2013年11月29日金曜日

中国空軍、防空識別圏のパトロールを常態化:「対空防御の安全を断固確保する」

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レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 11時33分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79816&type=0

日米韓の防空識別圏進入に無反応の中国=「今後も反応を起こさないとは限らない」―英メディア


●28日、英BBC中国語版によると、中国が設定した防空識別圏を日米韓の軍機が相次いで飛行していることに中国側はこれまで大きな反応を示していないことについて専門家は「中国が今後も反応を起こさないとは限らない」と指摘した。写真は米軍のF-16戦闘機。

 2013年11月28日、英BBC中国語版によると、中国が設定した防空識別圏を25日に米爆撃機2機が飛行したのを皮切りに、韓国の哨戒機、日本の自衛隊機も相次いで中国に通知なく同区域を飛行しているが、中国側はこれまで大きな反応を示していない。
 これについて専門家は
 「中国が反応していないことが、今後も反応を起こさないことにはならない
と指摘した。

 中国の一部の民衆の間では、日米中が相次いで中国を“挑発”しているにもかかわらず強気な反応を示さないことで、防空識別圏は「張り子の虎」ではないかとの疑いが持ち上がっている。

 英ノッティンガム大学中国政策研究所の曾鋭生(ズン・ルイション)教授は、中国は防空識別圏を設定する前に、国際社会からこのような強烈な反応が返ってくるとは予想していなかったのだろうと指摘する。
 曾教授は
 「中国はこの問題にどう対応するか、またその対応によって情勢がさらに悪化しないかを検討している最中。
 しかし現在、中国が日米中に何の行動も起こさないと決め付けることはできない
と話している。



レコードチャイナ 配信日時:2013年11月29日 8時41分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79801&type=0

中国空軍、防空識別圏での空中パトロールを常態化―中国


●28日、中国空軍の報道官は、中国が東シナ海上空に設定した防空識別圏に、早期警戒機と主力戦闘機を出動させ、識別圏内の空中パトロールを常態化させていることを明らかにした。写真は主力戦闘機「Su-30」。

 2013年11月28日、中国空軍の申進科(シェン・ジンカー)報道官は、中国が東シナ海上空に設定した防空識別圏に、早期警戒機「空警-2000」1機と、主力戦闘機「Su-30」「殲11」数機を出動させ、識別圏内の空中パトロールを常態化させていることを明らかにした。
 解放軍報が伝えた。

 申報道官は、識別圏内での空中パトロールについて、「国際慣行に沿った防衛的措置」とした上で、
 「中国空軍は高度な警戒態勢を保持している。
 空中での脅威に相応の措置を取り、対空防御の安全を断固確保する
と強調した。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/29 10:03

米日豪印を結ぶ「自由と繁栄の弧」、突破を試みる中国
米中の覇権争い激化
安倍首相、米日豪印を結ぶ「自由と繁栄の弧」戦略を再び公に
中国、「第1列島線」を7月に突破…現在は「第2列島線」突破狙う


 中国が東シナ海に防空識別圏を設定したと宣言したことをめぐり、米日同盟と中国の対立が激化している。
 安全保障戦略の専門家は、今回の事態について
 「東アジア全域にわたって形成されている両勢力の争いの一断面」
と指摘している。

 両勢力の対立を象徴するのが、中国の「列島線突破」と米日の「自由と繁栄の弧」戦略だ。
 「自由と繁栄の弧」戦略とは、市場経済システムを採用する国々で中国を南から緩やかに包囲するという概念だ。

 昨年11月、中国軍事科学学会の羅援・副会長(海軍少将)は「海洋大国になるためには、第1列島線を突破しなければならない」と語った。
 第1列島線とは、九州-沖縄-台湾を結ぶラインのことで、冷戦時代に中国が対米防衛ラインとして設定した。
 今年7月24日、中国は史上初めてこのラインを突破した。
 この日、中国軍の早期警戒機1機が沖縄南方700キロの地点まで飛行し、その後中国本土に帰還した。 
 当時、産経新聞は
 「中国にとっての対米防衛ラインである第1列島線(中略)を中国軍機が越えて飛行したのは初めて。中国はこの防衛ラインを(中略)第2列島線まで押し上げようとしており、海軍艦艇に続き、空域でも第1列島線を越えた衝撃は大きい」
と報じた。
 第2列島線とは、伊豆諸島とグアム・サイパンを結ぶラインのことで、中国が海洋大国建設のために設定している攻撃的なラインだ。

 2006年11月30日、麻生太郎外相(当時)は日本国際問題研究所のセミナーで講演を行い「自由と繁栄の弧」の構築を公のものにした。
 米国-日本-オーストラリア-フィリピン-インドとつながる長い線で中国を圧迫・封鎖するという内容だった。
 当時は第1次安倍内閣時代。専門家らは「第2次安倍内閣で、この戦略が再び公のものになっており、憲法解釈の変更による集団的自衛権行使はその一環」と語っている。

 「第1・第2列島線」と「自由と繁栄の弧」が衝突する地点は、インドから韓半島(朝鮮半島)までの間に随所にある。
 安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は既に、集団的自衛権行使の対象として「石油輸送ルート」を挙げている。
 これは、マレー半島西岸とスマトラ島東岸に挟まれたマラッカ海峡を指している。
 中東の石油を東アジア地域に輸送するためには、必ずこの海峡を経由しなければならない。
 また、中国・フィリピン・マレーシア・ベトナム・台湾・ブルネイなどが領有権をめぐって争う南沙諸島海域には、膨大な量の天然ガスがあると考えられている。
 尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺にも、大量の天然ガスが埋蔵されている。
 中国は今後、防空識別圏を東シナ海から南沙諸島周辺にまで拡大する可能性がある。

 チョ・セヒョン元韓国外交部(省に相当)北東アジア局長は
 「これまで東アジアの海では米国が軍事的な援護役を務めてきたが、その米国で『日本も負担を分かち合うべき』という声が強くなってきた。
 集団的自衛権行使を米国が支援するのも、これが理由」
と語った。


「WEDGE Infinity」 2013年11月29日(Fri)  
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3402

日中関係改善の流れの中で

 11月23日、中国政府が東シナ海の防空識別圏設定を宣言したことを、国防部が発表した。
 この防空識別圏を国防部は次のように定義している。

海に面した国家が直面する可能性のある空中の脅威に対し警備するために、領空外に設定する空域であり、速やかにこの空域に侵入する飛行物体を識別、監視、コントロール、処置し、早期警戒時間を得て、空の防衛、安全を守るために用いられる。

 この防空識別圏について、東シナ海の広範囲に設定されていること、日本が固有の領土であると主張する尖閣諸島が含まれていること、米国の訓練空域が含まれていることなどから注目されている。

 筆者ももちろんこれらに点に関心がないわけではない。
 しかし筆者が一番注目しているのは、中国政府がなぜこのタイミングで防空識別圏設定を宣言したのかという点である。
 そのことを考える上で、『人民日報』が防空識別圏設定をどう伝えているかを見ておきたい。

■防空識別圏設定の正当性を強調

 『人民日報』は24日付1面で、防空識別圏設定の事実を、防空識別圏の位置を示した地図、有識者の見解と共に報じた。
 そして、4面で識別規則公告と23日に開かれた国防部スポークスマンの記者会見での質疑応答の内容、中国空軍が防空識別圏で飛行を行ったことを掲載した。

 国防部スポークスマンは防空識別圏設定の目的を次のように説明した。

 国家の主権と領土領空の安全を守り、空中飛行の秩序を守るためである。
 これは中国が自衛権を有効に行使するために必要な措置であり、いかなる特定の国家や目標に対するものではなく、関連空域の飛行の自由に影響はない。


 また、設定の正当性を次のように説明した。

 1950年代から一部の大国と中国周辺の一部の国家など20数カ国が防空識別圏を設定している。
 中国のやり方は「国連憲章」などの国際法や国際慣例に符合している。

 公告は、防空識別圏を飛行する航空機が、識別に協力しない、または指示に従わない航空機に対し、
 「武力で防御的な緊急措置を講じる
としている。

 25日付では、中国外交部が日米の反応を批判したことを伝えた。
 特に日本の外務省が尖閣諸島を含むことを受け入れられないと抗議したことに対し、次のように反論した。

 日本がとやかく言うことは完全に誤りであり、中国は断固反対する。
 中国外交部と駐日本中国大使館はすでに筋を通して日本側の無礼な折衝を却下し、日本に誤りの是正を要求した。

 26日で付は、鄭澤光外交部部長助理が駐中国日本大使と会見し、日本の無理な非難に対し「厳正な抗議」をしたことを伝えた。

■西側の中国非難に「キレ気味」な論調

 27日付で初めて論説が掲載された。
 鐘声(ペンネーム)による「断固とした意志、力のある行動」と題するものである。
 注目したのは次の部分である。

 ほんの一部の国家がとやかく言って、「一方的に東シナ海の情勢の現状の変更を意図している」、「地域の緊張情勢をエスカレートさせている」と訳もなく非難すらする。
 これは珍しいことではない。
 結局中国がそびえ立つ大国であり、東アジアの安全枠組みの進化過程において軽視できない影響力を有しているのである。

 目的は、国家の安全を守り、東シナ海上空の飛行秩序を保障し、公開、透明の原則に従い、中国が制度化、法律化の行動を経て主権を守りたいことを表明することである。
 これは、安全の相互信頼の促進、周辺国家との良性な相互行動を促進に寄与する。

 中国の防空識別圏設定をめぐり出現したノイズは、再び決まりきった考えを暴露した。
 同じ事でも、中国がやればダメ。
 中国がやれば、間違いなく悪巧みを企んでいる。
 こうしたい決まりきった考えを後押しするのは、当然中国のたえず上昇する国際的地位と日増しに強大化する総合国力である。

 中国の急速な発展は決して悪いことではないし、中国の正当な行為を妨げるものではない。
 われわれは当然さらに多くの理解を得ることを希望しているし、そのために理解と(誤解)解消の活動を進めたい。
 しかし、やるべきことをやらないわけにはいかない。



 10月28日に発生した自動車が北京の天安門金水橋付近で不幸にも人員や旅行者にぶつかっていった暴力テロ襲撃事件が、中国の民族宗教政策に対する一部の人が引き起こした悪意のある攻撃ではなかったか。
 その後1カ月も経たないうちに、東イスラム運動テロ組織のメンバーが10.28事件を起こしたと公然と宣言した。
 西側メディアはこれに対し多くの報道を行った。
 しかし、中国のイメージを悪くした人たちの懺悔はない。デマを流して責任を負わない。


 防空識別圏設定直後の国防部は、国際法に符合していること、他の国はすでに設定していること、自衛のために設定していることを指摘することで、設定の正当性を強調することに必死だったように見受けられる。
 それは、今頃になって設定する不自然さを中国自身が感じているのだろう。
 そして、諸外国が非難を受けることは織り込み済みだったのだろう。
 そのためか、なぜこのタイミングで設定したのかということへの説明は一切ない。

 27日の初めての論説は、先の設定の正当性をさらに補強する内容ではなく、諸外国の反応を批判することが主な内容となっている。
 「一方的に東シナ海の情勢の現状の変更を意図している」と「地域の緊張情勢をエスカレートさせている」という諸外国の非難を、長くもない論説の中で3度も引用していることには違和感があり、「キレ気味」とも感じられる。
 しかも、諸外国のこのような非難は中国がこれだけの大国になったからだと開き直りすら見られる。

 そして最後には西側メディアへの批判に及ぶ。
 中国当局がこれまで報道を最小限に抑えてきた10月28日の事件をわざわざ持ち出すのだから、日頃から据えかねている西側メディアの中国当局非難に堪忍袋の緒が切れた感じすらある。
 しかし、この論説にも、なぜこのタイミングだったのかという説明はない。

■日中関係改善の流れと防空識別圏設定のタイミング

 その是非は別として、中国が現在防空識別圏を設定すれば、東シナ海の広範囲に設定することも、尖閣諸島を含むことも想像に難くないことだった。
 それ故に、筆者の関心は、防空識別圏そのものよりも、むしろなぜこのタイミングなのかという点にある。

 日中関係は、今年の4月以降、すなわち習近平が権力ポストを独占して以降、大きな悪化は見せておらず、むしろ両国がそれぞれに関係改善に向けてサインを出している状況にある。
 経済面における地方政府の日本企業との経済交流への期待はそもそも高く、交流自体すでに回復して途上にある。
 その結果、
 経済データからも尖閣国有化宣言の影響による悪化はほぼ脱した感がある。
 延期が続いていた民間交流の開催が増えている。
 中国海監の尖閣諸島周辺への出航も目に見えて回数が減ってきている。

 こうした日中関係の改善の流れが現実に見られる中で、防空識別圏設定がその流れに水を差すような目的を持っているとは考えにくいのである。
 それが、習近平が権力の集中に成功した18期3中全会の直後というタイミングだとすれば、なおさらである。
 しかも、27日に米軍機が、28日に日本の偵察機がそれぞれ中国の防衛識別圏に進入したが、中国機の緊急発進(スクランブル)はなかった。

 日中関係改善の流れを考慮すれば、今回の防衛識別圏の設定は、中国が日本と協議のテーブルにつくための仕掛けではないかと考える。

 日本と中国の双方が最悪でも戦争状態に陥ってはならないと考えているはずである。
 そのために、衝突が起きないように、また突発的な衝突が起きても事態の拡大を防ぐために、軍事ホットラインの設置が喫緊の課題であることは両国とも認識している。
 そのための軍事交流にあたって中国としては、日本と対等な条件の下で交渉を始めることは重要で、その1つとして日本が設定済みの防空識別圏を中国も設定したとは考えられないだろうか。
 中国が設定すれば、慌てて日本が協議のテーブルに着くという読みなのかもしれない。
 いずれにしても、鐘声論説の
 「これは、安全の相互信頼の促進、周辺国家との良性な相互行動を促進に寄与する」
という部分は意味深である。

 繰り返しになるが、筆者は中国の防衛識別圏設定を善しとしているのではない。ただ、このタイミングについて、冷静に考える必要があるし、それには日中関係改善の流れを軽視してはならないと考える。

佐々木智弘(ささき・のりひろ) 日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長
1994年慶應義塾大学大学院博士前期課程修了、同年アジア経済研究所入所。北京大学、復旦大学、中国社会科学院の客員研究員を経て、現在日本貿易振興機構アジア経済研究所東アジア研究グループ長。共著に『習近平政権の中国』(アジア経済研究所)、『現代中国政治外交の原点』(慶應義塾大学出版会)。


 筆者の説によると、
 「日中関係改善の流れを考慮すれば、今回の防衛識別圏の設定は、
 中国が日本と協議のテーブルにつくための仕掛けではないかと考える」
という。
 一つの説とは思うが、これはどうにも納得いかない。
 なぜなら、そのためにかくも大掛かりな、アメリカをはじめとして世界の国々を向こうに回すようなことをやるとはとうてい思えない。
 日中がテーブルへつくために、数倍もあるいは数十倍も大きいリスクを背負い込むとは、常識的に見て考えられない。
 あまりいい説ではないと思われる。 





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