軍用機を出動させ、正常な航行訓練を実施している中国の艦艇や軍用機を偵察し、航行と飛行の自由を深刻に侵害しています。
 日本自衛隊艦艇は先日、中国海軍が公海上に事前に策定、公表した演習海域に強硬進入し、中国の正常な軍事演習を妨害しました。日本はさまざまな口実を駆使し、軍備拡大を続け、二次大戦後の国際秩序の改変を狙っています。
 また日本当局はメディアを通じて中国の脅威を喧伝、公然と中国に対抗しようとしています。

 では誰が一方的に現状を変えようとしているのでしょうか?
 誰が地域の緊張局面を激化しているのでしょうか?
 そして誰が地域の安全を破壊しているのでしょうか?
 国際社会は自然と理解し、(日本批判の)国際世論ができることでしょう。

 第二の問題ですが、日本は1969年に防空識別圏を設立、公開しています。
 日本には中国の東シナ海防空識別圏策定についてあれこれ言う権利はないのです。
 もし撤回しろというのであれば、まず日本側が先に撤回するべきでしょう。
 中国側も44年後に撤回するかどうか考えます。

▼空母は「宅男」ではない!

 一番のネタとなったのは、以下の記者の質問です。

記者:
 以前、報道官は「空母はオタクではない。
 必ず遠洋航海に出る」と発言しました。
 これが現実のものとなったわけですが、ここで一つ、今度はいつ西太平洋に出るのか予言して頂けないでしょうか?

 この「空母はオタクではない」発言は今年4月の定例記者会見で、楊報道官が発した言葉。
 これまた渾身のジョークだったのではと思いますが、よもや記者さんから蒸し返されるとは…。

 ちなみにオタクという言葉の言語は「宅男」(オタク)。
 日本語由来の言葉なのですが、原義から外れて「インドア派」という意味になります。
 なので、ひきこもりじゃないので外出します、ぐらいのジョークなのですが、
 日本人的にはやはり「宅男」(オタク)という字面が強烈です。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。



jiji.com (2013/11/30-18:43)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013113000239

防空圏めぐり「情報戦」
=「緊急発進」で監視能力誇示-日米に対抗・中国

 【北京時事】中国空軍は11月29日夜、東シナ海に設定した防空識別圏に進入した自衛隊と米軍の延べ12機に主力戦闘機が緊急発進(スクランブル)をかけたと発表したが、日本政府は「航空機の接近はない」(小野寺五典防衛相)と否定した。
  中国側は、自国の求める事前通報を無視して日米機が防空圏に相次いで進入するのに対抗。
 「緊急発進」の公表で、監視能力の高さを誇示したとみられ、防空圏をめぐる日中の対立は「情報戦」の様相を強めている。

 ◇既成事実化に躍起

 「実戦に近い環境で部隊を鍛え上げろ」。
 習近平中央軍事委員会主席(国家主席)は28日、済南軍区(山東省)を視察した際、「強軍目標」という言葉を繰り返してこう指示した。
 習主席の強軍方針に合わせ、沖縄県・尖閣諸島に対する強硬姿勢も軍主導で強まった。特に鮮明なのは「情報戦」を強化し、安倍政権への揺さぶりを強めている点だ。
 中国軍は23日の防空圏設定直前に、空軍を含む7組織に報道官ポストを新設。空軍報道官は28日、主力戦闘機による防空圏での「パトロール常態化」を発表し、海と空での「尖閣支配」を既成事実化しようと躍起だ。
 同報道官による29日夜の「緊急発進」発表では、どの空域を飛行したかや、どこまで接近したかは不明。
 発表そのものが目的であり、事前通報なしに防空圏に入り、「緊急発進はなかった」と強調する日本や米国に対し、「本気度」を伝えることが狙いとみられる。

 ◇狙いは尖閣協議か

 中国の防空圏設定をめぐり日米などが強く批判したのは、尖閣諸島上空を含めた点と、航空機に飛行計画の通知を義務付け、従わなければ「武力による防御的緊急措置を取る」とした点だ。

 しかし、中国国防省報道官は通知義務に関連し「共同で飛行の安全を維持するよう望む」と協力を要請。
 共産党機関紙・人民日報は「防空識別圏は飛行禁止空域ではない」との見出しを掲げるなど、
 国際社会の警戒心を解こうとする意図も垣間見られる。

 中国メディアは、オバマ米政権が航空会社に対して飛行計画を中国当局に通知するよう促す方針を決定したと伝えた米紙ニューヨーク・タイムズの報道に即座に反応した。
 中国にとって防空圏設定を通じて米国など国際社会との対立が深まることは回避したいのが本音で、中国政府が米政府の「譲歩」を歓迎しているのは確実だ。
 人民日報系の環球時報は29日、米豪韓との対立を緩和し、「闘争目標」を日本に定めるよう主張した社説で、「日本側は危機管理メカニズムの交渉を始動させ、中日両国は新たな『暗黙の了解』を得られる可能性がある」と指摘。
 防空圏設定という対日強硬措置で危機を高め、尖閣問題をめぐり安倍政権に交渉を迫るのが中国の狙いとの見方が強い。



サーチナニュース 2013/12/01(日) 14:40
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=1201&f=national_1201_004.shtml

日本が中国の緊急発進を否定…揺れる中国人たち=中国版ツイッター

  中国国営の新華社通信は11月29日、東シナ海上空に設定した防空識別圏に侵入した米軍機と自衛隊機に対し、中国空軍が戦闘機を緊急発進したと伝えたが、小野寺五典防衛大臣は翌30日、「特異な状況はなかった」と述べ、中国軍機による緊急発進を否定した。

  中国による一方的な防空識別圏設定後、日米韓の飛行機が相次いで事前通告なしに防空識別圏内を飛行した。
 同飛行に対し、中国国内では「緊急発進を行わなかった」として批判が高まっていたため、29日に緊急発進を行ったという発表は
 「中国軍がメンツを守るために発表した」
との見方もあるようだ。

  中国の簡易投稿サイト・微博にこのほど、日本メディアによる報道を伝えるユーザーが現れ、
 「中国国営テレビはデマを流した。
 500回以上も放送しているのだから、公安に通報して国営テレビの責任者を捕まえるべきだ」
と主張した。

  同主張は、微博によってデマを流し、デマが500回以上リツイートされると有罪になるという中国の法律を揶揄(やゆ)した発言であるが、ほかのユーザーからは、

●.「中国国営テレビの仕事は人民を騙すことだから」
●.「中国国営テレビはデマをでっち上げても問題ない。なぜなら国営だからだ」

  など、中国国営テレビの報道は信用できないというコメントが多く寄せられた。
 中国のネット上では、中国メディアに対する信頼が大きく損なわれていることが見て取れる。
 しかし、日本側の発表を信じることにも疑問が呈され、

●.「日本人が本当のことを言うとでも思うのか?」
●.「日本人は釣魚島が日本領だと言っているが、それも信じるのか?」

  などの意見があり、中国政府による発表も信じられないものの、日本側の発表も信ぴょう性に欠けると考えているユーザーも少なくないようだ。

  日中どちらの主張が正しいのかは分からないが、米政府筋は
 「中国の早期警戒能力は日米に大きく劣る。
 中国は防空識別圏全域をカバーする警戒・監視能力を備えているわけではない」
と分析している。



レコードチャイナ 配信日時:2013年12月3日 5時40分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79929&type=0

<防空識別圏>中国が日米の軍機監視、緊張が常態化する恐れ―米紙

 2013年12月2日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの中国語電子版は
 、「中国の防空識別圏による地域情勢緊迫化、常態化する恐れ」
と題する記事を掲載した。

尖閣諸島(中国名・釣魚島)を含む東シナ海上空に中国が防空識別圏を設定した問題で、中国は先週初めて「圏内に侵入した日米の軍機を監視している」と表明した。
 これにより、東シナ海上空での対立が常態化する見通しとなった。
 中国が領有権問題において日本への対抗意識を強めるにつれ、誤解が深まるだけでなく、危険性も高まっており、米国を巻き込んだ軍事衝突に発展する可能性も出ている。

 米国の政府関係者は、仮に米国が中国の識別圏内への飛行を減らした場合、国民に「中国の主張に屈した」と思われかねないと懸念する。
 このため不安定要素はさらに拡大し、中国が領土問題で日本への強硬姿勢を強める結果を招いている。

 米国は一貫して領土問題への関与を避ける意向だが、日本の劣勢を歓迎するわけではない。
 米国は長期的な観点から、中国の軍事力拡大に対し、日本がうまく状況をコントロールすることを望んでいる。






_

2013年11月29日金曜日

「公空」概念がスッポリ抜け落ちているという怪異:中国解放軍陸軍が仕掛け人?

_

● B52ルート

B-52 Taxi And Takeoff (2012)


B-52 Flight (2012)


B-52 Air Refueling (2012)


 いったい中国防空識別圏とは何だったのか。
 えらく中途半端な結末(まだ結末が出ていないのだが)を迎えようとしている。
 もちろん、一旦設定した防空識別圏を中国が撤回するとは思えない。
 識別圏は設定されたが、その内容と比べると薄い実行の形で今後推移していくのではないだろうか。
 とすると、この防空識別圏とはどう解釈していいのだろうか。
 想像をたくましく推理してみる。

 まず第一に重要なことは、
 「共産党の前に解放軍が出てきた」
ということだろう。
 ということは、共産党の力が落ち、解放軍の力が上昇していることになる。
 つまり、共産党は解放軍を制御しきれなくなってきているということになる。
 その破れ目から吹き出たのがこの防空識別圏事件ということになる。
 これは今後の中国をみていくうえで、大きな問題になってくるが、それは別稿で。
共産党と解放軍との亀裂?:中国の防空識別圏、習主席はなぜ売り込まないのか

二番目の重要なポイントは、
 「海軍をさしおいて空軍が出てきた」
ということである。
 解放軍海軍は対日本についてはどちらかというと静かである。
 一時レーザー照射の問題がとりあげられたが、これは海軍にあってゲームみたいなものであってどちらも分かっていてやっているという部分がある。
 しかし、これが公に取り上げられた時点で海軍は綺麗に引っ込んでしまっている。
 海軍のベースになっているのは、万国公法といったたぐいの世界に通用する規則である。
 艦船は世界の海をまわり、様々な外国港にお世話になることによって運行される。
 ために自国のメンツの前に、万国共通の規則に従うことが求められる。
 つまり、やさしくいうと
 「海軍は最も開けている軍隊」
ということになる。
 海軍は冷静な目をもって周囲を見ることができる。
 それは、自分はこう思うが外から見たらどう見えるか、という第三者的な視線をもっているということである。

 尖閣領域で鬼ごっこをしているのは海軍ではない。
 警察管轄の巡視船である。
 海軍はこういうむなしいことをいやがる。
 その目線からみれば、日本と中国とでは退役自衛隊将校の話ではないが30年くらいの差があるという。
 その数値はどこまで正確かわわからないが、とてつもなく差があるということは海軍自身が分かっているということである。
 ポンコツ空母を持っているからといって、この差が埋まるまのでもない。
 艦艇の数ではないのである。
 そのことを十分わかっているから海軍は、レーザー照射事件以降出てこない。
 先般、海自が太平洋での海軍の訓練域に侵入したが、海軍は抗議はするが、それ以上には追求しなかった。
 これは世界で公に認められて範囲での行為であるとすれば、それはそれで了解するしかない。
 解放軍海軍はいまのところ、日本の海上自衛隊は四ツに組んで勝てる相手ではない。
 ムダに艦船を海に沈めることは控えて、訓練を密にして、少しでも日本に追いつくことを目標にしているというところである。
 自分の力の位置が見えているということである。

 そういう海軍の態度を生ぬるい、弱腰だと思って出てきたのが空軍である。
 海軍は階段を一歩一歩踏みしめて上っていく軍隊である。
 空軍はエレベーターでスーと上り、ドアが開いたらそこに、最新鋭のジェット戦闘機が並んでいたという軍隊である。
 操縦訓練のみが、ソフトパワーであるような仕組みで出来上がった軍隊である。
 「他国が見る目を養う」なんてことは訓練教科にはまったくないのである。
  空軍といっても基地は陸地にある。
  空にあるわけではない。
 陸から燃料というヒモで繋がれた軍隊である。
 よって、発想は陸軍と同じで海軍とは相容れない。
 中国陸軍は世界精強といってもいいと言われている。
 ならば、空軍も空域を陸と同じように考えることになる。
 陸地には己の領地か、敵の領地かのどちらかしかない。
 陸軍には「公地」という思想はない。
 その思考の延長から出てきたのが、防空識別圏に対する特殊な考えである。
 ここには「公」がない。
 まったく空を陸地と同じものと考える特殊な発想である。
 つまり、防空識別圏とは領空識別圏で同義であって、その空域は「オレのものだ」という考えである。
 「公空」という概念がない。
 海軍は常に領海と公海を意識している。
 しかし、陸軍には占有地は俺のものという領地の考えが優先する。
 そこで、防空識別を宣言した空域は領空識別した空域であり、オレのもの、ということになってしまう。
 そういう思考のもとに宣言したのが、今回の特殊な防空識別圏である。
 よって、
 そこを通過するものはすべて、オレの指示に従え、でなければ実力行使するぞ、
ということになったわけである。
 なぜなら、宣言したことによってその空域はオレの領空になった、のだからである。
 「公空」は誰でも自由に飛行できる場所である
という基本理念がスッポリと抜け落ちてしまったのである。
 さらに視野を広げてみれば、解放軍の中での各軍を中央委員の数から大雑把にみると
 「陸軍:海軍:空軍=7:2:1」
になる。
 空軍というのは解放軍のなかでは弱小パワーしかない。
 その弱小パワーが共産党をさしおいて事の前面に出てくるということは中国のメンツ組織の中では解せない。
 とすると、これを仕切ったのは
 空軍をバックアップしている解放軍陸軍
ということになる。
 解放軍陸軍は世界で最強の陸軍ともいわれており、共産党の確執はつねに陸軍との権力争いがベースになっている。
 よって空軍は昔の日本軍でいうところの、いわゆる「陸軍航空隊」とみるほうが適切なのではなかるか。
 つまり陸軍が共産党の前にしゃしゃり出て事を起こした、とみるのが推理としては筋が通る。

 さて、声高々に自信をもって防空識別圏を宣言した。
 ここを通るものは、すべてオレに通報しろ、さもなくば実力行使をうけるぞ!
 ここまではよかった。
 日本を心底から震撼させた。
 民間航空会社は飛行プランを中国に出すしか安全を守れないとまで判断し、それを実行しようとした。
 してやったり、万々歳であった。
 解放軍空軍、バンザイである。
 空軍の実力はこんなもんだと、鼻高々になった
 だが、突然冷水を浴びせられた。
 とんでもないヤツが出張ってきた。 
 世界最大の爆撃機「B52」が2機である。 
 アメリカの逆鱗に触れたのである。
 ちょっとやそっとの相手ではない。
 とても太刀打ちはできない。
 さあ、どうする。
 こいつにスクランブルをければ、沖縄基地を飛び立つアメリカの戦闘機集団が出てくるだろう。
 もしB52を誘導して中国国内の基地に着陸させるように動いたら、戦闘機集団も合わせて国内基地に誘いこむことになる。
 威嚇射撃でもすれば、国内基地がヘタすると爆撃対象になり火の海にもなりかねない。
 虎の子の航空機を多数失うことにもなる。
 そして出した結論。
 「ダンマリ、見て見ないふりをしよう、黙殺」
 だまって、行かせてしまえ!
 なんとも、ふがいないがそれしか対応策がない。
 空軍の実力からしてとれる処置はそれしかない。
 陸軍にしかけられてやった事件であり、本音としては空軍としてはさっさと逃げ出したいといったところだろう。
 これが、B52事件の推理である。

B-52 Dropping Lots & Lots of Bombs - Carpet Bombing (B52絨毯爆撃)


 この結果、なにが起こったか、これのほうが問題になる。
 なにしろめちゃくちゃ。
 サーチナニュースでは
 「中国政府に対するブーイングの嵐
である。
 関係記事をレコードチャイナから拾ってみる。


レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 18時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79823&type=0

国際的慣例とは違う、異常な“中国式防空識別圏”
=中国自身の首を絞める結果に

 2013年11月29日、中国が東シナ海に防空識別圏を策定したと今月23日に発表。日米が強く抗議するなど、新たな緊張の火種となっている。

 もっとも防空識別圏とは各国が勝手に制定していいもので、他国の防空識別圏や領空と重複しても特に問題はない。
 ではなぜこれほどの火種となったのか。
 その根本には中国の防空識別圏が他国のそれとは異なる、異常な規定を持っているからにほかならない。

▼防空識別圏とはなにか?

 そもそも防空識別圏とはなにか? 
 多くのメディアが解説記事を出しているが、元航空自衛官・数多久遠氏による解説記事、「中国による尖閣上空への防空識別圏設定の意味と対策」 がわかりやすい。
 ポイントをまとめると、

・防空識別圏自体はなんらかの権利を主張するものではない。
・自国の領空に進入する可能性がありそうな航空機を識別する範囲でしかない。
・徹頭徹尾、自国防衛のためのものなので勝手に制定してもいいし、他国と重複していても構わない。
 陸地で国境を接している国の場合、相手国の領空に防空識別圏がはみ出すことも普通。
・防空識別圏に不明機が入った場合、領空を侵犯しそうな問題のある航空機なのかを考え、無線で連絡したり、あるいは戦闘機をスクランブルさせて確認、警告する「こともある」。
・ただし防空識別圏に入ったこと自体はとがめ立てすることはできない。

というもの。

▼中国が防空識別圏を設定するのは自由

 となると、中国が防空識別圏を策定するのはどうぞご自由にという話になるし、むしろ今までも公表してなかっただけであったんでしょ?
 ないならびっくりですわということになろう。

 最大の懸念は、尖閣諸島上空で日中の戦闘機が対峙、なんらかの偶発的衝突が起きるという可能性だろう。
 船の場合と違い、戦闘機同士のにらみ合いではリスクははるかに大きなものとなりそうだ。
 ただしこれも究極的には防空識別圏とは関係ない。

 中国側の主張では尖閣諸島は彼らの領土。
 その上空を飛ぶことは当然の権利という話になる。
 防空識別圏を策定、公開しようがしまいが、中国のロジックではいつでも巡視飛行が可能だし、その領空に日本機が進入すれば中国機も出動することになる。
 つまり戦闘機同士の対峙と防空識別圏にも根本的には関係はないということになってしまう。

▼異常な中国式防空識別圏

 ならば、今回の防空識別圏策定は特に騒ぎ立てるような必要性はないのだろうか。
 それは違う。
 中国政府は国際慣例に従って策定したと繰り返し表明しているが、実は中国の防空識別圏は上述してきたような「普通」のそれとは異なるものだからだ。
 23日に発表された「中華人民共和国東シナ海防空識別圏航空機識別規則公告」がそのことを明示している。

 まず第一条からして
 「中華人民共和国に東シナ海防空識別圏を飛行する航空機は必ずこのルールを守らなければならない」
と、他国の航空機に義務を負わせている。
 以下、フライトプラン提出、無線通信ができるような状態にしておくこと、そして何より中国側の指示に必ず従うことをいずれも義務としている。
 従わなければ、「中国武装力量は防御的緊急処置対応をとる」と明記している。

 繰り返しになるが、本来、防空識別圏とは自国防衛のため勝手に策定するもので、
 他国の航空機になにかの義務を負わせることはできない。
 他国でもフライトプランを提出しているケースもあるが、それはあくまでお願いにすぎない。
 その意味で義務を強要する中国の防空識別圏は通常とは異なる異質のもの。
 米国がそんな必要はないと一蹴したのもむべなるかな、だ。

▼中国式防空識別圏から通常の防空識別圏へ、静かな路線変更

 なぜ、こんな異例なルールにしてしまったのかは定かではないが、やはり中国国防部の勘違いがあることは否めない。
 そして、その勘違いは日米をはじめ各国が強く抗議する口実となっただけではない。
 中国国内の世論の対応に苦慮する困った状態を引き起こしている。

 26日昼(北京時間)、米軍の爆撃機B-52、2機がフライトプランなしに中国の防空識別圏を飛行した。
 上述のとおり、米軍機に中国領空侵犯の意志はないため、米軍に事前通告の必要性もなければ、中国がアクションを起こす必要性もない。
 通常の防空識別圏の解釈であれば、そういうことになろう。

 ところが中国式防空識別圏のルールでみれば、米軍機は義務を怠ったことになる。
 一部の中国ネットユーザーは「撃墜してしまえ」などの脊髄反射的な書き込みをネットに残しているが、それも中国式防空識別圏としては当然の話なのだ。

 おそらくはこうしたネットの盛り上がりに対応して中国国防部は27日、B-52飛行に関する臨時の記者会見を開いた。
 そこで「米軍機飛行の全過程を監視し、すみやかに識別し機種も判明していた」と発表している。
 本来は防空識別圏に進入されようとも発表する必要はないのだが、通常の防空識別圏としてやるべき仕事はちゃんとやっていたというアピールだ。

 ただし中国式防空識別圏としての義務は果たしていないように思われるのだが。
 大々的に発表したルールは中国軍の手足を縛るものとなり、「ちゃんと仕事をしているのか」とネットユーザーが突き上げる口実を与えてしまった。

 23日のルール発表後、中国側は義務を意味する言葉を使用しなくなっている。
 代わりに多用されているのが
 「各関係者は積極的に協力し、ともに飛行の安全を守ってほしい
という言葉。
 中国式防空識別圏から通常の防空識別圏へと軌道修正を図っているようにも読める。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)
翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 18時33分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79843&type=0

「恥さらし識別圏」「ずる賢い韓国を警戒すべき」
=中国の防空識別圏、政府批判が拡大―中国版ツイッター

 2013年11月29日、中国が東シナ海に防空識別圏を設定して以来、多方面から反発や抗議が出ている。
 とりわけ、日米韓の航空機が中国に事前通知なく同圏内を飛行したことは、中国のネットが大きく反応。
 他国を批判し、中国を擁護する意見が多くみられる中、防空識別圏まで設定しながら、何の反応も見せない政府を批判する声が相次いでいる。
 以下は中国版ツイッターに寄せられた政府を批判する意見の代表的なコメント。

●.「防空識別区より蘇岩礁(韓国名:離於島)だ。
 ここは中国のものではないのか?
 なぜ韓国軍航空機の進入を許した?」
●.「米国に“張子の虎”と言われるわけだ」
●.「もはや“防空識別圏”というのもおこがましい。
 中国のは“恥さらし識別圏”と呼ぶべきだ

●.「挑発するということは、他国の批判を懸念し戦争を仕掛けたくないからだ。
 中国は先制するべきか否か。
 一番良いのは他国の支持を獲得することだ。
 中国の指導者は今支持を得るために躍起になっているだろうが、日本は数カ月前からすでに始めている」
●.「悲しい。共産党よ!祖国よ!政府よ!反撃を!」
●.「警戒すべきは韓国だ。
 少なくとも日本は正面からぶつかってくる。
 米国も態度がはっきりしている。
 この2カ国は正直だと言っても良い。
 一方、韓国は反日をうたい中国との連携を望んでいるようにみせているが、今では長い物にまかれて中国を叩いている。
 何てずる賢い国だ」



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 19時13分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79825&type=0

中国の防空識別圏の設定、米国というトラの尾を踏んだに等しい―日本メディア

 2013年11月28日、中国紙・環球時報は中国が23日に発表した防空識別圏(ADIZ)に関する日韓メディアの報道について伝えた。

 日本メディアは
 「中国の設定した防空識別圏には日本政府が在日米軍に提供している沖縄北部の訓練空域が含まれている。
 訓練中の米軍機は妨害を受ければ必ず反撃する。
 中国のやり方は米軍に戦いを挑むことと同じである」
とし、さらに
 「トラの尾を踏んだに等しい
と指摘。
 「現在は日中よりも米中の開戦の方が現実性を帯びていると言える」
と分析した。

 韓国紙・ソウル経済は27日、
 「アジアへの回帰を宣言した米国と、海洋大国を目指す中国は、今後一触即発の状態へ向かうのか? 
 東シナ海上での対立が深まるにつれて、両国の矛盾がますますエスカレートするとの見方が急速に広がっている」
と報じた。
 韓国紙・国民日報は
 「米中両国の軍事的対立に伴い、6月に両国が確定した良好な関係の方向が変化する可能性がある」
と指摘した。

 また、日本メディアは中国の反応に対して異なった推測をしている。
 あるメディアは、防衛省関係者の話として
★.「米国のB52爆撃機2機が中国の防空識別圏に進入した後、
 中国の偵察機と思われる航空機がB52と距離を保ちながら飛行していたが、接近することはなかった」
と紹介。
★.一方、別のメディアは「中国側からはスクランブルもなく、警告もなかった」と報じた。

 B52爆撃機が事前通知を行わずに中国が発表したばかりの防空識別圏を飛行した事実について、これらのメディアは
 「米国は中国の発表した防空識別圏を認めない、
 事前通知なども中国の要求に基づいては行わない、
 米国の軍事作戦行動はこれを原因として変更が生じることはない、
 という米国政府の立場を明確に示している」
との認識を報じている。
 さらに、
 「日米同盟の強固さを示す米国の明確なデモンストレーションは、中国に対する強烈なけん制である」
と分析している。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 19時1分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79849&type=0

安倍首相、中国の防空識別圏に「冷静かつ毅然と対応」―日本メディア

 2013年11月29日、日本メディアによると、安倍首相は首相官邸で自民党の岩屋毅安全保障調査会長らに会い、中国に対する防空識別圏の早期撤廃を求める決議文を受け取った。
 安倍首相は「国際間で連携しながら、冷静かつ毅然と対応していく」と表明した。
 中国日報網が伝えた。

 菅義偉官房長官は記者会見で、中国空軍の報道官が
 「防空識別圏でのパトロールを常態化している」
と述べたことに対し、自衛隊が引き続き警戒・監視活動を行うと強調した。

 また、小野寺五典防衛大臣は記者危険で、中国が防空識別圏で設定したルールについて「中国側の主張は間違い」と指摘。
 中国側が提案した突発的な事態の発生を防ぐための協議については「中国側の主張を前提とした協議は受け入れられない」とした。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 19時51分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79828&type=0

中国は自制せよ!防空識別圏内の武力衝突
=「日本は先制攻撃しない」―日本元防衛相

 2013年11月28日、中国が設定した防空識別圏に対し、森本敏元防衛相は香港・フェニックステレビの取材に応え、
 「公海上空に防空識別圏を設定することは問題ないが、
 圏内を飛行する際に通知を義務付け、
 通知なき場合は関連の措置を取るという行為は国際法の原則に違反する
と発言した。
 フェニックステレビ(電子版)が伝えた。

 米軍爆撃機や日本の自衛隊航空機は事前通知なしに中国指定の防空識別圏に進入したが、中国側は何らかの措置を取ることはなかった。
 それでも森本氏は
 「中国が設定した防空識別圏内で、領空侵犯に相当する措置を取るかどうかはまだわからない。
 日本は引き続き見守る」
と警戒を示した。

 さらに、同圏内で武力衝突が起きる可能性について聞かれた森本氏は、
 「日中には空軍間の対話手段がない。
 日本は問題がこれ以上発展することを望んでおらず、中国が自制することを願っている。
 自衛隊は引き続き警戒態勢を維持し、武器の使用基準も緩和されない。
 それでも、中国が武力を行使しない限り、日本から攻撃を仕掛けることはない」
と語った。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 20時46分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79815&type=0

米爆撃機の中国防空識別圏への進入、
「米国が日本の味方だというわけではない」―英大学教授

 2013年11月28日、英BBC中国語版によると、中国が設定した防空識別圏を25日に米爆撃機B52、2機が飛行したことについて、専門家は「米国は決して日本の味方だというわけではない」との見方を示した。

 英ノッティンガム大学中国政策研究所の曾鋭生(ズン・ルイション)教授は、中国が設定した防空識別圏と重なる日韓の防空識別圏は、1950年代に米国が設定したものを後に受け継いだものだとし、
 「このことは防空識別圏をめぐる対立の構図が中国対日本・韓国ではなく、
 中国対米国であることを意味している」
と述べた。

 さらに同教授は、米国も中国と日本の領土問題に巻き込まれないよう気を使っていると指摘する。
 「防空識別圏に進入した米軍機が日本ではなく、自国領土の基地(グアム)から飛び立ち、途中、日本や日本の基地に立ち寄らなかった。
 これは、米国政府が『日本と共同して中国に対応する』ことを意味しておらず、『中国側の対応は多くの問題を引き起こす』という警告だ」
としている。
 
 さあて、この結果、なにが起こるだろうか。
このほうが推理としては面白い。
①.空軍の発言力が解放軍の中ではほとんど認められなくなる。
 やむえないだろう、。
 ここまで中国政府が外国からのみならず国内からも批判の的なり、栄光の解放軍にダメージを与えることになってしまっては、今後、空軍独自の出番はなくなった、といっても過言ではないと思えるる。
 さほどに今回の件は中国政府に傷を負わせたのいではないかと思うのである。 

②.次に、中国民衆の共産党への信頼感は薄らいでくる。
 弱腰批判に中国当局はさらされることになり、社会の不満が高まってくる。
 国内の不安定化に相当に寄与することになってしまった。
 なにしろ、当局に対するブーイングは大きい。

③.さらに、諸外国の中国を見る目が変わってくる。
 世界の常識も知らず、軍隊も張り子の虎にすぎず他が傲慢なだけの国家という蔑みになる。
 アジア周辺諸国の中国への信頼感は急激に低下することになる。
 その典型は韓国だろう。
 親中を掲げていただけに、米中のあいだでウロウロすることになってしまった。
 また、旧海洋大国であるイギリスは中国を「愚かな国」とのべ、オーストラリアは懸念を表明した。
 さらにEUも日中の仲介はできないと、どうでもいいことを言いはじめた。

④.アメリカはあきらかに中国に対抗する態度をとるようになる。
 これまで第三者的な態度でいたが、B52でみるように明確に中国への対抗意識をもつようになってきた。
 日中対立から米中対立へと雰囲気が移っているようである。
 日中問題に関しては、尖閣諸島は日本の施政権のなかにあると確認している。

 さて、問題は日本になる。
⑤.日本は中国のミスでポイントを稼いだことになり、一手打てる立場になったということになる。
 さて、日本はどんな策を次に打ってくるか。
 これが、見ものになってくる。
 おそらくは尖閣諸島がらみだと思うが。

 前を振り返ってみると、なんと幸運なことにすべて
 日本は「中国の敵失」でこれまで 点数を稼いでいた。
①.尖閣反日デモで2/3世紀の眠りから目覚め、
②.中国の反日恫喝によって過去に少々汚点を残した安倍さんがタカ派の内閣を再結成することになった。
 一度首相やめた人が改めて首相になるというのは戦後は珍しくなかったが、ここしばらくの日本の歴史の中では出会わなかった特別なことである。
③.そして、今度の防空識別圏ではアメリカがはっきりと中国に対向する態度を示して、尖閣の安全保障を確約している。
 一方、不幸なことに、
 中国は動くたびに日本に「敵失ポイント」をとられている。
 そのポイントをエネルギーにして、日本は「普通の国への道」を邁進することになる。
 ではその普通の国とはなにか?
 それはアメリカの助けを借りることなく
 「自力で日本領土である尖閣諸島を守りきる力を持つ国
になることである。
 自分の国を他国の手を借りずに自分で守れるようになること、
 おそらく、それが普通の国であり、日本の悲願なのだと思う。


【参考】

 辞典・百科事典の検索サービス - Weblio辞書
570の専門辞書や国語辞典百科事典から一度に検索! 
http://www.weblio.jp/content/B52

B-52戦略爆撃機 別名:B-52爆撃機、B-52、B-52 ストラトフォートレス

米国空軍が導入している戦略爆撃機。全幅およそ56メートルと大型の機体で、最高時速は毎時1000キロメートル、連続航行距離は15000キロメートルを超える。

B-52戦略爆撃機は1960年代に実戦に投入された。ベトナム戦争などで絨毯爆撃を行ったことが知られている他、湾岸戦争やイラク戦争など、数々の戦争で戦略爆撃を行っている。旧式・前世代の装備と言うこともできるが、B-52戦略爆撃機は機体の改良が繰り返されつつ50年以上にわたって運用されてきており、2013年現在もなお現役である。

2013年11月23日、中国が尖閣諸島を含む東シナ海の海域を防空識別圏として設定したと公表した。これは当該空域が中国の領空侵犯に備えた哨戒の対象区域と設定されたことを意味する。米国は同月25日に、該当空域においてB-52戦略爆撃機2機による演習を実施している。
(2013年11月27日更新)

航空軍事用語辞典++
索引トップ用語の索引ランキング画像一覧
航空軍事用語辞典++航空軍事用語辞典++
【B-52】(びーごじゅうに)

Boeing B-52 "Stratofortress(ストラトフォートレス)"

1950年代にボーイング社が開発し、アメリカ空軍で運用された8発ジェット戦略爆撃機。
初飛行は1952年の原型機であるXB-52。

本機は当初、メガトン級水爆を搭載する戦略爆撃機として開発され、F型までは水爆4発を搭載していた。
G型以降は核兵器以外にも爆弾倉、機外に計約30トンの爆弾、巡航ミサイル(初期はAGM-28「ハウンド・ドッグ」を搭載、後にAGM-69 SRAMやAGM-86 ALCM。いずれも核弾頭装備)などを搭載可能で、ベトナム戦争においては編隊飛行による戦略爆撃でその能力を発揮している。
このことから、当時のベトナム人は「死の鳥」と呼んで恐れた。

本機はSAMの射程外である高々度からの爆撃を主眼において開発されたが、後にSAMが技術進歩により高々度目標を攻撃可能になったため、G型からは地形追随飛行が可能となっている。
しかしその後B-1、B-2が配備されると彼らにその役目を譲り、本機はもっぱら巡航ミサイル母機、安全な地域での爆撃機としての役割を果たしている。
だが、アフガニスタンやイラクではJDAMを搭載しての近接航空支援を行うという事例もある。

初期型のB-52Aを筆頭に、B~Hまでの派生型があったが、このうちG型までは既に退役しており、現在就役しているのは、最終量産型のH型のみである。
初飛行から半世紀以上が経過しているが、後継機として開発されたB-1、B-2がとにかく高価であったため(B-52と比べてB-1Bは約7倍、B-2は約70倍)、延命・近代化改修により、2040年頃までは現役にとどまる予定となっている。

<<以下 略>>



 こう見てくると、今の日本を動かしているのは「中国の圧力」だということになる。
 そしてその中国を動かしているのは、「尖閣無人4島」ということになる。
 この島々が、戦後2/3世紀にわたった日本の眠りを覚ましてくれると同時に、強力なエネルギーを吹き込んでくれたことになる。
 まさに尖閣諸島とは「日本の救世主」であり「打ち出の小槌」であり、「力の源泉」とも言えることになる。
 これでは太閤様ならぬ「尖閣様」である。
 国会議事堂の前の庭に「尖閣大神宮」を建立してもいいくらいに思える。

 もう一つ加えると、この仕掛け人は民主党の野田政権であった
ということである。
 野田さんは、北海道の戦車部隊を九州に移送して大分で、中国の沖縄上陸を想定しての軍事演習をやった。
 こういうことは、それまで行われたことはなかった。
 野田さんというのは随分思い切ったことをするものだ、ヤバイのではないかと思ったが、これに対する国民の反対はなかった。
 野田さん自身、お父さんは自衛隊員ということで、自衛隊に対するアレルギーがなかったのだろう。
 次にやったのがいわゆる尖閣問題となる、民間からの尖閣諸島の買い上げである。
 不思議なことだが、対中国への事は、自民党ではなく民主党が最初にやっている、
ということである。
 自民党はただそれを引き継いだにすぎない。
 官僚的実務処理については自民党のほうがはるかにたけている。
 そこで民主党の放った小さな矢を、あっと言う間に大矢に変えている。
 民主党がやった尖閣決断だから、これまでは与党のやることに「なんでも反対」であった野党になった民主党は反対姿勢をとることができなくなってしまった。
 これに公明党や維新の会が加わると、もう国民一丸の状況になる。
 反対するのは左寄りの社民党や共産党ぐらいなものになってしまった。
 歴史とは実に面白い。
 民主党という野党勢力が政権をとったときに、
 日本を2/3世紀ぶりに変える事変が発生している、
ということになる。
 自民党はそれを継承処理する仕事をやっているにすぎない。
 日本の歴史の流れからみると、
 大仕事をやらかした民主党、
 日本を覚醒させた民主党
ということになる。
 タカ派自民党のやっていることは、
 民主党が作ったレールの上を走っている
にすぎない、ということになる。






_





 

中国空軍、防空識別圏のパトロールを常態化:「対空防御の安全を断固確保する」

_

レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 11時33分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79816&type=0

日米韓の防空識別圏進入に無反応の中国=「今後も反応を起こさないとは限らない」―英メディア


●28日、英BBC中国語版によると、中国が設定した防空識別圏を日米韓の軍機が相次いで飛行していることに中国側はこれまで大きな反応を示していないことについて専門家は「中国が今後も反応を起こさないとは限らない」と指摘した。写真は米軍のF-16戦闘機。

 2013年11月28日、英BBC中国語版によると、中国が設定した防空識別圏を25日に米爆撃機2機が飛行したのを皮切りに、韓国の哨戒機、日本の自衛隊機も相次いで中国に通知なく同区域を飛行しているが、中国側はこれまで大きな反応を示していない。
 これについて専門家は
 「中国が反応していないことが、今後も反応を起こさないことにはならない
と指摘した。

 中国の一部の民衆の間では、日米中が相次いで中国を“挑発”しているにもかかわらず強気な反応を示さないことで、防空識別圏は「張り子の虎」ではないかとの疑いが持ち上がっている。

 英ノッティンガム大学中国政策研究所の曾鋭生(ズン・ルイション)教授は、中国は防空識別圏を設定する前に、国際社会からこのような強烈な反応が返ってくるとは予想していなかったのだろうと指摘する。
 曾教授は
 「中国はこの問題にどう対応するか、またその対応によって情勢がさらに悪化しないかを検討している最中。
 しかし現在、中国が日米中に何の行動も起こさないと決め付けることはできない
と話している。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 8時41分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79801&type=0

中国空軍、防空識別圏での空中パトロールを常態化―中国


●28日、中国空軍の報道官は、中国が東シナ海上空に設定した防空識別圏に、早期警戒機と主力戦闘機を出動させ、識別圏内の空中パトロールを常態化させていることを明らかにした。写真は主力戦闘機「Su-30」。

 2013年11月28日、中国空軍の申進科(シェン・ジンカー)報道官は、中国が東シナ海上空に設定した防空識別圏に、早期警戒機「空警-2000」1機と、主力戦闘機「Su-30」「殲11」数機を出動させ、識別圏内の空中パトロールを常態化させていることを明らかにした。
 解放軍報が伝えた。

 申報道官は、識別圏内での空中パトロールについて、「国際慣行に沿った防衛的措置」とした上で、
 「中国空軍は高度な警戒態勢を保持している。
 空中での脅威に相応の措置を取り、対空防御の安全を断固確保する
と強調した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/29 10:03

米日豪印を結ぶ「自由と繁栄の弧」、突破を試みる中国
米中の覇権争い激化
安倍首相、米日豪印を結ぶ「自由と繁栄の弧」戦略を再び公に
中国、「第1列島線」を7月に突破…現在は「第2列島線」突破狙う


 中国が東シナ海に防空識別圏を設定したと宣言したことをめぐり、米日同盟と中国の対立が激化している。
 安全保障戦略の専門家は、今回の事態について
 「東アジア全域にわたって形成されている両勢力の争いの一断面」
と指摘している。

 両勢力の対立を象徴するのが、中国の「列島線突破」と米日の「自由と繁栄の弧」戦略だ。
 「自由と繁栄の弧」戦略とは、市場経済システムを採用する国々で中国を南から緩やかに包囲するという概念だ。

 昨年11月、中国軍事科学学会の羅援・副会長(海軍少将)は「海洋大国になるためには、第1列島線を突破しなければならない」と語った。
 第1列島線とは、九州-沖縄-台湾を結ぶラインのことで、冷戦時代に中国が対米防衛ラインとして設定した。
 今年7月24日、中国は史上初めてこのラインを突破した。
 この日、中国軍の早期警戒機1機が沖縄南方700キロの地点まで飛行し、その後中国本土に帰還した。 
 当時、産経新聞は
 「中国にとっての対米防衛ラインである第1列島線(中略)を中国軍機が越えて飛行したのは初めて。中国はこの防衛ラインを(中略)第2列島線まで押し上げようとしており、海軍艦艇に続き、空域でも第1列島線を越えた衝撃は大きい」
と報じた。
 第2列島線とは、伊豆諸島とグアム・サイパンを結ぶラインのことで、中国が海洋大国建設のために設定している攻撃的なラインだ。

 2006年11月30日、麻生太郎外相(当時)は日本国際問題研究所のセミナーで講演を行い「自由と繁栄の弧」の構築を公のものにした。
 米国-日本-オーストラリア-フィリピン-インドとつながる長い線で中国を圧迫・封鎖するという内容だった。
 当時は第1次安倍内閣時代。専門家らは「第2次安倍内閣で、この戦略が再び公のものになっており、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使はその一環」と語っている。

 「第1・第2列島線」と「自由と繁栄の弧」が衝突する地点は、インドから韓半島(朝鮮半島)までの間に随所にある。
 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は既に、集団的自衛権行使の対象として「石油輸送ルート」を挙げている。
 これは、マレー半島西岸とスマトラ島東岸に挟まれたマラッカ海峡を指している。
 中東の石油を東アジア地域に輸送するためには、必ずこの海峡を経由しなければならない。
 また、中国・フィリピン・マレーシア・ベトナム・台湾・ブルネイなどが領有権をめぐって争う南沙諸島海域には、膨大な量の天然ガスがあると考えられている。
 尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺にも、大量の天然ガスが埋蔵されている。
 中国は今後、防空識別圏を東シナ海から南沙諸島周辺にまで拡大する可能性がある。

 チョ・セヒョン元韓国外交部(省に相当)北東アジア局長は
 「これまで東アジアの海では米国が軍事的な援護役を務めてきたが、その米国で『日本も負担を分かち合うべき』という声が強くなってきた。
 集団的自衛権行使を米国が支援するのも、これが理由」
と語った。


「WEDGE Infinity」 2013年11月29日(Fri)  
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3402

日中関係改善の流れの中で

 11月23日、中国政府が東シナ海の防空識別圏設定を宣言したことを、国防部が発表した。
 この防空識別圏を国防部は次のように定義している。

海に面した国家が直面する可能性のある空中の脅威に対し警備するために、領空外に設定する空域であり、速やかにこの空域に侵入する飛行物体を識別、監視、コントロール、処置し、早期警戒時間を得て、空の防衛、安全を守るために用いられる。

 この防空識別圏について、東シナ海の広範囲に設定されていること、日本が固有の領土であると主張する尖閣諸島が含まれていること、米国の訓練空域が含まれていることなどから注目されている。

 筆者ももちろんこれらに点に関心がないわけではない。
 しかし筆者が一番注目しているのは、中国政府がなぜこのタイミングで防空識別圏設定を宣言したのかという点である。
 そのことを考える上で、『人民日報』が防空識別圏設定をどう伝えているかを見ておきたい。

■防空識別圏設定の正当性を強調

 『人民日報』は24日付1面で、防空識別圏設定の事実を、防空識別圏の位置を示した地図、有識者の見解と共に報じた。
 そして、4面で識別規則公告と23日に開かれた国防部スポークスマンの記者会見での質疑応答の内容、中国空軍が防空識別圏で飛行を行ったことを掲載した。

 国防部スポークスマンは防空識別圏設定の目的を次のように説明した。

 国家の主権と領土領空の安全を守り、空中飛行の秩序を守るためである。
 これは中国が自衛権を有効に行使するために必要な措置であり、いかなる特定の国家や目標に対するものではなく、関連空域の飛行の自由に影響はない。


 また、設定の正当性を次のように説明した。

 1950年代から一部の大国と中国周辺の一部の国家など20数カ国が防空識別圏を設定している。
 中国のやり方は「国連憲章」などの国際法や国際慣例に符合している。

 公告は、防空識別圏を飛行する航空機が、識別に協力しない、または指示に従わない航空機に対し、
 「武力で防御的な緊急措置を講じる
としている。

 25日付では、中国外交部が日米の反応を批判したことを伝えた。
 特に日本の外務省が尖閣諸島を含むことを受け入れられないと抗議したことに対し、次のように反論した。

 日本がとやかく言うことは完全に誤りであり、中国は断固反対する。
 中国外交部と駐日本中国大使館はすでに筋を通して日本側の無礼な折衝を却下し、日本に誤りの是正を要求した。

 26日で付は、鄭澤光外交部部長助理が駐中国日本大使と会見し、日本の無理な非難に対し「厳正な抗議」をしたことを伝えた。

■西側の中国非難に「キレ気味」な論調

 27日付で初めて論説が掲載された。
 鐘声(ペンネーム)による「断固とした意志、力のある行動」と題するものである。
 注目したのは次の部分である。

 ほんの一部の国家がとやかく言って、「一方的に東シナ海の情勢の現状の変更を意図している」、「地域の緊張情勢をエスカレートさせている」と訳もなく非難すらする。
 これは珍しいことではない。
 結局中国がそびえ立つ大国であり、東アジアの安全枠組みの進化過程において軽視できない影響力を有しているのである。

 目的は、国家の安全を守り、東シナ海上空の飛行秩序を保障し、公開、透明の原則に従い、中国が制度化、法律化の行動を経て主権を守りたいことを表明することである。
 これは、安全の相互信頼の促進、周辺国家との良性な相互行動を促進に寄与する。

 中国の防空識別圏設定をめぐり出現したノイズは、再び決まりきった考えを暴露した。
 同じ事でも、中国がやればダメ。
 中国がやれば、間違いなく悪巧みを企んでいる。
 こうしたい決まりきった考えを後押しするのは、当然中国のたえず上昇する国際的地位と日増しに強大化する総合国力である。

 中国の急速な発展は決して悪いことではないし、中国の正当な行為を妨げるものではない。
 われわれは当然さらに多くの理解を得ることを希望しているし、そのために理解と(誤解)解消の活動を進めたい。
 しかし、やるべきことをやらないわけにはいかない。



 10月28日に発生した自動車が北京の天安門金水橋付近で不幸にも人員や旅行者にぶつかっていった暴力テロ襲撃事件が、中国の民族宗教政策に対する一部の人が引き起こした悪意のある攻撃ではなかったか。
 その後1カ月も経たないうちに、東イスラム運動テロ組織のメンバーが10.28事件を起こしたと公然と宣言した。
 西側メディアはこれに対し多くの報道を行った。
 しかし、中国のイメージを悪くした人たちの懺悔はない。デマを流して責任を負わない。


 防空識別圏設定直後の国防部は、国際法に符合していること、他の国はすでに設定していること、自衛のために設定していることを指摘することで、設定の正当性を強調することに必死だったように見受けられる。
 それは、今頃になって設定する不自然さを中国自身が感じているのだろう。
 そして、諸外国が非難を受けることは織り込み済みだったのだろう。
 そのためか、なぜこのタイミングで設定したのかということへの説明は一切ない。

 27日の初めての論説は、先の設定の正当性をさらに補強する内容ではなく、諸外国の反応を批判することが主な内容となっている。
 「一方的に東シナ海の情勢の現状の変更を意図している」と「地域の緊張情勢をエスカレートさせている」という諸外国の非難を、長くもない論説の中で3度も引用していることには違和感があり、「キレ気味」とも感じられる。
 しかも、諸外国のこのような非難は中国がこれだけの大国になったからだと開き直りすら見られる。

 そして最後には西側メディアへの批判に及ぶ。
 中国当局がこれまで報道を最小限に抑えてきた10月28日の事件をわざわざ持ち出すのだから、日頃から据えかねている西側メディアの中国当局非難に堪忍袋の緒が切れた感じすらある。
 しかし、この論説にも、なぜこのタイミングだったのかという説明はない。

■日中関係改善の流れと防空識別圏設定のタイミング

 その是非は別として、中国が現在防空識別圏を設定すれば、東シナ海の広範囲に設定することも、尖閣諸島を含むことも想像に難くないことだった。
 それ故に、筆者の関心は、防空識別圏そのものよりも、むしろなぜこのタイミングなのかという点にある。

 日中関係は、今年の4月以降、すなわち習近平が権力ポストを独占して以降、大きな悪化は見せておらず、むしろ両国がそれぞれに関係改善に向けてサインを出している状況にある。
 経済面における地方政府の日本企業との経済交流への期待はそもそも高く、交流自体すでに回復して途上にある。
 その結果、
 経済データからも尖閣国有化宣言の影響による悪化はほぼ脱した感がある。
 延期が続いていた民間交流の開催が増えている。
 中国海監の尖閣諸島周辺への出航も目に見えて回数が減ってきている。

 こうした日中関係の改善の流れが現実に見られる中で、防空識別圏設定がその流れに水を差すような目的を持っているとは考えにくいのである。
 それが、習近平が権力の集中に成功した18期3中全会の直後というタイミングだとすれば、なおさらである。
 しかも、27日に米軍機が、28日に日本の偵察機がそれぞれ中国の防衛識別圏に進入したが、中国機の緊急発進(スクランブル)はなかった。

 日中関係改善の流れを考慮すれば、今回の防衛識別圏の設定は、中国が日本と協議のテーブルにつくための仕掛けではないかと考える。

 日本と中国の双方が最悪でも戦争状態に陥ってはならないと考えているはずである。
 そのために、衝突が起きないように、また突発的な衝突が起きても事態の拡大を防ぐために、軍事ホットラインの設置が喫緊の課題であることは両国とも認識している。
 そのための軍事交流にあたって中国としては、日本と対等な条件の下で交渉を始めることは重要で、その1つとして日本が設定済みの防空識別圏を中国も設定したとは考えられないだろうか。
 中国が設定すれば、慌てて日本が協議のテーブルに着くという読みなのかもしれない。
 いずれにしても、鐘声論説の
 「これは、安全の相互信頼の促進、周辺国家との良性な相互行動を促進に寄与する」
という部分は意味深である。

 繰り返しになるが、筆者は中国の防衛識別圏設定を善しとしているのではない。ただ、このタイミングについて、冷静に考える必要があるし、それには日中関係改善の流れを軽視してはならないと考える。

佐々木智弘(ささき・のりひろ) 日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長
1994年慶應義塾大学大学院博士前期課程修了、同年アジア経済研究所入所。北京大学、復旦大学、中国社会科学院の客員研究員を経て、現在日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。


 筆者の説によると、
 「日中関係改善の流れを考慮すれば、今回の防衛識別圏の設定は、
 中国が日本と協議のテーブルにつくための仕掛けではないかと考える」
という。
 一つの説とは思うが、これはどうにも納得いかない。
 なぜなら、そのためにかくも大掛かりな、アメリカをはじめとして世界の国々を向こうに回すようなことをやるとはとうてい思えない。
 日中がテーブルへつくために、数倍もあるいは数十倍も大きいリスクを背負い込むとは、常識的に見て考えられない。
 あまりいい説ではないと思われる。 





_